コネクテッドロボティクスの4つのコアバリューについて
CRは「食産業をロボティクスで変革する」をミッションに、現在、急激に事業と組織を拡大していこうとしています。 今回は事業面ではなく、その成長のコアとなる組織のコアバリューについてご紹介をしたいと思います。
CRのコアバリューについて
CRのコアバリューは全体感としての基本概念と、それを支える4つの価値観で構成されています。
大切にしたい基本概念は『Trial and Error as One Team』としています。
これは、私たちの事業のテーマに大きく起因する概念といってもいいでしょう。なぜなら、食産業におけるロボティクスの活用は世界でもまだまだ進んでおらず、これが正解というものが確立していないからです。まだ世界の誰もが成し遂げていない領域には、お手本やマニュアルが存在しません。そのため、目指すミッションやビジョンの達成のためには、現場の課題に向き合って、同僚や関係者と共に試行錯誤することが必要になってくるのです。
『Trial and Error as One Team』を基本概念においているのには、こういった背景があります。
失敗を恐れていては、何も新しいものは生まれません。また、一人で試行錯誤しても突破口が見つからず、時間ばかりかかってしまうかもしれません、私たちは失敗することから逃げませんし、失敗から得られたことを周囲と共有し、何度もやり続けていくことが組織の成長につながると考えています。その工夫を繰り返していくことで、世界を大きく変えようとしています。
では具体的にどんなことを意識して行動すればよいか。
それが次でご紹介する4つのコアバリューです。
4つのコアバリュー
『Open Quest』:
冒険の出発は、可能性に満ち溢れワクワクするものです。それは、食とロボティクスという、身近なのに奥深く、楽しいけど難しいものを相手にしているからです。可能性が大きいからこそ試行錯誤の出発点として、広く大きく考えて試してみることが大切です。新しい場所、新しい出会い、新しいやり方、いろいろな可能性を目の当たりし、わたしたちは探検し検証するように仕事を進めます。『Simple, Visible, Tangible』:
Open Questで探求していると、様々な可能性が出てきたり、物事が複雑に見えたりします。それらの本質を見抜き、誰が見ても理解しやすいものにします。最初のうちは複雑で拙いかもしれません。それを磨いていくことで、誰の目にも明らかな、直感に響くものができあがります。『Grit for Goal』:
食産業という人類にとって最も大きな産業にインパクトを与えるのは並大抵ではありません。でも、小さく確実な1つ1つの積み上げを成果につなげ、時には手痛い失敗をし、学びを得ることで、さらに強く賢くなってカムバックできます。大きな目標に達成するために私たちは粘り強く成長し続けます。『Make Delightful』:
人を喜ばせることこそ食とロボットの存在意義です。製品作りやサービスはもちろん、普段の仕事の中で、相手のためになるような仕事、相手本位のコミュニケーションを意識できているか? 自己の思い込みやプライド、自己のやりかたを超えて真摯に相手と向き合えているか? 相手に喜んでもらうことが自分の喜びにつながることを意識して行動します。
CRでは、2022年8月からこの4つのコアバリューを新たに設定しました。これらコアバリューをどのように見直したのか?をご紹介します。
コアバリュー見直しの背景
以前のコアバリューは7項目ありました。設定された後に入社してきたメンバーも増えつつあり、社内でどれだけ浸透しているのかを確認するためアンケート調査を行いました。すると、「多くて覚えきれない」「どこの会社でも通用することばかり」「一部しか浸透していない」「英語と日本語のニュアンスが違う」などといった意見が見られました。ボトムアップで決めていった良さもありつつも、改善が必要な状態でした。
今のCRはコアバリューを設定した当初とは少し状況が異なってきています。ただロボットが好きなエンジニアの集まりだった当時から進化し、今はさらなる成長を目指して事業も組織も拡大していく段階にあります。この状況に合った新しい価値観や行動を促すようなコアバリューが求められていました。
また、今後様々な背景を持つメンバーが増えていったとしても、CRとして大事にしていることをメンバー全員が意識して行動できるように、わかりやすく浸透しやすいものへと見直しを行いました。
コアバリューの策定プロセスで議論になった点
1.誰もが使いやすいものにしよう
アンケート調査で見えてきた改善ポイントを踏まえて「短くて覚えやすい」「個数は3~5個程度」「英語」「言いやすい」ものに変えようと議論がスタートしました。特にCRには外国人メンバーが約3割在籍しているため、全社的に通達する文書などは、日本語・英語の併記、または英語が標準的となっていますが、翻訳するとどうしても意味にずれが起きがちです。コアバリューは全員が同じように使えるよう翻訳の必要がない言葉にしようと話し合いました。
