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ようやく進化したFinal Cut Pro for iPadの現状に思うこと
Final Cut Pro for iPadがようやくバージョンアップされた。長らく待ち続けてきたユーザーとしては、ようやくという気持ちが強い。しかしながら、その進化のスピードには正直、不満が残る。なぜこんなにも遅かったのだろうか。
サブスクなのにだ!
Final Cut ProがiPadに登場した当初、プロユーザーからは大きな期待が寄せられていた。iPadの直感的な操作性とAppleのハードウェアの性能を組み合わせれば、これまでのデスクトップ作業を超える新しい可能性が広がるはずだった。しかし、実際には多くの基本機能が欠けており、プロの現場で使うにはまだまだ遠い状態だった。このギャップが解消されるまでに、思った以上の時間がかかったのである。
今回のバージョンアップでいくつかの重要な機能が追加された。たとえば、複数トラック編集や色補正の強化、エフェクトの拡充といったポイントは歓迎すべき進化であるしかし、それでもデスクトップ版との機能差は依然として大きい。
一方で、進化が遅れた背景にはいくつかの理由があるのかもしれない。iPad版のFinal Cut Proは、タッチ操作に特化したデザインであるため、UIやUXの設計には膨大な手間がかかることは想像に難くない。また、iPad自体がプロの編集作業に耐えられるプラットフォームとして認知されるには時間が必要だったのだろう。だが、それを考慮してもAppleの開発スピードは遅いと感じざるを得ない。
特に、他社の動画編集ソフトが急速に進化している中で、Appleの対応はやや悠長に見える。Adobe PremiereやDaVinci Resolveといった競合は、iPad対応版でも着実にプロフェッショナル向けの機能を実装している。それに比べると、Final Cut Proの進化が追いついていないという印象が拭えない。
個人的には、iPad Proのハードウェア性能はすでに十分すぎるほど強力であると感じている。特にMシリーズチップを搭載した最新モデルであれば、4K動画の編集や高度なエフェクト処理も問題なくこなせるはずだ。それだけの潜在能力があるのに、ソフトウェア側が追いついていないのは非常にもったいない。
今回のアップデートによって、少しは希望が見えてきた。しかし、まだ完璧とは言えない。今後のバージョンアップで、さらなる機能の充実と操作性の改善を期待したいところである。Appleには、ユーザーの期待に応えるスピード感を持ってもらいたい。特にプロフェッショナルツールである以上、進化の遅さは直接的にユーザーの信頼に関わる問題であると考える。