令和5年度修了考査〜自分がやったこと〜
みなさん明けましておめでとうございます。
闘うです。2024年もよろしくお願いいたします。
1.令和5年度修了考査を終えて
12月15日(土)、16日(日)に修了考査を受験してきました。
2日間は心身共に負荷のかかる試験で、とても疲れました。
手ごたえとしては正直わからないです。一応現状の実力は出し切れたんじゃないかなって印象です。学習したところはしっかり解けたと思います。学習していない所は他の学習した知識と実務経験を使ってそれっぽい事は書きました。
3年前の論文式試験は学生で専念生だったので勉強だけ考えればよかったけれども、今回は監査法人で仕事しながらの学習なので論文の時のノウハウをうまく変えて使う必要がありました。スケジュール、効率的な復習方法等様々な部分で手探りでした。修了考査の学習で苦労した点はそこだと思います。この試験はいかに効率よく重要性が高い論点を抑えるかがポイントになるのではないかと試験を通じて学びました。
今回の記事では、自分の勉強スケジュールと学習方法を書こうと思います。
2.自分の勉強スケジュール
自分は6月末あたりから本格的に始動しました。
期末監査が明けて開示チェックもクローズした頃です。周りを見てる感じ私は早めのスタートで、皆夏休みあたりから始めてました。遅くても10月あたりから始めている感じがします。
ちなみに私が講座に申し込んだのは2022年12月あたりでした。しかし、2023年の1月~6月は忙しすぎたのと、試験までの期間が長すぎてやる気が上がらず、全然触れていません。早めに学習を始めるのはいいと思いますが、コツコツ続けられないと意味があまりない気がします。個人的には6月からやれば十分間に合うと思います。
スケジュールの大まかの流れは
①6〜8月は税務特化で講義の消化と設例の回転
②9〜10月は答練受験&復習。経営、監査、会計実務
の講義を消化する。
③11月前半は監査、経営、倫理、の自作レジュメを作成し直前の回転用教材を作成する。答練の復習も実施
④11月後半から本試験まで答練を復習&テキストを確認。直前に覚えたい内容のレジュメ作り。回転用教材の回転(読込みと演習)
って感じです。なぜこのようなスケジュールとしたのかを説明しましょう。
理由①重要性と割ける時間の兼ね合い
修了考査も当然科目間の重要性が異なります。科目の重要性として学習すべき順位は税務→会計→監査→経営→倫理と判断しました。この判断は、過去の諸先輩方のアドバイスと自分の実力を基に判断しました。勉強時間の配分は税務4、会計3、監査1.5、経営1、倫理0.5って感じです。
税務は監査法人勤務の会計士は一番触れない分野だし、量がとてつもなく多いのもあり最優先に取り組みました。周りの人の話、噂を聞くに、税務は本番で一番ごまかしがきかない科目です。おそらく計算メインで論述みたいに点数が入る余地があまりない事を考えると勉強量がモロに出る科目でしょう。全然勉強せずに突撃して落ちた人の成績を聞くと、会計と監査はB、C取れていても、税務がEを取るという感じで段違いに成績悪いです。
その次の会計は論文式時代の積み上げがあるものの、実務で論点検討等をやらせてもらえてないので実務経験が不足していました。なので舐めてかかる死ぬと判断したので次点でリソースを割くことにしました。
監査は実務で触れているし、過去問見る感じ実務経験である程度カバーできると判断したのでリソースはそこまで割きませんでした。でも監基報暗記しないとちょっと厳しいし、配点が300点であることを考えると少しは対策しないとダメなのでそれなりにやりました。
経営は純粋に量が少ないし、財務分析、企業価値分析もそこそこやれば点が取れるので後回しにしました。
倫理は経営よりも量が少ないし、自作レジュメを作成する戦法を駆使するとかなり短い時間で大枠をつかめると判断したので経営よりもリソースは少なめです。
他にリソース配分判断の軸として考えられるのは、①論文式の時に財務会計(特に計算)が苦手だったか否か、②実務で触れている分野、③本試験までに形にするにはいつから勉強しなければならないか等あると思います。
