2023年おすすめ新譜アルバムVol. 118: Kidz In The Hall「Adulting Anonymous」
新譜アルバム紹介Vol. 118です。
今回紹介するのは、シカゴのヒップホップデュオのKidz In The Hallがリリースした「Adulting Anonymous」です。
Kidz In The Hallはシカゴ出身のヒップホップデュオです。ラッパーのNaledgeとプロデューサーのDouble-0の二人で活動しています。
2000年頃に結成。2006年には1stアルバム「School Was My Hustle」を発表します。2008年にはDuck Downから2ndアルバム「The In Crowd」をリリース。その後は2010年の「Land of Make Believe」や2011年の「Occasion」などの作品を発表しています。近年はデュオとしてはあまり目立ったリリースを行っておらず、今作が久々の作品です。
Naledgeは高めの声質で力みすぎないゆるいラップを聴かせるラッパーです。Double-0はソウルフルなネタ使いのブーンバップを得意としつつも、The Neptunesあたりにも通じるエレクトロニックな要素も柔軟に導入するプロデューサーです。ラップ・ビート共に「もし2000年代のKanye Westがそのまま歩んでいたら」を思わせる音楽性です。
今作はブーンバップを根っこに持ちつつ、シンセも多用して聴かせる落ち着いたメロウな好作に仕上がっています。Kanye Westで言うところの「Graduation」期をそのまま進化させたような作品です。
ブリブリのベースも用いたスペイシーな曲。
ふうわりとしたウワモノと少しよれ気味のドラムも目立つ、J Dilla系譜のスタイルです。少しオートチューンのかかった歌フックも心地良く聴けます。
4. Honest (feat. Sulaiman & Ryan Alexander)
穏やかなメロウ路線。
タイトなドラムとクールなエレピが効いたサウンドで、柔らかな歌フックを挟んでマイクリレーを聴かせる好曲です。アウトロでのビートスイッチも見事。
5. Tweakin' (feat. Ryan Alexander)
808やブリブリのベースを使った少しGな曲。
チープなシンセやファンキーなギターも、オヤGの方にはたまらないと思います。Naledgeのラップとも好相性。
8. Angela Bassett (feat. Spree Wilson & LaDonnis)
スペイシーなシンセや808が目立つ曲。
ブリブリのベースやブルージーなギターも入っており、ちょっとSuave House作品みたいな味があります。全体の印象としてはポップでメロディアス。
9. 40 Liks (A Birthday Song) (feat. Ryan Alexander & Aires Adora)
シカゴらしいハウス風味の曲。
キックは四つ打ちですが、アッパーというよりはゆったりとしたメロウ&スムース路線です。シンガー二人の絡みも美味。
12. Fallin' for you
A Tribe Called Questの4thを思わせるクールなメロウ。
落ち着いたエレピや活き活きとしたドラムが目立つビートで、Naledgeの柔らかなラップとロボ声歌フックが沁みる良曲です。シンセの重ね方も見事。
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