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【TECHBLOG】使われないダッシュボードにしないための5つのポイント

はじめまして!C&R社の藤田です。

「せっかく作ったダッシュボードが、使われていない…」というご経験はありますか?
データ活用の取り組みとしてダッシュボードを開発する企業が増えている一方で、ダッシュボードが使用されなくなってしまうことも少なくないようです。
ですが、時間をかけて作るのであれば使われるダッシュボードにしたいですよね!
本記事では、使われないダッシュボードにしないためのポイントについてご紹介します。


ダッシュボードとは

ダッシュボードとは、簡単に言うと、様々なグラフや表など複数の情報を一つの画面に入れたものです。ビジネス上では、ダッシュボードの作成にTableauなどのBIツールがよく使用されています。
以下の画像が、BIツールを用いてダッシュボードの例です。スコアカードと呼ばれる数字を表示したものや、折れ線グラフ、棒グラフなど様々なグラフがまとめられています。
※本記事ではBIツールを用いて作成するダッシュボードについてご説明します。

ダッシュボードの例
引用元:https://www.tableau.com/sites/default/files/ddo_tokyo_2019_techsession_e7.pdf

ダッシュボードの役割

ダッシュボードの役割は、企業が抱えるビジネス課題を解決するための意思決定をサポートすることです。
ビジネスでは目標達成のために重要指標を確認し、そこから課題を見つけ、アクションを起こすことが求められます。このプロセスにおいてダッシュボードは、データをわかりやすく表示することによってユーザーに気づきを与え、アクションに繋がる意思決定をサポートします。

ダッシュボードの課題

しかし、ダッシュボードを作成しても時間が経つと使われなくなってしまうことがあります。
使われなくなるケースとしては、

  • ダッシュボードの開発が終わり、関係者に紹介したときには「いろいろ見られて便利そうですね」と良い反応があったのに使われなくなる

  • ダッシュボードのリリース直後には使われていたが、数週間も経つと使っている人が限定的になり、最終的には使われなくなる

といったものがあります。

ダッシュボードが使われなくなる理由

なぜダッシュボードは使われなくなってしまうのでしょうか?
理由としては以下のものが考えられます。

ダッシュボードが使われない理由

使われないダッシュボードにしないための5つのポイント

では、使われないダッシュボードにしないためにはどうしたら良いのでしょうか。5つのポイントをご紹介します。

1. 利用目的にあった設計を行う

ダッシュボードは、5W1Hに基づいて設計することが重要です。
5W1Hを定義することで、可視化すべき指標や目的を明確にできます。
具体的には以下のように決めていきます。

ダッシュボードの仕様検討例

2. アクションに繋がる指標を可視化する

ダッシュボードでは、具体的なアクションに繋がるような指標を可視化することが重要です。可視化する指標を決める際にはKPIを整理します。

例えば、以下の図は売上金額を最終目標としたKPIツリーです。
最終目標を達成するための中間目標を決めて可視化することで、それを見たユーザーはアクションを検討/実行しやすくなります。

可視化する指標の例

指標を決める際の注意点としては2つあります。

①むやみに指標を可視化しすぎない
あれもこれもと指標を増やしすぎるとユーザーが何を見てどのように判断すればよいかわかりづらくなります。最終目的達成のために確認する必要がある指標だけを可視化しましょう。

②大きな目標を評価する指標だけを可視化しない

大きな目標を評価する指標だけだと、値を見て次のアクションを決定することが難しくなります。アクションに繋げやすくするために細分化した指標を可視化しましょう。

3. ユーザーが理解しやすいデザインにする

ダッシュボードでは、ユーザーが表示されているデータを簡単に正しく読み取れるようにすることが重要です。
気を付けるポイントは主に色、文字、レイアウトの3つです。

①色
色を付けるときには表現したいことのイメージに沿った色を使いましょう。言葉の意味と色のイメージが異なると、ユーザーが直感的に理解しづらくなります。
また、グラフを複数並べるときは同じ色が複数の意味を持たないようにしましょう。同じ色を異なるグラフで別のものを指すのに使用していると、直感的に何を示しているのかわかりにくくなります。
最後に、使う色は3色程度にするとまとまりやすくなります。もし色が多くなってしまうときは、注目したいデータ以外を灰色にすると良いでしょう。