理由②私の性格を踏まえた判断
私の性格的に短期間に高密度で学習することが得意でなく、長期間コツコツ積み上げるほうが得意です。そう考えた時に半年前位から計画的に学習を進めればある程度仕上げられると判断しました。忙しい人は短期間で仕上げざるを得ないですが、私の場合そうなると負け戦になる可能性が高いです。確実に2023年の試験で合格したいので少しでもリスクを減らすことを考えてこのようになりました。
長い期間コツコツ積み上げるのが苦手な人が一定数存在するなど人それぞれなので個人の性格とあった学習計画を立てましょう。
(本当に受かっていて欲しいです。執筆中にドキドキしてきました。)
3.科目ごとの学習方法と注意点
ここでは、私がやった学習方法を記そうと思います。真新しいことはあまりないですが一応書きます。正直なところ、各々が公認会計士試験を通じて培った勉強方法をうまく修了考査にアジャストするようにすれば全然問題ないと思います。ちなみに私も論文式試験で培った方法を少し修了考査仕様に加工したに過ぎないです。あと学習にあたっては手を広げすぎない事も大事だと思います。
ちなみに予備校はTACを選びました。選んだ理由として、①TACは長年の実績があること。②経理研出身なのでどの予備校がいいとかこだわりがない。という2点に集約されると思います。正直なところどこでもいいと思いますので好きな方を選択すればよいと思います。
①税務実務
【使用した教材】
・テキスト・答練
・Youtubeに公開されていた中本先生の相続税セミナーのレジュメ
【学習方法】
税務実務は、論文式試験でやった学習法と変わりません。講義を見る→答練までに設例を3~4回転する→答練受験→設例と答練の復習となります。論文式の時も皆さん似たような方法で勉強されていたのではないでしょうか?なので方法については何も不安はないと思いますので特にこれ以上言及はしません。とにかく勉強時間だけ確保してください。どんなに忙しくても税務だけでも学習を進めておくべきです。
論文式から追加される論点は、相続税、組織再編税制、グループ通算、事業税、国際課税となります。論文式の範囲に加えてそれらがのっかってくるので、テキスト見るとおそらく量に絶望します。全ての範囲をこなすのはおそらく不可能なので、まずは法人税と消費税重視で行きましょう。そこを必ず抑えないと落ちるリスク上がります。その次に所得税と相続税をある程度抑えれば確実に合格できるのではないかと思います。事業税、国際課税は余裕があったら抑えるくらいでいいと思います。あるいは直前で抑える感じで十分かと思います。
余談ですが、TACで公開された中本先生の相続税セミナーの内容は2時間で基本的な事項を網羅できます。私も確認しましたが、今年度の出題がセミナーの内容とドンピシャだったので完答できたと思います。試験2週間前で確認しておいてよかったです。これをやっておけばリスクヘッジは十分可能かと思われます。最悪これ以外やらなくてもよさそうな気もします。なぜなら出題実績がこの動画の内容に偏っていて、これ以上やるとコスパが悪いからです。出題実績も数年前に1度だけみたいな物多いですし。
②会計実務
【使用した教材】
・テキスト・答練
・会計監査六法
・あずさ監査法人が公開しているIFRSとJGAAPの比較表
・木村直人先生が作られた重要論点チェックリスト
【学習方法】
答練を軸に学習資料に戻る方法をメインに勉強しました。
つまり答練を受ける→復習の際にテキスト等に戻る感じです。本来はテキストを軸にやりたかったのですが、勉強時間が限られている中では非効率でしたので途中からこの方法に変えました。1年間予備校のカリキュラムに乗りながら勉強するのならいいかもしれないけど、現実的にそのように行かない事が多いのではないかと思います。ちなみに論文式試験の時と学習方法で変えた点は次の通りです。
・講義を全て見ないでブラッシュアップが必要な論点または弱い論点だけかいつまんで見る。
・計算にそこまで時間を割かない。
