オリジナルの言葉
オリジナルの言葉を造るのが好きだ。
中でも「一般性が高く、これは流行るのでは?」と我ながらポテンシャルを感じるものがあり、例えば
・「神セトリ」
「YouTube等で音楽を聴いている際、自動再生された音楽がちょうど聴きたい曲である時や、前の曲との間である種の文脈を形成しているさま」を指す。ここでの「神」とは「とても良い」という意味と、まるで神が仕組んだかのような超自然的なランダム性(実際は視聴履歴に基づくアルゴリズムではあるが)のダブルミーニングになっている。人為を感じさせない仕掛けが、表出していない欲望と合致した際に、心を見透かされたような気分になり、より強く「神!」と思う。すでに、ライブやフェスなどで好きな曲が多く入ったセットリストの意味で使われているが、私の方が「神」という言葉を、本来的な意味も含め多角的に捉えていて良いと思う。
・「やばいです状態」
その名の通り、やばい状態。多くの場合、緊急性を伴う。どういうわけか私の母だけが昔から使っている。例えば、カップ焼きそばの湯切りの際、シンクに麺をぶち撒けてしまった時「うわー、やばいです状態だ!」のように使う。
実家にいた頃は「独特で面白い表現だな」とは思っていたものの、自分で使ったことは無かった。しかしここ数年、この言葉になんだかセンスを感じ始め、意識的に使っている。使ってみて気付いたが、単に「ヤバい」と発するより、体言化することで、感情をダイレクトに表現する気恥ずかしさが減る。さらに意味が明白なので「どういうこと?」と問われることもなく、逼迫した状態の中で、ナチュラルにコミカルさを演出することができるのだ。
考えてみると「やばい状態」ではなく、「です」と丁寧語を付けるあたり、興奮と冷静が共存していて、センスが良いと思う。おそらく母の造語と思うが、私の中で彼女のワードセンスに対するルネサンスが起きている。発音は「四川風タンメン」と同じ。
・「ガリンコ」
あんマーガリンコッペパンの略。好物でよく買うものの、名前が長いので、心のなかでこう略している(声に出したことは無い)。一般的に「あんコッペ」と略されているのだろうが、「あん」から「コッペ」の接続にやや力がいるので私的には使い勝手が悪い一方、ガリンコはすっと言えて良い。言いやすさに加え、可愛らしくわんぱくな感じのする響きも、あんマーガリンコッペパンっぽくて気に入っている。ちなみにジャムマーガリンコッペパンは「ジャムマー」。
・「でかいくるま」
トレーラーやタンクローリーなど、全長の大きな車の総称。例えば、車道の路側帯付近を自転車で漕いでいて、後ろからトレーラーが隣車線を並走する際、その全長が予想外に長く、トレーラーの荷台が道路のような視界になりギョッとした時に「でかいくるまだ!」と使う。もちろん、そんなピンポイントな状況でなくとも、単にでかい車をみた時「でかいくるまだ!」と言っても良い。平仮名なのは、思考を介さずに本能から出た素直な感想であることを表現するため。
・「コントリビュートしてない」
コントリビュートとは「貢献」の意で、それが何も状況に寄与していないさまを指す。「黒酢がラーメンに何もコントリビュートしてない」などと使う。字数の割に口に出すと意外なほど言いやすく汎用性が高いと思う。
お気に入りの言葉がありましたら、ぜひ使ってみてください。
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