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【短編小説】カスハラを黙らせた住宅ローン審査第1話
「おい、小林!どうなってんのやあ!ええかんせえ、こらあ!」
住宅ローンの申し込みをした母親の息子の第一声だった。
元暴走族上がりのこの母親の天ぷら惣菜店で手伝いをしている息子でした。ローンの本審査を通したくて説明と依頼に行った時の事だった。
遡ること約3週間前の事、支店長が税理士の大山先生より紹介を受けたもので地区担当者の私に住宅ローンの案件を振って来たものであった。
天ぷら惣菜店の個人事業主であり、税理士の顧問先であり、自宅を購入したく住宅ローンの相談があったもので我が銀行に持ち込んだ融資案件だった。なので準備は早く購入物件の資料と所得の内容が分かる確定申告書を3期分を揃えて支店長経由で目を通すことになりました。
目を通したところ、もう呆れて何も言えませんでした。得意先係の上司の萩川支店長代理も横を向いて知らんぷりをしてました。なぜ、こんな案件を持ち込んだんだと!支店長も当銀行に出入りする税理士だったので、断りきれなかったのか?納得出来ませんでした。一つだけ言えることは、今の住んでいる家賃から判断して月々の返済は出来るだろうなと言えるだけでした。
上司に相談したところ、
萩川支店長代理
「全国銀行保証(株)が保証をおろしたら当銀行は実行するだけだから、駄目だったら断ったらいいだけやん!余り、悩むな!難しく考えんでええよ!」
人ごとでした。私にとって何か嫌な予感がして兎に角急いで仮審査申し込み書と資料を整えて説明書を作りました。
ここまでは良かったのですが、書類をこの代理に提出して保証会社に持ち込む手順となっており、約一週間が経っても保証会社からも何の連絡もなくこの支店長代理に報告したところ支店長代理が保証会社に行かず書類を握り込んでいました。
萩川支店長代理
「すまん、すまん!忘れてた。どうせ審査通れへんやん!すぐ行くから置いといて!」
そこに追い打ちをかけるように税理士から支店長に審査進んでるかの問い合わせが入り私は支店長に問い詰められました。
今の状況を説明したところ、
佐野川支店長
「すぐにわしに言ってこんか!萩川はとろいからなぁ!わしの顔を潰す気か?書類を貸せー!わしが保証会社の上席を知ってるから!すぐ行くから!」
さすが支店長、行動力が早く保証会社に行ってくれました。いつも行動力がある支店長、一方のんびり屋の支店長代理。私も支店長と同じく行動的であり、断るなら、悪い話なら、特に早く動く人間ですから。支店長にすがる思いで女神様に見えて来ました。
次回に続く