正直論文の時に抑えた論点の講義をまた見るのは時間の無駄でしたので全部見てません。計算も論文生の時みたいにやりこむのは全体最適を考えたときに非効率なので程々にしました。
計算についてはTACのReview講座のテキストと答練を使って重要論点の計算の演習をしました。本試験までに個別論点Partは3~4回転。連結・組織再編Partは2回転。答練は4回転やりました。さすがに3年間ブランクがあると最初は解けないので、Review講座のテキストで思い出し作業をしました。そして答練を受験して穴があるところを復習という形で進めました。
受験時代にしっかり計算をやりこんでいたおかげですぐに実力が戻りました。計算が得意だと修了考査で投入するリソースはかなり少なく済みますので、過去の傾向を踏まえてリソース配分を決定してください。
理論についてはJGAAP以外にIFRSが出題されます。IFRSはどの程度までやればいいのかわからず対応に苦慮しました。自分がみつけた落としどころとして、あずさ監査法人の資料を読み込むことでした。あずさの資料は、IFRSとJGAAPの差がかなり網羅されていて、一覧性に優れていました。重要論点と位置つけられている論点(退職給付、減損とか)をメインで確認してたまに見返していました。その結果、読んだところがばっちり出たので優秀な資料だと思います(結果論ではあると思うけど。。。)。毎年、更新しているので上のリンク先からダウンロードして使ってみてください。
JGAAPの学習については会計監査六法、テキスト、重要論点チェックリストを駆使して勉強しました。具体的には次の手順で勉強しました。
①重要論点チェックリスト読んで理解が浅い所を把握する
②六法とテキストを読んで理解する。
③理解した内容をチェックリストに書き込む(キーセンテンスとか)
④チェックリストを何度も読み込む。もう少し詳細を確認したい時は六法等に戻る。
チェックリストは重要論点に関する問いが網羅されていたので、あらかじめ六法などで理解した後にチェックリストへ書いておくと回転用教材に早変わりします。時間がない中で効率よく大量に内容を触れるためにはどうすればいいのかと考えた結果こうなりました。TACで受講する人は参考にしてみてもいいかもしれません。
修了考査という学習時間に制約がある試験では効率性が命になります。テキストの読み込みも同様です。これは理論科目全般に言えますが、テキストレベルの粒度だと個人的にまだちょっとまだ絞り切れていないと感じてます(取っ散らかっている。。。)。それだと読み込みの効率性が落ちると判断しました。
そう考えた時、レジュメ、チェックリストの作成と加工を通じ、内容をもっと絞り込んで少ないページを高速回転して重要論点抑えた方が答案を仕上げられると考えました。なので会計実務ではこのような方法となっています。他の科目でもこのレジュメ戦法を多用しています。レジュメ戦法の良い所は、レジュメの作成を通じて頭の中で大枠、流れを整理して記憶を定着できることだと思います。それによって記憶も強固になるので個人的には有効な方法です。
③監査実務
【使用した教材】
・テキスト・答練
・監査実務ハンドブック(監基報とか収録されているやつ)
・レジュメ
【学習方法】
答練を軸に学習しました。答練の復習がメインです。復習の際は実務ハンドブックとテキスト活用してました。特に不正、リスク評価、重要性、会計上の見積りあたりはかなり重要なのでその部分は原文を参照しました。そして復習した内容をテキストに書き込んで直前期に何度も読み込むスタイルで監基報を暗記しました。
監査実務のテキストについてはよくまとまっており、書き込みすれば効率的な回転が可能なつくりでした。なので回転用教材はテキストでした。どうしても直前で短期間で暗記したいものだけレジュメを作成して暗記していました。私は監査法人勤務の準会員なので、暗記の際は実務と結び付けて暗記することを心掛けました。実務経験がある人は、実務をイメージしながら理解することができるので効率的な学習が可能だと思います。
