#034【絵本】きつねのきんた
今日もホッコリ絵本の世界へ📚
絵本を読んだ記録として、感想を書いています。
はじめに
この絵本は、私がスキなかこ・さとしさんのお話を基にして、いもとようこさんのラブコールでつくられた絵本のようです。
今日の絵本
『きつねのきんた』
かこ・さとし 作
いもとようこ 絵
発行所:金の星社(2005年)
感じたこと
いもとようこさんの絵はやわらかいタッチで可愛らしく、見るといつもほっこりやさしい気持ちになります。でもこのおはなしは、わたしたちに現実をしっかり突き付け、問題を提起しています。
かこさんが1971年に出版した『きんいろきつねのきんたちゃん』は、人間のエゴと自然破壊の関係を動物を通して考えてもらおうとつくられた作品。絶版になっているようですが、たくさんの人に読まれ、紙芝居や劇になったり、ミュージカルやアニメ映画にとのお話もあるくらいだったと記されていました。
いもとようこさんの熱い願いによって【大人になっても忘れたくない いもとようこ名作絵本】として仲間入りしたようです。
前半の、きんたが山で動物たちと遊ぶシーンは、いもとさんの可愛いらしい絵が魅力的に物語をすすめます。
中盤からは不穏な空気。きんたはペットとしてお金持ちの家に連れられてしまいます。
後半で、季節はめぐりあるパーティの日に事件が起き、嬉しくも悲しくきんたは山に帰ることができてお話はおしまいです。
子どもは、どう受け止めるのでしょうか。
「きんたは山に帰ることが出来てよかった」
「お金持ちの人たちは自分勝手!」
「やっとおかあさんと一緒になれたのに、かわいそう」
「やまもどうぶつたちもにんげんがまもらなきゃ!」
感想は色々あると思いますが、このお話がたくさんの人から熱望されているのは、大人たちが少なからず問題を受け止めているからだと思います。
でも20年以上(もっと経った現在でも)同じ自然破壊・環境・共生問題はよくなっていないとかこさんは巻末に記されています。
本当のわけを知る大人がどれだけいて、大人たちがどれだけ行動に移す事ができているのかが問われています。
私たち庶民の小さな力では到底及ばないくらいの大きな力が働いていると思います。でも、小さな力でも一人一人が出来ることを少しずつやっていくことは出来るもの。環境問題の前に、大人たちが身勝手なエゴに自分で気づいていくことも小さな一歩だと思います。その上で自然や動物と共生できる地球になれる貢献ができるよう、大きな力に抗って自分の出来るところから私もはじめます。
いもとようこさんのおかげで、気づきを伝え繋いでいってくれる絵本が存在することも、小さな力を生み出していると思えます。