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時の流れに身を委ねて

歳をとると時間が早く過ぎると感じるのはなぜだろうか。若い頃は一日が長く、時間を持て余すこともあった。しかし、気がつけば朝が来て、あっという間に夜が訪れる。年を重ねるごとに、一週間、一ヶ月、そして一年がまるで瞬きをする間に過ぎ去るように思えてくる。

この現象にはいくつかの理由があるとされている。ひとつには、記憶の密度が関係しているという説がある。子ども時代は、新しい経験の連続で、脳がその一つひとつを記憶するため、時間が長く感じられる。しかし、大人になると生活の大半がルーティン化し、新しい刺激が少なくなる。その結果、記憶に残る出来事が減り、時間が圧縮されたように感じるのだ。

また、時間の捉え方も影響している。例えば、仕事や家事に追われていると、一日が過ぎるのがあっという間だ。反対に、退屈な時間は長く感じることが多い。これは心理学的な現象であり、人間の意識は「充実感」や「変化」を感じることで時間を認識するため、単調な日々は短く、刺激的な時間は長く感じるのだろう。

しかし、こうして繰り返される平凡な日々こそが、実は幸福なのではないかとも思う。朝起きて、食事をし、家の掃除をして、何気ない時間を過ごす。そして気づけば夜になり、また新しい朝がやってくる。何の変哲もない日常が続くことが、どれほど恵まれていることか。

世の中には、明日を迎えられない人もいる。突然の事故や病気で、大切な人との時間を失ってしまう人もいる。そう考えると、この退屈とも思える日々は、決して当たり前のものではないのだ。

「幸せ」とは何か。豪華な食事や派手な旅行、成功や名声も幸せの形かもしれない。しかし、朝に鳥のさえずりを聞きながら目を覚まし、穏やかな陽だまりの中でお茶を飲み、夜に静かに眠りにつく。この何気ない日々こそが、本当の幸せなのではないだろうか。

気がつけば、今日ももう夕方だ。時間は容赦なく流れ、振り返る間もなく過ぎ去っていく。だからこそ、一瞬一瞬を大切にしたいと思う。人生は長いようで短い。日々を慈しみながら、流れる時間に身を委ねて生きていこう。

#時間の流れ #日常の幸せ #平凡こそ贅沢 #シンプルライフ #人生を味わう

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