「棚卸立会の時テストカウントをやっていた時の留意点は確かに実務でも注意したし、その通りに行動したな。」
「社内の電子調書システムでいうとどこあたりに添付されている調書か。」
「不正の検討するとき確かプランニングディスカッションではあんなことを議論してて、不正のトライアングルを当てはめて検討、文書化していたな。」
「収益に不正リスクが推定されないときの文書化は確かあのクライアントでやっていてこんな風に文書化していたな。」
等頭の中で規定や留意点を実務経験と結び付けて理解し、試験でアウトプットできるように準備しました。
総括すると監査実務でベストの学習法は、テキストの内容を実務と併せて咀嚼しながら自分のものにすることだと思います。一般事業会社勤務の方はイメージしにくい部分があると思います。しかし監査法人勤務、一般事業会社勤務でも最低限取り組まないといけないのは監基報の暗記です。それができればある程度の答案を作り上げられると思います。もちろん合格答案も狙えます。
④経営実務
【使用した教材】
・テキスト・答練
・レジュメ
【学習方法】
経営実務は財務分析、企業価値評価、コーポレートガバナンス(以下、CG)、IT監査で構成されておりCGとIT監査は初めて学習する分野となります。
計算は学習時に答練とテキスト両方使って一気に分析指標、企業価値評価を復習していました。基本的に論文式試験時の復習なのでとっかかりにくさはないです。内容も簡単なので2~3回転するとだいぶ形になると思います。上記は論文式で経営学を取っていたのが前提になりますが、論文式の時に統計など取っている場合であってもそれ程仕上げるのに時間がかからないと思うのであまり心配する必要はないと思います。
理論はCGとIT監査で構成されています。IT監査については講義を受講して理解した上で自作レジュメを作成しました。TACの南先生の授業は個人的にとても分かりやすいと思っています。テキストの構成も実際の監査を意識した流れになっていたのでストーリー性もあり読みやすかったです。個人的な反省点として、講義を受け終わった後に1か月程放置してしまったことです。それよりなら本試験の残り1か月半前に講義を見て、レジュメ作成等を通じて学習すればもっと定着する知識は厚かったかもしれません。修了考査は学習時間が限られていることを考えると学習のタイミングは結構大事だと思います。
⑤職業倫理
【使用した教材】
・テキスト・答練
・レジュメ
【学習方法】
職業倫理は公認会計士法、倫理規則、金商法(インサイダー規制)で構成されていて、倫理規則の配点が多いです。感覚として倫理規則にプラスして会計士法、インサイダー規制のどれかがセットで出題される感じです。インサイダー規制は数年に一度出題される感じで手薄になりがちですが、出題されたときの影響が大きいのでやっておいた方がよいでしょう。学習量もテキスト100ページあるかないなくらいで少ないので手広く対策した方がベターかと思います。学習のメインは、①倫理規則の基本原則とそれに対する阻害要因、セーフガード。②用語とその定義の暗記です。そこあたりができてれば捻った問題が出ても知識と照らして解答ができるはずです。
先述の通り学習量が少なく、直前の暗記でも間に合うくらいなので、本番1か月前に講義を受け、テキストの内容を理解しました。そして理解した内容を整理する目的でレジュメを作成し、回転用教材としました。本番の出題は想定外の出題でしたが、事前に暗記した定義、基本原則等外すとまずそうな箇所は取れましたのである程度仕上げることができました。そういう意味では勉強法は問題ないと思います。
4.終わりに
修了考査は時間を取って対応すればおそらく過度に恐れる必要のない試験なのではないかなと思いました。本試験と普段の学習を通じて感じたところです。忙しい人も多いだろうし、なかなかやる気もわかない人も多いと思います。しかしこれを乗り越えることによって念願の公認会計士登録ができるので最後もうひと踏ん張りしてほしいですね。とにかく私は二度とこの試験を受けたくないので合格している事を願います。