婚外、クリスマス
フィクション、特に過激な表現はない、短め
婚外恋愛、まぁ不倫も浮気も同じだろうが、そういった関係でもイベント事の季節はやってくる。例えば誕生日、例えばバレンタイン、しかしやはり二人にとって一番大きなイベントはクリスマスと答える人が多いのではないだろうか。前提として、よっぽどのことがなければイベント当日を二人で過ごすことは難しい。それはあまりにリスクがある行為だと思う。しかし、クリスマス当日、厳密にはクリスマスイブは平日になることも多い。それならば家庭や仕事の状況にもよるかもしれないが当日を彼女と過ごすこともあるかもしれない。
24日が平日のどこかだった年のこと、仕事帰りに彼女と会う約束をしていた。少し仕事を早く上がり、17時頃に彼女と待ち合わせをした。彼女は駅前のファストフードやらカフェが混ざったような赤い店で待っていてくれた。ディナーは18時からにしていた。二人で近くのイルミネーションスポットまで手をつないで歩く。大きなシャンデリアに近づくにつれて、カップルでごった返していた。人の流れに乗り、他愛ない話をしながらイルミネーションを眺める。それを一望できる場所なのだろうか、撮影スポットに長蛇の列ができていたが、そこまではいいやと二人で笑い、端の方でイルミネーションが少しでも入るように自撮りをした。
そこから近い商業施設に入るレストラン、たしか中華だっただろうか、彼女が食べたいと選んだ店だった。そこでコースを食べた。窓から見る東京の夜景は綺麗だった。何品かの料理を食べ終わり、最後のデザートのタイミングに二人でプレゼントを交換した。あまり危機意識もなかったころだったから、普通に身に着けるタイプの小さな小物をお互いに選んだ。お互いに相手が選んだプレゼントを喜び、デザートを終え、お店の人に頼み写真を撮った。その時の二人はきっと普通のカップルに見えていただろう。
レストランにいたのは2時間ほどだっただろうか。地上に降りると、先ほどより少し短くはなっていたがまだ列は残っていた。二人でそれを見ながら駅とは違う方へ進んでいく。この辺りはあまりそういったホテルはないが、それでもいくつか当てを付けていた。1軒目はあいにくの満室だったが、2軒目で無事に少し割高になってはいたが部屋に入ることができた。意外と付いているのかなと思ったが、きっとちゃんとしているカップルはちゃんとしたホテルを使うのかもなとも思ったが些末なことだった。
ここからがクリスマス最後の3時間になるのはお互いに理解していた。二人でレストランやプレゼントの話をしながら、ベッドに入った。一回目はシャワーも浴びずに事に至るのは二人にとってもう普通だった。キスを重ねて脱がし合い、気持ち長めの前戯とそれなりのセックス。部屋に入って1時間も経たない頃には二人で談笑していた。割高なお酒を部屋で買い、プレゼントを再び開けて眺め合った。溜めておいた浴槽に浸かり、そこでのいちゃつきから2回目に至り、残念ながら時間がわずかとなったところで最低限の身だしなみを整えて街に戻った。
ホテルに入る前にくらべて、少し寂しくなったようなそれでも賑わう飲み屋の間の道を、彼女の手を自分のコートのポケットへもっていき、そして握り返されながら歩いた。改札をくぐり、「じゃあこっちだから」とお互いに違う道になるギリギリのところでお別れをした。最後に手を再び握り、彼女を見送り、そしてエスカレーターの前で振り向く彼女を見届けてから自分も帰路につき、彼女とのクリスマスは終わった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?