ホフステード6次元モデル「人生の楽しみ方」とは<6次元モデル⑦>
ホフステードの6次元モデルの6つめとして、人生の楽しみ方(抑制的・充足的)についてご説明します。
国境を超えたビジネスでは、人生の楽しみ方の各国のスコアによって、仕事の捉え方が違うことを知っておく必要があります。
人生の楽しみ方は、ネガティブかポジティブかに影響
人生の楽しみ方とは、人生を楽しみたい、ラクをしたいという気持を、抑制してネガティブに考える「抑制的な社会」と、気持ちを発散・充足させてポジティブに考える「充足的な社会」という捉え方です。
ミンコフ博士によって2013年版『多文化世界』から追加された「主観的幸福感」人々の幸福感、人生のコントロール、余暇の重要性の3点を国民文化の側面から解明しようとする新しい次元です。
ミンコフ博士はこの次元について次のように定義しました。
この次元は出生率を予測するうえで非常に説明力が高いといわれています。経済発展した国で標準的な教育を受けた場合、幸福感と健康観の高くない人は子どもを積極的につくろうとしないことが多いのです。
抑制的な国の特徴
・幸せである、健康であると感じることが少ない
・肯定的な情動を思い出しにくく、悲観主義的
・自分に起こることは自分ではどうしようもできないと、無力感がある
・職場では、謹直で厳格な態度が信用され、プロフェッショナルであると受け取られる
・言論の自由は一般的な関心事ではない
・微笑みには疑惑の目を向けられる
・余暇はあまり重要ではない
抑制的な国は、「言論の自由の擁護」を国家にとって重要な目標とする割合が低くなります。この調査で最も低い数値を出しているロシアは、抑制的な度合いが高いスコアで出ています。ロシアの大統領が笑っている姿を見ることはほとんどないでしょう。
また、抑制的な国では人口1人あたりの警察官数の数が多いというデータもあります。
抑制的な国は、ロシアのほか、エジプト、パキスタン、中国、東欧などがあります。
充足的な国の特徴
・幸せである、健康であると感じる人が多い
・肯定的な情動を思い出しやすく、楽観主義的
・自分の人生はコントロールできると考えている
・言論の自由は比較的重視されている
・職場では、ポジティブシンキングが奨励される
・微笑みかけることが規範
・余暇は重要
充足的な国は、「言論の自由の擁護」を国家にとって重要な目標とする割合が高くなります。この割合が高いオランダは、充足的度合いも高いスコアが出ています。
また、充足的度合いで高いスコア出ているアメリカでは、大統領が選挙活動中も微笑んでおり、プライベートも積極的に見せています。
オランダ、アメリカのほか、メキシコ、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、カナダで高いスコアが出ています。
日本は、人生の楽しみ方のスコアは中間
日本は、スコア42、93ヶ国中充足度合い49位とほぼ中間です。
「やることをやってから楽しもう」という考えの人が多いといえるでしょう。
ホフステードの6次元モデルについてもっと詳しく知りたい方は、『多文化世界 違いを学び未来への道を探る [原書第3版]』G.ホフステード/G.J.ホフステード/M.ミンコフ 著 岩井八郎/岩井紀子 翻訳、『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』宮森千嘉子/宮林隆吉 著 をご覧ください。
一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。
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