こんにちは、臨床心理士・公認心理師の あまがさ です。
Xには、旧twitterの頃から、「1つの投稿は140字まで」という特徴があります。
この140字というのが、なんとも絶妙な数字です。
人間が同時に把握できる情報の数には限りがあります。
認知心理学者のMillerは、7±2個がその限界であることを見つけました(ミラーの法則)。
とても大雑把に考えると、20字ずつひとまとまりの意味を作っていったとき、7つつなげるとちょうど140字に達します。
だいたいの投稿が7±2個以下のまとまりでつくられるので、私たちは楽にタイムラインを読み流していくことができるのです。
読み手にとっては、ちょうどよく、ありがたい字数。
しかし、書き手になったときには、自分の言いたいことが収まらず、いけずに感じられることも多いでしょう。
リプライをつなげたり、課金をすれば、140字を超える長い文章も投稿できます。
しかし、どんなに内容が良くても、ただ「長い」だけで敬遠されてしまうことを、読み手でもある私たちはよく知っています。
自分の発信を、より多くの読み手へ、より負荷をかけずに届けたいならば、1つの投稿140字に収めるのがベストと言えるでしょう。
SNSに限らず、言葉で他者に何かを伝えたいときにも、応用できる視点かもしれません。
そこで今回は、「言いたいコトを140字に収めるテクニック」について考えていきたいと思います。
例として、投稿してみたいことを1つ、思いつくまま文章にしてみました。
もちろん、字数オーバーです。
これを140字に収まるようにしていきたいと思います。
①重複を削る
意味や機能が重なっていたり、繰り返しになっていたりして、1つ消しても支障がなさそうな部分を探します。
また、いわゆる二重否定文(「~でないことはない、~は不可能ではない」など)もないか見てみましょう。
「それ」や「それら」も、繰り返しになっていることが多いので、試しに消してみてください。
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② 修飾語・接続詞
いわゆる形容詞や副詞といった、他の部分に意味を補足している箇所に注目してみます。
これらを削るとニュアンスに多少の変化が生まれます。
その変化が重要であるかどうかが、削るか残すかの判断のポイントになるでしょう。
また、文と文をつなげる接続詞についても、本当に必要かどうか検討してみます。
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③ 主語や動詞を省略する
主語や動詞が文脈から明らかであるときには省略できます。
ただし、省略した部分は読み手の推測に頼ることになるので、誤解や分かりづらさの原因になってしまうこともあるでしょう。
大切な部分については、あえて主語や動詞を示すという選択も必要です。
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④ カタカナ語
「コミュニケーション」「コンサルテーション」「マネジメント」といったカタカナ語は字数をとることが多いので、言い換えを試みます。
ただし、カタカナ語は専門用語であることも多いため、どこを言い換え、どこはそのままにするかは、自分の言いたいこと次第になります。
言い換えがうまく思いつかない時には、「日本語シソーラス連想類語辞典」を参照するとヒントが得られます。
たとえば「コミュニケーション」で検索すると次のように出てきます。
また、クライエントをCl、スーパービジョンをSVなど、略語を使用することも有効です。
ただし、略語は通じる読み手が限られてしまい、その略語を知らない人にはほぼ何も伝わらなくなってしまうことを承知しなければなりません。
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⑤ こと・もの
「~ということ」「~といったもの」は、削ってみたり、熟語に言い換えたりできないか検討します。
熟語にすると大抵は堅い印象になるので、塩梅は調整しましょう。
熟語が出てこない時にも、先述した「日本語シソーラス連想類語辞典」が役に立ちます。
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⑥ 「~している」、「~してしまう」など
「する」や「いる」には様々な形があり、ニュアンスを補足しています。
これらをあえて「する」や「いる」に戻し、付け加えていたニュアンスが本当に必要か検討しよう。
断定的な言い切りの形になってしまうので、必要な部分はクッションとして残すという選択肢も考えたいところです。
さらには、「する」や「いる」さえも省略し、名詞で言い切る「体言止め」にすることもできます。
どうしても収まらない時には使える手です。
(例)コミュニケーションは十数%はずれていってしまって自然であり、
コミュニケーションは十数%はずれて自然。
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⑦ 一番言いたいこと
かなりコンパクトになり、140字に収まりました。
最後に、修正する前後で読み比べて、「自分が一番言いたいこと」がクリアになったかどうか確認してみましょう。
必要があれば、稼いだ字数を使って最終調整します。
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完成!
せっかくなので、あとでXに投稿しておこうと思います…
(荒らし対策のため、形だけ有料記事として設定しています。購入しなくても全文をお読みいただけます)