2.想うのではなく、行動に繋げよう
CRは「食産業をロボティクスで革新する」というミッションを掲げています。実現するのは簡単なことではありませんがミッションは夢や想いではなく、実現していきたいと定めているものです。そのためにはメンバーが同じバリューを意識して主体的に行動して体現していくことが必要です。コアバリューも「〇〇しよう」「〇〇したい」といった想いを表すような表現ではなく、一人ひとりが理解して体現できるようになることが必要だという議論がありました。
3.ポジティブな表現にしていこう
会社によっては、それぞれのコアバリューに「〜しない」といった否定形や、「〜しろ」といった命令形の言葉にしていることがあります。CRは食産業とロボットを事業のテーマに据えています。「食」も「ロボット」も、どこかワクワクした気持ちを奮い立たせるものがあると思います。そんな事業を行っているCRらしさを考えると、その言葉を口にすることで前向きな気持ちになれるものにしたい、議論の中で「全てのステイクホルダーの心躍る方を選ぼう」と言葉選びにはこだわりました。
人事制度や日々の仕事にどう応用されているか
1. メンバーからの称賛
メンバー間でコアバリューに即した行動を称賛しあう習慣が生まれつつあります。CRではOKRをベースに毎週末に自分の仕事の進捗を報告するオンラインツールを活用しています。その週次のルーティンサイクルの一つに「賞賛」という項目があります。そこでは4つのコアバリューの観点から自分が称賛したいメンバーを選び、具体的にどんな行動を素晴らしいと思ったかを伝えることができます。自分が素晴らしいなと感じた行動、お手本にしたいと思う事例があればいつでも称賛でき、Slackでもそのエピソードが共有されます。各部署、各プロジェクトでどんな出来事が起きたのか、誰がコアバリューに即したアクションをしたのか、その事例に称賛コメントが寄せられることで、次第にコアバリューに即した行動が促されるようになってきていると思います。
2. 人事制度
人事制度には、『Trial and Error as One Team』という基本概念がダイレクトに反映されています。具体的には半期ごとの人事評価にこの項目を据えているという点です。一般的な会社では期初に立てた目標に対して、期末にその達成度を評価することが多いのではないでしょうか?CRでは3つの軸で評価を行うのですが、その中の1つに「Trial and Error as One Team」という観点を取り込んでいます。
つまり、積極的に新しいことに挑戦し、試行錯誤をしているかどうか。失敗経験を積み重ねて得られたノウハウ、ナレッジを他のメンバーや、他の部署・プロジェクトにも共有しているかどうかを重視して全てのメンバーに促しています。
3.表彰制度
人事評価に加えて半年に一度、4つのコアバリューを最も体現したメンバーを表彰する制度も設けています。CRは2025年に上場を目指しており、全メンバーに対するストックオプション制度があります。ストックオプションはポイントで積み重ねていく仕組みなのですが、このポイントを提供することで実利的にも報いる制度を整えています。具体的には上期・下期の全社会議で4つのコアバリュー賞に加えて、MVP賞やBestチーム賞、Bestルーキー賞なども加えた7つの賞の受賞者が表彰されます。受賞者には名前入りトロフィーも手渡されます。部署やプロジェクト、ポジションに関わらず、コアバリューを体現することを評価するような仕組みになっています。
メンバーの反応・今後の展開は?
地道なことですがコアバリューを知ってもらう活動も行っています。まず社内でイラスト作成やデザインができるメンバーにお願いして、コアバリューをアイコン化しました。これは実はイラストレーターに頼んだのではなく、イラストや作品作りを趣味にしているエンジニアが作ってくれたものです。社内で仮デザインとして使っていたものだったのですが、とても評判が良かったのでポスターにしたり、ステッカーやクリアファイル、Tシャツなどのグッズを作るなど、幅広く展開しています。イラストの活用以外でも普段のコミュニケーションでも使うためにSlack上のスタンプも利用されています。
CRでは3ヶ月に1回、エンゲージメントサーベイを実施しているのですが、前回の結果では概ね好評なようでした。「前回よりも数が減って覚えやすい」「的確でCRらしく、現状と理想が言葉になっている」等の声があり順調なようです。今後は、コアバリューに基づくエピソードを社員から集めて冊子にするなど、これまでの活動を振り返る機会ができればと考えています。
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