雨の日 10月 ボンド
10月7日 穏やかである日とそうでない日がある。今日は穏やか。高校の頃のバイトに出勤する夢を見た。
いつも目が乾燥している。心の底から笑っているのか。私は何をしていても居心地の悪さが抜けない。
誰かに見透かされている気がする。いつも謝っている、誰に謝る。私はいつも知らない誰かに謝る。交差点を渡るとき、ウィンカーを出すとき、ロッカーを開くとき。
空気を吸っても酸素を取り込めていない。手足が痺れる。やがて顔が痺れる。まともに空気が吸えない。
海を見るとき、腕を切るとき、傘をささずに歩くとき、私は許されているような気持ちになる。
どれだけ幸せだと言い聞かせても、口の中から生卵の中のボンドが消えない。何かがついて取れない。
目をくりぬいて髪を引きぬいて首を引きちぎったら取れるか。
人の名前を思い出せずにいる。誰が好きだったのか思い出せずにいる。過去から地続きだなんて信じられない。
生卵の中にボンド、木工用ボンドの匂いは攻撃的で私は息ができなくなる。アセトアミノフェンは3.6g、ボンドは7g、カッターは残り3センチ。赤いドールハウスに塗り込んだら消えられる。
レターパックプラス600円。罪悪感は安い。クリーニング540円。情が薄い。
街が汚れていく。入る店が少なくなる。クラクション4回。交差点とスタジオ。
街が汚れていく。人が汚れる。人の中身を見たくない。雑談1500円。人の中身は汚い。説得。大きな声のおじさん。はやく消えればいい。
何か好きな人がいたような、嫌なことがあったような思いで。誰を信じられるかわからない。
カウンセラーさんは優しい。私に何も思わない。カウンセラーさんに会う。カウンセラーさんは優しい。明日もきっと毎日ピッチャーの氷が冷たくて私は穏やかになる。はやく明日が終わると嬉しい。
何がつらいのかわからない。容量が20Gで足りていない。頭がふわふわしているからどこにでも行ける。アクセルとブレーキの踏み間違い。最後は大きなくしゃみ。
カウンセラーさんと話したい。
毎日お話がしたい。
きえたいのかな。
きえたい理由がないのにきえたい。
きえたいことがクセになってる。
簡単なことだと気づいてしまったから