6つのメンタルイメージとマインドセット
知識として得たホフステード博士の6次元モデルを実践で使っていくためには、さらなる理解が必要です。
国民文化の心のプログラムが作り出す暗黙の組織モデルとして「6つのメンタルイメージ」を整理しました。
この組織モデルが、職場での問題解決の対応に影響を与えています。
6つのメンタルイメージ
ホフステードの6次元モデルを用いた経営コンサルタントのハブ・ヴルステン氏が、文化圏によって世界を6つのグループにクラスタ化し、暗黙の組織モデルを発展させたのが「6つのメンタルイメージ」です。
ヴルステン氏は、グローバル組織とともに働くなかで、ホフステードの次元を理解するだけでは、実生活上の複雑な問題を説明できない状況に何度も遭遇します。
組織の課題解決には、複数の要因を組み合わせて考えなければならないからです。
そこで、現場の視点から、文化の差異をより簡単に理解し、活用できるように生み出したツールが「6つのメンタルイメージ」です。
①コンテスト:勝者がすべてを手に入れる
競争的で権力の格差が少ないアングロサクソン諸国の文化。
個人主義と男性性(達成志向)が強く、不確実性回避のスコアが低い。
例:アメリカ、イギリス、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド
②ネットワーク:個々人が独立しつつ、つながり合って関係している
北欧諸国やオランダのように権力格差が低く、個人主義が強く、女性性(生活の質志向)が高い社会。全員が意思決定にかかわる。
例:オランダ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、アイスランド
③油の効いた機械:秩序を重視するオーガナイザー
権力格差が小さく、個人主義で、不確実性回避の傾向が強い。手続きや規則を重視する、階層的圧力は効かない。
例:ドイツ、オーストリア、チェコ、ハンガリー、ドイツ語圏スイス
④人間のピラミッド:忠誠、階層、内部秩序
権力格差が大きく、集団主義で、不確実性回避の傾向が高い社会。家父長的で、協力なリーダーの決定に部下は従う。一方、プロセスの構造化も必要なので、変革には時間がかかる。
例:ブラジル、メキシコ、アフリカ諸国、中東諸国、ポルトガル、ギリシャ、ロシア、スロバキア、南イタリア、トルコ、タイ、韓国
⑤太陽系:階層と個人主義のパラドックス
権力格差が大きく、不確実性許容が高く、個人主義。
例:フランス、ベルギー、北イタリア、フランス語圏スイス、スペイン、ポーランド、アルゼンチン
⑥家族:階層と忠誠、フレキシビリティ
権力格差が大きく、集団主義で、不確実性回避が低い。家父長的で、協力なリーダーの決定に部下は柔軟に従う。
例:中国、香港、シンガポール、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、インド
6つのメンタルイメージに当てはまらない日本
これらのメンタルイメージは、地域ではなく、国民文化の次元でクラスタ化していることが特徴です。
例えば、中国、韓国、日本は地理的には極東アジアの同じ地域ですが、相当に異なる国民文化をもっているため、それぞれ別の文化圏に属しています。
日本は、この6つのメンタルイメージのどこにも当てはまりません。
どこの文化圏にも属さず、日本だけで1つのメンタルイメージを形成するユニークな国なのです。
各メンタルイメージの詳細と日本の文化圏については、これから毎週ご紹介していきます。
▶ホフステードの6次元モデルと6つのメンタルイメージについて詳しく知りたい方は、『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』宮森千嘉子/宮林隆吉 著をご覧ください
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一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。
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