Frank Oceanと水
R&B Lovers ClubのPodcast「Detox Lounge」のEp. 003に出演してきました。
今回は私のほか、文筆家のつやちゃんさんも一緒に出演しています。テーマは「雨の日に聴きたくなるR&B」です。
番組後半では雨から水の話になっていますが、この話を聞いて私が収録後に思ったのはFrank Oceanのことです。Frank Oceanは名前が海なだけではなく、水にまつわるラインをたびたび入れてきました。
2011年に発表した初のミックステープ「nostalgia, ULTRA」には、「Swim Good」という曲が収録されています。これは入水自殺をテーマにした曲で、「Detox Lounge」で話したような「濡れていくR&B」の極端な例と言えるのではないでしょうか。
また、2012年にリリースした1stアルバム「channel ORANGE」からシングルカットされた、代表曲の一つ「Thinkin Bout You」は水にまつわるラインでスタートします。
これは号泣のメタファーとして暴風雨を伴う竜巻を使っています。涙と雨を紐付けるのはR&Bの定番ですが、竜巻のラインはニューオーリンズ出身でハリケーン「カトリーナ」で被災して西海岸に移住したFrank Oceanが歌うことで重みが出てくるものだと思います。
「channel ORANGE」収録曲では、「Sweet Life」も海にまつわる曲です。ここでは海のある幸福な暮らしを描写し、「ビーチがあるのに、なんで世界を見ようとするの?」と否定とも肯定とも取れるようなフックを歌っています。このタイトルに反して微妙に含みのある感じがFrank Oceanらしいです。
2016年リリースの2ndアルバム「Blonde」の1stシングル「Nikes」では、プールで人魚のような女性と過ごす描写があります。「Blonde」のほかの収録曲「Self Control」でもプールサイドでのエピソードから始めており、「Pink + White」や「Seigfried」などでもプールネタのラインを使用。その後も2017年のシングル「Chanel」や2019年のシングル「DHL」でもプールについて歌っており、Frank Oceanのリリックでかなり定番のものになっています。
そのほか、2018年には「Moon River」をカヴァーしたこともありました。こうして並べてみると水関係のラインがある曲はシングルカットされていることも多く、Frank Oceanにとっては水がずっと重要なモチーフになっていることが伺えます。「Detox Lounge」でも話に出ましたが、水にはスピリチュアルな要素があります。Frank Oceanの持つスピリチュアルなイメージは、こういった水にまつわるリリックの多用から生まれているのかもしれません。
そんなFrank Oceanについての記事も先日発売された「オルタナティヴR&Bディスクガイド」で読むことができます。R&B Lovers Clubの始まりもこの本からでした。
今回「Detox Lounge」に出演して改めて思いましたが、やはり好きな音楽の話をすることは楽しいです。そして、音楽の話といえば、6月24日(月)22:00から、J-WAVEの番組「SONAR MUSIC」に出演します。今回のテーマはEminemです。皆さま是非。
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