Apple Watchを持たない自由

Apple Watchを持っていなくてよかった。今日も電車に乗るとき、改札を通るのに手間取っている人を見かけた。片手をひねりながらリーダーにApple Watchをかざし、うまく反応しないのか、何度か試している。ようやく通れたと思ったら、今度は腕を軽く振って通知を確認する仕草をしていた。

その横で、自分はポケットからスッとiPhoneを取り出し、一瞬のうちに改札を通過する。まるで何事もなかったかのように、スマートな動作で通れるのが心地よい。改札でのストレスを感じることなく、余計な動きをする必要もない。

Apple Watchを持つと、当然ながら充電の心配がつきまとう。毎晩、バッテリー残量を気にして充電するのは、小さなストレスが積み重なる行為だ。iPhoneだけなら、夜に一度充電すれば十分。充電するデバイスが増えれば、それだけ手間も増える。Apple Watchを持っていないことで、その煩わしさから解放されているのだ。

通知管理もまた、Apple Watchを持つことで増える面倒な作業のひとつだ。腕に装着していると、LINEやメールの通知が常に届く。iPhoneならば、通知を確認するタイミングは自分で決められるが、Apple Watchは否応なく通知が目に入る。四六時中、通知に反応する生活は、果たして快適なのだろうか。少なくとも、自分にとっては不要な情報が増えるだけのように思える。

さらに、Apple Watchの機能をフルに活用するためには、設定が欠かせない。ワークアウトの計測、心拍数のモニタリング、アプリのカスタマイズなど、一見便利に思える機能も、設定を適切に行わなければ真価を発揮しない。日々の生活の中で、そこまで気を配る余裕があるかと考えると、やはり自分には不要だと感じる。

確かに、Apple Watchが便利な場面もあるだろう。特に、運動を習慣にしている人や、健康管理を重視する人にとっては、大きなメリットがあるに違いない。しかし、自分の生活には、今のところ必要がない。iPhone一台で完結するシンプルさを大切にしたいのだ。

今日も改札をスムーズに通過しながら、Apple Watchを持たない選択が正解だったと再確認する。便利さとは、決して「持つこと」だけではない。「持たないことで得られる自由」もまた、ひとつの価値なのだ。

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