ファシリテーションの仕事
今週は、他部署でのチームビルディングの仕事を依頼されました。私はデンマークに来てから、チームビルディング、ファシリテーションのスキルを学んだのですが、自分の考えていることを説明したり、見える化したりすることに長けているデンマーク人の同僚にいつも関心しています。ファシリテーションは、その言語化、視覚化、振り返りのお手伝い。現場からその具体的な内容をレポートします。
ワークショップの概要
8時半から14時までのプログラム。会場は社外。新生の5人のチームで、普段、同じ部門では働いていないけれど、データにかかわる役割を果たしている職員がメンバーで新たに編成された横割りのチームです。ワークショップを依頼したマネージャーとの話し合いで、ワークショップの目的は、チームの土台づくりということがわかりました。アウトプットとしては、チームのミッションをはっきりさせること。チームの一人一人の個性、経験、能力をお互い明らかにさせること。チームのビジョンについて話し合いを始めること。の3つが決まりました。
チエックイン と チエックアウト
長めのワークショップや、チームビルディングをするときに、始めと最後に簡単に参加者の関心や、考えをとらえるチエックイン、チエックアウトのプログラムをいれます。
今回のチエックインは、皆で輪になって、床にならべたきれいな写真から、プライベートでの自分、仕事での自分にピッタリくる写真をそれぞれ2枚選んでもらって、それを皆に語る、ということをしました。
チエックアウトでは、皆で輪になって、今日のチームビルディングで、思ったこと、感じたことを1つの言葉で表現してもらう、ということをしました。
家の土台をかためる
ミッション-チームの目的と存在意義-とビジョン-チームの未来像-は、それぞれ家の土台と屋根に例えられます。新設されたチームであるため、今回のワークショップでは、家の土台に相当するチームの目的について、共通理解を深めることに焦点を当てました。そのため、今回のワークショップで最も時間を費やしたのは、日常業務ではなかなか話し合う機会のないチームメンバーが、気軽に意見交換できる環境を整え、普段とは異なる視点から、見過ごされがちな共通の業務について、じっくりと話し合うことでした。
自分の個性、得意分野、経験と役割を言語化する
今回のチームビルディングでは、異なる部署から集まった5人で新しいチームの基盤を築くことが目的でした。新設されたチームのため、個々の個性や得意分野、経験、役割を理解するためにペアインタビューを行いました。例えば、自分の特性が仕事にどのように役立っているか、または問題を引き起こす可能性がある状況などです。会場は海辺に近い素敵な場所で、参加者には30分間歩きながら話をしてもらいました。
その後、30分経過して再び集まった際には、各自がインタビューした相手についての話を発表し、共有しました。
共通のしごとを形にする
次に、共通の業務とそのプロセスを模造紙に書き出し、どの仕事が共通しているかを一緒に確認しました。それから、各自がその業務における自分の役割、最も貢献できる点、または支援が必要な点について考え、それぞれ発表しました。この内容は大きな紙に書かれ、個々の役割、専門分野、経験が視覚的に表されました。
チームの役割と目的を言葉にする
その次に、チームの役割と目的を考えてもらうために、視覚化された共通の作業と個々の役割、専門分野、経験を見直しました。最初に各自で考える時間をとった後、各自が考えたことをポストイットに書き留め、全員の前で発表し、家の土台のイラストに貼り付けてもらいました。ポストイットには書かれていなくても、発表中に出た有益な言葉やフレーズも、私がファシリテーターとしてメモし、新たなポストイットに追記しました。
家の屋根をつくる
最後に家の屋根づくり。あらかじめ机の上におかれた写真から、自分たちのチームの未来像を象徴する写真をそれぞれ1枚選んでもらい、発表してもらいました。ファシリテーターである私が、それぞれポストイットに発表されたことを書いていき、家の屋根のイラストの上に、写真とともに貼り付けました。
どんな結果が得られたか
チームビルディングの日は、学びが深まる1日でした。参加者のフィードバックとしても、チームのエネルギーが増した、共通の業務を振り返えることができた、新たな気づきを得た、チームとしての結束を深めた、普段は話されない話題にも触れる有意義な時間を過ごせたと言ってもらえました。
私自身にとっても、他のチームの特性や行動パターン、強みを見ることができ、自分のファシリテーションスキルの長所と短所を理解する良い機会となりました。
ところでなぜ、ファシリテーション?
私が勤める部署は、コペンハーゲンの市民がより健康的な生活を送るために、組織の構造を変革する健康促進プログラムを担当しています。この役割から、私たちは民間企業や他の部署、団体を訪ね、話し合いによる、協働、共創作業が多くあります。ファシリテーションスキルがこの仕事には不可欠なため、私たちの部署では定期的にトレーニングを行い、また、部署間のファシリテーターネットワークグループへの参加も奨励されています。今回のワークショップはそのネットワークグループの一環でした。私たちの部署には、ワークショップや会議で使用するためのファシリテーションツールキットがあり、カラフルな画用紙、ペン、レゴ、ポストイット、美しい写真などもそろっています。