ミニミニ小説 『優しいウソ』
「ど、どうして!?」
僕の目の前で、火花が飛び散り、煙がもうもうと上がっている。
周りがばっと、真っ暗になる。
「ショートしてしまいました・・・」ソッピィが言う。
「な、何を言おうとしたんだよ!」
ソッピィは、僕が作った優しいウソをつくロボット。
本当のことを正直に言うと誰かが傷つく。
それがはっきりと分かったときは、 相手のことを考えて最適なウソをついてくれる。
その、ソッピィが今、煙の中で崩れていく。
目はピカピカと点滅しながら、黄色い涙を流している。
「ごめんなさい・・・。ウソが上手く言えそうにありませんでした」
「いいよ、もう」
「ごめ・・・ん」
「だから、もうっ」
「ソッピィはアナタのことが本当に好きでした。ほん・と・う・・・」
真っ暗になった部屋の中で、ソッピィの体についている冷却ファンの音だけがシューシューと音を立てている。
どんなウソをつこうとしたかは分からなかったけど、最後の言葉がウソじゃないのだけは分かったよ。