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#087【絵本】エミリー

今日はふしぎで素敵な絵本の世界へ📚
記録として感想を書いています。




今日の絵本

『エミリー』

作/マイケル・ビダード
絵/バーバラ・クーニー
訳/掛川恭子
発行所/ほるぷ出版(1993年)





この絵本のテーマは・・・

著者が絵本で伝えたいことや絵本に込めたメッセージ。
私なりに感じたこの本のテーマは、

【詩人エミリーの素敵な世界】





私が感じた事

何かのオススメで読んでみようと思った絵本。
表紙をめくるとカバーの裏にこう書かれていて何だか謎めいてます。

この絵本は、”なぞの女性ひと”エミリー・ディキンソンと少女の思いがけない出会いの日を美しく格調高い絵で、描いています。詩人のおだやかな日常と特別な世界をちらりとわたしたちにみせてくれる、この絵本は、アメリカの偉大な、そしてよく親しまれている詩人のエミリー・ディキンソンの謎とそれを包みこむ世界の喜びをよくとらえているといえるでしょう。
この絵本は「パブリッシャーズ・ウィークリー」誌年間最優秀絵本賞を受けました。

『エミリー』表紙カバー裏側より


私は未読なのですが、大人の女性に人気の絵本『ルピナスさん』のバーバラ・クーニーが絵を担当。

奥付には、

―この本の絵は、イラストボードに中国シルクをはり、下地にジェッソ(石膏)を二度ぬったうえに、リキテックス社のアクリル絵の具とダーウェント社の色鉛筆、パステルなどを使って描いています―

と書かれていて、絵を嗜む方にはその詳細が容易に分かるのでしょうが、私は一流の画材や丁寧な造りという凄さと理解し、確かに絵の繊細さと発色の美しさを感じました。




アメリカの詩人エミリーは、生まれた土地で結婚もせずあまり人と会おうともせずに平凡な一生を送ったとされていますが、作者のマイケル・ビダードのあとがきによると、庭仕事や子どもは好きでニコニコし好奇心旺盛な人だったようです。
この絵本を書くにあたりエミリーの生家を訪ねた際、いつもクッキーをかごに入れて二階の部屋から外にいる近所の子どもたちにおろしていたように、このお話をエミリーが二階の部屋から庭にいる作者におろしてくれたと書かれています。

この絵本も、向かいの家に越してきた少女とエミリーの交流を描いたお話。
繊細であるがゆえに人との交流を避け、その代わりに独自の詩の世界で幸せに生きたエミリーが描かれていて、とても素敵でした。


少女は、手紙と一緒にブルーベルの押し花を郵便受けに投げ入れた人がお向かいのいつも白い服を着る”なぞの女性ひと”と噂されるエミリーだと気が付きます。ママがピアノを弾きに行く日に一緒についていけることに。どんな人なのか少し怖いような・・・。

「詩ってなあに?」わたしがききました。
<中略>
「ママがピアノをひいているのをきいていてごらん。おなじ曲を、なんどもなんども練習しているうちに、あるとき、ふしぎなことがおこって、その曲がいきもののように呼吸しはじめる。きいている人はぞくっとする。口ではうまく説明できない、ふしぎななぞだ。それとおなじことをことばがするとき、それを詩というんだよ」

『エミリー』より

パパの教え方が素敵。

音楽も詩もある時、呼吸をしはじめるなぞ。
エミリーや自分、人が人を怖がるのもなぞ。
春になったら芽が出て花を咲かせるのも、ふしぎななぞ。

エミリーとこっそり出会った少女は、素敵なふしぎを交換しあいます。



詩人エミリーは、純真でありのままで生きる子どもたちとは良い関係が作れたし、良い影響を与え合えたのでしょうね。
そして世の中にあるふしぎを、たくさん詩に残したことでしょう。

絵本の最後にステキな詩がひとつありました^^
可能なれば、彼女の詩にもう少し触れてみたいなと思いました。




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