なんとなくCDが好きという話
東京のビートメイカーのsoakubeatsが12月25日(水)にCDでリリースするアルバム「ひとり分の力」の予約開始と、収録曲「The Bridge」配信リリースのプレスリリースを担当しました。
東京を拠点に活動するビートメイカーのsoakubeatsは12月25日(水)、ソロとしては三作目のアルバム「ひとり分の力」をCDでリリースする。CDは500枚の限定生産となっており主宰レーベル「粗悪興業」のオフィシャルグッズショップのほか、Amazonなどでも販売を予定。12月2日(月)から予約を開始する。初回版には特典も付属する予定だ。また、予約開始と同日にはA-THUGをフィーチャーした収録曲「The Bridge」を配信リリースする。
2012年からPCでのビートメイクを始めたsoakubeatsは、トラップやグライムといったストリートのラップミュージックからの影響を色濃く受けた作風を聴かせるビートメイカー。これまでにECDやOMSBらを迎えた2012年の「Never Pay 4 Music」、入江陽やJin Doggらと制作した2018年の「Crude」の二枚のソロアルバムをリリースしている。そのほかDJ Q x tofubeats「Sirus」への参加などで知られるDEKISHIやMinchanbabyといったラッパーとのタッグ作を複数枚リリースしており、近年では2021年にOGGYWESTと組んだアルバム「永遠」を発表している。
今回リリースするアルバムは、日々感じる感情の機微を昇華させたビートに、「地に足の着いた人であること」を重要視した人選の客演を迎えた作品だという。これまでにも共作経験のあるonnenやOGGYWESTらのほか、PAZUやtofubeats、A-THUGやMoment Joonらが参加。先にシングルとしてリリース済みのvalkneeと霊臨(TAMARIN)を迎えた「【令和最新】」、MinchanbabyとYoung Celeb Narutoをフィーチャーした「終わっていいとも!」も収録されている。アルバムタイトルはECDのツイートから取られたもの。soakubeatsが今作の制作に難航し、挫けそうになった際に見返して「もう一度自分を信じよう」と奮い立たせていたことから名付けたという。
新たにシングルとして配信リリースする「The Bridge」は、不穏な空気のシンセをループしたトラップ系の一曲。A-THUGがニューヨークで困難に直面しながらも懸命に生きる日々をラップした、soakubeatsが今作で重要視する「地に足の着いた」ヒップホップとなっている。
ミックスとマスタリングはIllicit Tsuboiが担当。アートワークは画家の佐藤允の描き下ろし。アートディレクションは坂脇慶が担当した。また、アルバムのリリースとあわせてコラージュアーティストのohianaが制作したグッズも粗悪興業のオフィシャルグッズショップで販売予定だ。以下、soakubeats本人によるコメント。
1. 豚 (ting-a-ling) (feat. FULLMATIC XX)
2. 終わっていいとも! (feat. Minchanbaby, Young Celeb Naruto)
3. Fermata (feat. tofubeats, onnen)
4. The Bridge (feat. A-THUG)
5. 底流(feat. PAZU)
6. Happiness (iscoming) (feat.NowLedge, PICNIC YOU)
7. 熔けた (feat. onnen)
8. 【令和最新】 (feat. valknee, 霊臨 (TAMARIN))
9. Soakukogyo Royal Rumble (feat. 没 a.k.a NGS, METEOR, 浅草太郎, fri珍, KING3LDK, ヤング・キュン, マイクアキラ)
10. SimCity 2000 (feat. DEKISHI)
11. 一安心 (feat. CHIYORI, OGGYWEST)
12. GOOD LUCK (feat. Moment Joon)
今回はCDのリリースのお知らせです。音楽を聴くツールとしてストリーミングがすっかり浸透しましたが、やはりCDならではの良さというものはあると思います。ブックレットを含めた物としての魅力、CDプレイヤーに入れて少し待つことの儀式性、二枚組(三枚組)のアルバムを途中で区切って聴くことができる、ライナーノーツが付くことがある……などなど、ストリーミングにはない良さは多くありますが、私の中で最も大きいのは「なんとなく好き」という気持ちです。「ライターなんだからそこはちゃんと言葉にしてくれよ」というツッコミも入りそうですが、このCDへの愛着については自分でもうまく説明できないところがあります。
今年私が関わった作品では、今回のsouakubeats作品含めて4枚がCDでリリースされています。国内盤ライナーノーツを担当したHiatus KaiyoteとCharlotte Day Wilsonのアルバム、配信時のプレスリリースを担当したONENESSのアルバムがCDリリースされた作品です。
レコードをコンパクトにしたようなHiatus KaiyoteとCharlotte Day Wilsonのアルバム、デザイン方面のクリエイターも在籍するONENESSならではの強みが出た分厚いブックレット付きのONENESSのアルバム、いずれもストリーミングでは味わえない魅力がCDにはあったと思います。
今年購入したCDで印象的だったのは、DJ☆GO「LEGIT BLUE」とRIVA RUNZのコンピレーション「4EVA RIVA RUNZ」、長谷川白紙「魔法学校」の三枚です。DJ☆GOのアルバムはブックレットに自身で撮影した美しい海や車の写真を使用しており、その作りはドライブ向けの音楽性とも一致しています。RIVA RUNZのコンピレーションはG皿名物・ブックレットでのカミングスーン告知に思わずニヤリ。長谷川白紙のアルバムはブックレットの歌詞が一部縦書きになっており、文章の組み方も下揃えになっていたりとカオスな音楽性と合った作りになっています。声の使い方を論じたimdkmさんによるライナーノーツも面白いです。
いずれも音楽性とブックレットの作りが一致していることで生まれる良さがあり、こういったところにCDの魅力があるように思います。
しかし、それはレコードやカセットテープといった別の媒体、さらに言えばTシャツなどのマーチャンダイズとも共通するものです。また、Bandcamp等で売られている音源にもデジタルブックレットが付属することがあります。それらとCDの違いとは何かというと、やはりそれは「なんとなく」というところになってしまうのですが、意外とこの「なんとなくCDが好き」という方は多いような気がしています。そのうまく言葉にできない愛着を大切に、これからもCDを買い続けていきたい。CDでのアルバムリリースと聞き、そんなことを考えました。
ここから先は
¥ 100
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
購入、サポート、シェア、フォロー、G好きなのでI Want It Allです