予算があるから計上しました〜経理現場あるある#2〜
こんにちは。公認会計士の大塚です。
今回も経理現場でよくあったやりとりについてお話ししたいと思います。
予算があるので・・・
以前こんなやりとりがありました(事例はフィクションです)。
前提として3月決算の会社とします。
決算が近づいてきた3月のある日、経理部にいた私は回付されてきたある決裁書を確認していました。
その決裁書には、新商品の広告宣伝に使う景品を3月に発注し、購入費用を3月31日に計上すると書いてありました。
ただよく読むと、景品の納品は4月上旬で、この広告宣伝活動は4月15日から開始されるものでした。
私は費用計上の時期について疑問に思い、決裁書を起案した担当者のヤマダさん(仮名)に連絡しました。
大塚「こんにちは、ヤマダさん。ヤマダさんが起案している決裁書のことでお伺いしたいことがあるのですが。」
ヤマダ「えっ、はい・・・。何か問題ありましたでしょうか??」
大塚「決裁書に書いてある広告宣伝は4月15日からスタートするものですよね?
景品もその広告宣伝で使うものでしょうから、景品代金が費用計上されるのは4月以降が正しいと思うのですが。」
ヤマダ「えっ?景品は3月中に発注しますし、景品購入の費用予算を3月にとっていたので予算通り費用計上しちゃいました・・・。まずかったですか?」
大塚「そうですね。お気持ちはわかるのですが…、予算があるからそのまま費用計上していいというわけではないんです。
景品は4月15日以降の広告宣伝で使われるのですから、使われた時である4月15日以降に費用計上しないといけないんです。
ということでお手数ですが、決裁書の修正をお願いできますか?」
ヤマダ「えー、そうなんですか。わかりました(どうしよう、予算未消化になってしまう・・・)」
こんななんともすっきりしないやりとりを幾度となく繰り返しました。
予算のまま費用計上していませんか?
経理ご担当者なら、このようなやりとりを一度や二度は経験したことのある方は意外と多いのではないでしょうか?
予算はあくまでも予算です。
予算があるからといって、事実・実態を無視した費用計上をしていいということにはなりません。
費用計上は、今回のケースのように広告宣伝により景品を使用した事実をもって行う必要があります。
ちなみに今回のケースは景品の納品が4月上旬となっていますが、仮に3月までに景品が納品されたとしても景品を使われなければ費用計上はできず、翌期の費用として繰り越す必要があることにも注意が必要です。
予算消化は重視されている
営業担当者などからすれば予算の消化、未消化は大変重要な問題です。
理由の一つとして、費用予算を取ったけど、結局使わなかったとなれば最悪その分の費用が翌期に削られ、結果として使いたい費用が使えず営業活動に支障をきたす可能性がある、ということがあげられます。
もちろん予算未消化=即翌期予算の削減ではないと思いますが、その可能性がよぎり、結果として今回のような予算のまま費用計上をしてしまおうという動機がはたらく可能性はあります。
経理担当者としては、上記のような状況やその他の企業内のさまざまな事情を把握して、特に決算時期には予算のまま費用計上がされていないかを気をつけて確認してみてくださいね。
まとめ
今回は予算のまま費用計上してもいいというわけではない、というお話しでした。
単純に会計を知らずそのまま予算を費用計上してしまうこともあれば、なんらかの理由で恣意的に予算のまま費用計上する可能性もあります。
忙しい決算の時に会計処理を修正したり、会計監査や税務調査などで指摘されることがないよう社内を教育啓蒙したり、会計処理前にチェック機能がはたらく仕組みがあると理想的ですよね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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