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フォークポップからドリームポップへ!Meaningful Stoneが『Angel Interview』で見せた音楽的進化🇰🇷
『천사 인터뷰 (Angel Interview)』は、Meaningful Stoneが満を持してリリースした2ndアルバムであり、彼女らの音楽的進化が感じられる作品だ。前作のフォーク・ポップ的な感覚を基盤にしつつ、新たな挑戦を積極的に取り入れた本作は、より広がりのある音像を展開しており、リスナーに新鮮な驚きをもたらす。アルバム全体を通して、Meaningful Stoneの表現力が深まり、音楽的な多様性と挑戦が凝縮されている。
リーダートラックから見る音楽的変化
本作は1stアルバム『꿈에서 걸려온 전화 (A Call From My Dream)』フォーク色が若干控えめとなり、代わりにドリーム・ポップ的な要素が強調されている。特に、「손님별 (Supernova)」や「미카엘 (Mikael)」といった先行シングルでは、包容力のあるサウンドスケープが特徴的で、シューゲイザー的な質感を持った後者では音響の深みがリスナーを引き込む。このシフトは、Parannoulなどに象徴される現代エモやドリーム・ポップといった韓国の音楽トレンドに呼応しつつ、Meaningful Stone独自の感性が昇華されている。
その他各トラックのレビュー
『Angel Interview』の各トラックは個性的でありながらも、全体として統一感が感じられる構成だ。
「아침 (10 AM)」: 環境音を取り入れた朝の情景描写が印象的で、音楽と自然音が一体となった新鮮な感覚を提供する。聴く者を一日の始まりへと誘う。
「활엽수 (Oak tree)」と「Westin Josun Hotel」: アコースティックなアレンジでシンプルな楽器編成が主軸となり、歌唱力の進化が明確に現れている。対になったような親和性がある。
「나는 닫힌 문 대신 창문을 열고 (I open the window instead of a closed door)」: ミッドテンポで始まり、後半に向けてヘヴィな展開を見せる。この予想外の展開がアルバム内で際立つ。
「Red Car」: 穏やかな一曲で、まどろむような歌唱とサウンドが心地よい。夜の静寂を感じさせる。
「꿈에서 걸려온 부재중 전화 (A missed call from my dream)」: アナログ感覚の温かみが特徴で、スキャットのような語り口のパートが耳に残る。ノスタルジックな雰囲気を醸し出す。
「우리의 심장이 같은 속도로 뛸 때 (When our hearts beat at the same pace)」: 1stの純朴で初々しい感触を思い起こさせるフォーク系のトラック。
「요가난다 (Yogananda)」: 静寂を重んじたアコースティックアレンジにエスニックサウンドを加え、演奏主体のミニマルな美しさが際立つ。
「속세탈출 (Esc)」: 韓国ヒップホップのSwervyをフィーチャーし、骨太なベースラインとヘヴィなオルタナティブロックが融合した異色の一曲。大胆な挑戦が感じられる。
「_()_」: エレクトロニカを主体にしたエピローグ的な楽曲。これまでの音楽性とは一線を画す新たな感覚が提示されている。
総評
『Angel Interview』は、Meaningful Stoneの1stアルバムで確立されたインディ・ポップのアイデンティティを保ちながらも、音楽的挑戦をさらに深め、幅広いジャンルを取り入れた作品だ。フォークからドリーム・ポップ、シューゲイザー、エレクトロニカ、さらにはヒップホップの要素まで、音楽的な多様性を感じさせる構成で、どの楽曲も細やかな美意識が宿っている。
これまでのEP『Cobalt』や一連のシングルリリースがオルタナティブロック的アプローチにとどまっていたのに対し、本作はそれを自己流に消化して新たな広がりを提示している。本作未収録のシングルの中では、「다섯 번째 봄 (The Fifth Spring)」のみがフォーク的なルーツを大切にした楽曲として際立ち、エモーショナルなサウンドが彼女の原点回帰を示唆している。この曲は、特に1stのファンにとってチェックすべき一曲だろう。
本作は新規リスナーにとっても、1stアルバムのファンにとっても、発見のある一枚となっており、韓国インディ・ポップの新たな地平を切り開く意欲作として評価できる。『Angel Interview』は、彼らの音楽的挑戦が詰まった作品であり、必聴の一枚だ。