【書評】1日5分からの英語で子育て
英語教育に関心のあるご家庭では、インターナショナル・スクールにお子さんを通わせている方や、通信教育などを利用している方、YouTubeで英語動画を見せている方は多いと思います。
絵本の読み聞かせが、言葉を教える意味でいい効果があるのは明らかです。しかし、英語を母語としないお母さんが、英語の絵本を読みきかせるのには、どういった本を選んで、どのように語りかけていくか、わからない部分が多いと思います。その点で参考になるのが、親子英語教室・SUNNY BUNNYの主催者の方による著作「1日5分からの英語で子育て」です。
英語教育の本は、小学生以上を対象としたものが多いのですが、未就学児を対象にしていて、家庭的な取り組みをする上で、この本はもっとも参考になる本のひとつです。
どのような絵本を選ぶか
①英語圏で作られた絵本であること
②ちょうど良いレベルの絵本であること
最初は1ページに、1つ〜2つの英文があるぐらいがちょうど良いでしょう。お子さんが飽きずに読めるぐらいの長さであり、ママが意味を理解し、感情を込めて楽しく読むことができる英語のレベルの絵本を選びましょう。
③有名な絵本であること
英語の絵本は、ぜひ有名な絵本を買いましょう!街でそのキャラクターが使われた商品を目にすることがあるかもしれませんし、英語を学んでいるお友達が同じ絵本を読んでいて、一緒に盛り上がれるかもしれません。有名な絵本を買っておく最大のメリットは、外の世界との接点が増えるという点です。
あとは、めくったりするような仕掛けのある本も、有効です。言葉の話せない赤ちゃんも、一緒にめくって楽しむことができます。
絵本を通じて、どのように取り組むか
毎日英語絵本を読むところからスタートし、徐々に日常会話にステップアップしていきます。ステップは以下の通りです。
【レベル1】毎日5分、英語の絵本を読む 取り組む時期:2〜4歳。英語に触れたことがない時期。 達成すると:✅英語の絵本を英語のまま楽しむようになる。✅毎日1回の英語タイムが大好きになる。
【レベル2】絵本を読みながら、簡単な質問をする 取り組む時期:2歳〜6歳ぐらい。英語の絵本読みを通じて、短い単語を覚えるなど、ママが話す英語を理解し、少しずつ真似できるようになった時期。 達成すると:✅英語の絵本について、簡単な質問に答えられるようになる、✅自分からも「話す」ことで、絵本読みに参加できるようになる✅、Bird や Red、Next page、please、などの簡単な発話ができるようになる
【レベル3】日常の場面で英語で話してみる 取り組む時期:3歳〜8歳ぐらい。簡単な英語の質問に英語で答えられるなど、英語のアウトプットが自然にできるようになった時期 達成すると:✅絵本の英文をアレンジして楽しめるようになる、✅ Let's play hide and seek! などの長めのフレーズを覚えて、自分でも使えるようになる。
レベル2は、1年くらいの時間をかけて取り組むそうです。中学生のように、教えればすぐに、それなりの英文で答えてくれるわけではないので、なかなかもどかしいですが、根気よく続けることが大切です。
また、本書では取り上げられていませんが、普通に遊んでいる時のBGMとして英語の童謡を流しておくのもいいと思います。
取組みのルール
ルール① 毎日欠かさず取り組むこと ... 無理せず、1日5分程度でいいので、語りかけたり、英語の絵本を読むことを続ける。(私が読む限り、未就学児向けの英語教育に関しては、このルールは他の本でも一緒です。)
ルール② 英語タイムはEnglish Only ...「英語タイム」を始めたら、この5分は絶対に英語を話すようにする。
日本語で話すことができないからこそ、英語で何とかしてコミュニケーションを取ろうとする。日本語がないからこそ、絵本の情報と英語だけで、ダイレクトに理解しようとする。だからこそ、英語を習得できるのです。
著者によると、講師として教室で教えていた経験上、上達のいい親子は、英語タイムに日本語を混ぜないことに徹していたそうです。
ルール③ 量よりも質の「インプット」... 子どもにとって興味がない、つまらない、わからない、そういった絵本を大量に読み聞かせるのは避ける。お子さん自身が読みたいと思えるような絵本を、感情を込めて、楽しく読み聞かせることが大切です。
この本を読んで参考にしていること
私はこの本を読んで特に参考にしているのが、子どもが気に入った本を繰り返し読むということです。わからない単語を気にせず、新しい本をどんどん読み進める、いわゆる「多読」とは逆のアプローチです。小学生以上になると、同じ教材を何度も繰り返すのが苦痛になり、学習が進まない原因になるので、多読の方が合うのでしょうが、「気に入ったものを何度も繰り返す」のが、幼児の特性だと、自分の子どもを実際に育てていても思うことです。こうした習性を、うまく利用するのがいいのではないかと思います。
同じ絵本を何度も繰り返して英文や単語を覚え、単語を変えたり、実際の日常の場面で使うこの本のやり方は、とても自然だと思いました。
この本のいいところは、絵本を通じて親子の英語の時間をどう持つかというところにフォーカスしているところです。ですが、英語音声のかけ流しの重要性については、述べられていないので、以下の書籍もあわせて読まれるのがいいかと思います。
また、この本で紹介されている絵本のリストもとても参考になります。次の記事に触れる予定なので、もしよろしければ併せてご覧ください。
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