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アラームはキライだ。

※短編ポエム、フィクション

アラームはキライだ。毎朝起きるのは辛い。それでも仕事やら保育園やら、朝は起きなければいけない。それを物理的に突きつけてくるのは鳴り響くアラームの音だ。なるほど、好きな曲をアラームにするとその曲までもキライになってしまうというのは腹落ちする話だ。

アラームをかけるのは憂鬱な朝だけではない。大事な待ち合わせ、何かの予約開始時刻、仕事、帰りの時刻、色々な時を知らせるのに使う。

二人で過ごす時間は有限だ。昔のように、帰りたくないと駄々をこねる相手を愛おしく思い、そのまま延長するようなことはもうできない。帰らないといけない時間は最初からギリギリの時間だ。越えてしまえばそれは色々なリスクにつながる。越えたら即終わりというわけではない。だからそのリスクを冒しても延ばしたい気持ちに揺れるが、それはだめだという冷静さが結局は勝つ。

万が一にも遅れてしまうわけにはいかない。だからその時間を知らせる無機質なアラームの音は、二人が現実に戻るために大事なものだがとても寂しいものでもある。だからアラームはキライだ。

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