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コントロール感を得たい――不確実な世界でどう生きるか?
人はなぜ「自分でコントロールできる」という感覚を求めるのか?
不確実な世界の中で安心感を得るために、多くの人が何かを信じたり、ルールを作ったりする。しかし、それが行き過ぎるとスピリチュアルや陰謀論に依存し、自分の世界を歪めてしまうこともある。
「コントロール感」とは何か?心理学では「自己効力感(Self-efficacy)」と呼ばれ、自分の行動が結果に影響を与えるという感覚のことを指す。人間は予測し、管理することで安心感を得る生き物だ。しかし、それが過剰になると、かえって不自由を生むこともある。
たとえば、「宇宙の法則」「波動」「引き寄せの法則」といった考え方は、世界を自分の意志でコントロールできるという幻想を与える。その一方で、陰謀論にハマる人は「裏の真実」を知ることで世界を理解し、操れるという感覚を得ようとする。どちらも「見えない何かを知ることで、現実を支配できる」という欲求が根底にある。
しかし、すべてを「自分の力で動かせる」と考えることは、実は自分自身を追い詰めることにつながる。他人や環境を思い通りにしようとすると、うまくいかない現実に直面したとき、無力感に襲われるからだ。
では、どうすれば健全にコントロール感を得られるのか?
重要なのは、「変えられるもの」と「変えられないもの」を見極めること。すべてをコントロールしようとするのではなく、自分にできることを少しずつ積み重ねていくことが、最終的に人生を良い方向へ導く。コントロールとは、必ずしも「支配すること」ではなく、「受け入れる力」を持つことでもあるのだ。
次回:「孤独やつながりを求める」
人はなぜ孤独を恐れ、つながりを求めるのか?
SNSやオンラインサロンが流行る一方で、孤独を楽しむ生き方を選ぶ人もいる。この相反する欲求の正体とは何か?
次回は、「孤独」と「つながり」を求める心理について深掘りしていく。