色で注意すべきポイント

②文字
ダッシュボードには、読み取れる情報がイメージしやすいタイトルを付けることが重要です。意外と見落としがちですが、タイトルがあることによって一気に内容が理解しやすくなります。
また、グラフにラベルをつけるときはユーザーの利用目的に合わせて表示することも重要です。ユーザーが大まかな傾向をみたいのか、グラフだけでなく数字も見たいのかによってラベルの必要性が変わるためです。したがって、ユーザーがそのグラフで何を確認したいのかを意識しながら考えていく必要があります。

③レイアウト
レイアウトでは、まず視線の流れを意識することが重要です。視線は左上から右下へZ字に動いていくことが多いため、ダッシュボードではグラフや表を重要度の高い順に、視線の流れに沿って配置すると良いでしょう。
また、概要から詳細へと情報が見られるように設計することも重要です。いきなり詳細な情報を表示すると、理解に時間がかかり、わかりづらいダッシュボードになってしまう場合があります。まずは大まかに把握し、徐々に詳細な情報を見られるような設計にすると、内容が読み取りやすくなります。


以上を踏まえて、実際に良い例と悪い例を比較してみましょう。
まずは悪い例です。

悪い例
引用元:https://www.tableau.com/sites/default/files/ddo_tokyo_2019_techsession_e7.pdf

悪い例の良くない点としては、以下のものが挙げられます。

  • タイトルがない

  • 同じ色が複数の意味を持っている(例:赤色が「大規模」を表していたり、「九州」を表していたりする)

  • 色が多い

  • どのような順番で見ていけば良いのかわからない

続いて、悪い例を改善したものがこちらです。

良い例
引用元:https://www.tableau.com/sites/default/files/ddo_tokyo_2019_techsession_e7.pdf

次のように改善されています。

  • タイトルがあり、何を見るためのダッシュボードかわかる

  • 色を使い、数値の良し悪しがわかりやすく表現されている

  • 左に粒度の大きい情報を表示し、右の方へ行くほど徐々に詳細な情報を表示している

もしどのような表現が良いか迷った場合は、利用目的に立ち返って考えてみると良いと思います。

4. 正しい数値をユーザーが見られるようにする

表示している数値が正しくないと信頼できないダッシュボードになってしまいます。数値の異常が発生する原因は、データ処理段階で起こるものとBIツール上で起こるものがあります。

データ処理段階での問題
データ処理段階での問題とは、BIツールで使用するデータが作られるまでの過程でエラーが発生している状態です。データ処理段階で、各工程の間にチェック処理を入れて、エラーが発生した時点で通知されるようにしておくことですぐに対応できます。

BIツール上での問題
BIツール上での問題とは、BIツール上で定義したロジックが間違っていることで問題が起きている状態です。集計方法や計算フィールドの内容があっているか確認することで対応できます。

数値に異常が発生する原因

5. ダッシュボードを普及させる

作成したダッシュボードを利用者に紹介しただけでは、「使い方がわからない」、「そもそも興味がない」といった理由でダッシュボードが使用されない可能性があります。そのため、以下のような取り組みを実施してダッシュボードを普及させる必要があります。

ユーザーへの説明
ユーザーがダッシュボードの仕様や操作方法を理解できるように資料を用意して説明する必要があります。説明資料はPowerPointなどで作成するほか、使い方の説明をダッシュボード内に直接書いておくこともおすすめです。

ダッシュボードをユーザーの目に触れやすくする
忙しさからついついダッシュボードを見るのが後回しにされてしまうこともあるため、自然とユーザーの目に触れるようにしておくのも良いでしょう。
例えばTableauなら、Slackと連携させて通知を受け取ったり、業務で使用しているポータルサイトなどに直接ダッシュボードを表示させることができます。

定期的なヒアリング
ダッシュボードが活用できているかをユーザーにヒアリングします。もし不便な点や追加の要望などがあれば改善していきます。

まとめ

使われないダッシュボードにしないためのポイントをご紹介しましたが、いかがでしたか?
これらのポイントに気を付けてダッシュボードを開発することが、長期間ダッシュボードを使い続けてもらうための第一歩になります。
ダッシュボード開発にかけた時間やお金が無駄にならないよう、”使い続けてもらえるダッシュボード”を開発しましょう!

C&R社ではBIツールを用いたダッシュボード開発支援もしておりますので、もしご興味・ご相談等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

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