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サッカーは「やじるし」のスポーツ

「サッカーって、どんなスポーツですか?」
こう聞かれたら、みなさんはなんて答えますか?

・足でボールを蹴るスポーツ
・11人vs11人で闘うスポーツ
・前半45分、後半45分

多分、いろいろなことで、サッカーという競技の特徴を説明することができると思います。

僕はプロ野球のビジネス、プロバスケットボールのビジネスにも関わっていましたが、ここ数年サッカービジネスに関わるようになって、「あれ」と思ったことがあります。
それは、プロサッカー選手の多くが「やじるし」ということばをすごく良く使うこと。

例えば、
「今、チームがどっちのやじるしに向いているのかの確認がすごく大事だと思う」
「今日の敗戦は、まだまだチームのやじるしが同じ方向を向けてないことからきていると思うので、もう少し話し合ってそこを揃えていかないと、と感じています」
相手にやじるしを向けるのではなくて、まずは自分にむけると、何ができるかを考えられるようになる」

こういったことばが、色々なプロサッカー選手の会話の中で、聞こえてきます。

(どうしてみんな、「やじるし」ということばをよく使うんだろう)
そう思うようになりました。

もちろん、他の競技でも、使う選手・指導者はいると思います。
事実を裏付けるデータとかファクトはないので、恐縮ですが、僕の中では、
「サッカーって、他の競技よりも、やじるしをより意識しないといけないスポーツなんだろうな。何でだろうな?」と考えるように、なりました。

多分、一つの理由は、「サッカーという競技の特性」にあるのかな、と思っています。

スポーツにはいろんな競技があって、もちろんどれも楽しいのですが、それぞれの競技の「制限」や「やり方」「ルール」には、個性があります。

サッカーは、こうやってみると、結構自由なスポーツ。
サッカーのグラウンドは105m x 68m = 7,140㎡
22人で割ると、1選手あたり約325㎡です。
これはバスケットコート420㎡、1選手あたり42㎡に比較すると、7.7倍もの広さがあります。
(しつこいようですが、広い、狭いは単なる競技の「個性」です)

野球は、必ずプレーはピッチャーから始まります。
打者が打つところ、ランナーが走るところ、方向は基本決められています。

あくまでも主観ですが、他競技を比べるとこんな感じ。

こうやって比べてみると、サッカーはより「自分の位置や方向に迷う」特徴があるスポーツであるとも言えます。
広いし、時間は反則がない限り、ボールが外に出ない限りは止まらないし、攻守交代はどんどん発生するし、ボールは動くし、相手と味方が入り混じる・・・
また、「パスをどこにでも出せる」という自由度もある。
パス=かなり「やじるし」そのものですから。

だからこそ、自分で方向を常に考えなければいけない、誰かが常に指示してくれるわけではない・・・=「やじるし」ということに、すごく意識がいくスポーツである、そんなことなんじゃないかな、と思います。

自由」という言葉は、「みずからによる」、つまり、自分自身で、自分の意志を持って、決めなければならない。
それが具体的には、サッカーでは、
「どこにいるか」
「どちらの向きを向くか」
「どこをみるか」
「どこに走るか」
「どこにパスを出すか」
「どのパスコースを防ぐのか」
「どこにシュートコースを誘導するのか」
という「やじるし」が伴うプレーになってくる。

常に、フィールドに「やじるし」を何度も何度も描きなおす競技。
そういった形でサッカーを捉えることが、何か大事な本質を捉えているのではないか、と最近考えるようになりました。

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で、サッカーが「やじるし」のスポーツなら、サッカークラブの経営とは、
「いろんな色、個性を持ったやじるしをまとめて、一つの力にする」
そういうことが大事になってくると思います。

photo from license free stock photo

そのためには、まず、みんなが乗っかれるような、「大枠の方向性」が大事で。
20周年を迎えるザスパクサツ群馬においては、先日のサポーターカンファレンスにおいて、こんな図で「大枠の方向性」をご説明させていただきました。

2022.2.14サポーターカンファレンス資料より抜粋

私たちが、ホームタウンの成長と発展のために、いろんな人が「のっかって」「同じ方向でまとまってエネルギーが出てくる」
そんなクラブにならないと、いけないなぁ、と日々思っています。

<まとめ>
・サッカーは非常に自由度が高い特徴をもったスポーツ競技
・自由度が高いゆえに「どちらを向くのか」という「やじるし」の感覚が重視される
・サッカークラブ経営においても、多くの地域の人、関わる人の方向性をまとめる「大枠の方向性」を示していくことが大事





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