あいつは覚えていない。私は覚えているのに。 あいつといると独特の匂いがつく。 いい匂いではない。人によっては嫌な匂いかもしれない。 クセになる匂い。いつでも思い出せる匂い。 同じ匂いの人間に私は会ったことがない。 あれは体臭なのか、洗剤なのか。 あいつの家も同じ匂いがした。 不思議な匂いだ。 動物の匂い。落ち着くけれど焦らされる匂い。 どんな香水よりも色気があった。 久しぶりにかぎたい。 あいつといると私はいつも動物らしくなった。 もうあの匂いはしないんだろうか。
10月7日 穏やかである日とそうでない日がある。今日は穏やか。高校の頃のバイトに出勤する夢を見た。 いつも目が乾燥している。心の底から笑っているのか。私は何をしていても居心地の悪さが抜けない。 誰かに見透かされている気がする。いつも謝っている、誰に謝る。私はいつも知らない誰かに謝る。交差点を渡るとき、ウィンカーを出すとき、ロッカーを開くとき。 空気を吸っても酸素を取り込めていない。手足が痺れる。やがて顔が痺れる。まともに空気が吸えない。 海を見るとき、腕を切ると
私は変なのか。 おかしいとか、空気読めないとか。 時々いわれる。 私は変なのか。 昨日の自分はおかしかったなって思った次の日、いや昨日の自分もおかしかったぞ。ってなる。 だけど今、生きてる今。 普通に真っ当に正しくて宇宙の正解。私は筋が通っているような気がしている。 当たり前に希死念慮は、社会的におかしい。 私の脳みそが宇宙なら、私は正しい。 今、普通に楽しそうに生きている人から見れば私は変。 私がそっちにいったら、また思う。 昨日の私おか
高校の頃の私は頭がよく動いていなかった。教科書は読めなかった。人の話は知らない言葉みたいだった。 先生がHRで明日持ってくるものを話していた。 最後まで聞いていてもよく分からなかったので先生に尋ねた。 またあなたかって顔をされた。みんなの前で怒られた。 そんな国語力では受験でうんたらかんたらって言っていた。進学校だったから先生はいつも大学受験の話をしていた。 学校に来なくなった友達がいた。久しぶりに電話をしたら、私が実はクラスメイトから嫌われていることを教えてく
私はなんか恋愛が苦手。 確かにモテないし、外見そんなに良くないっていうのはある。認めるけど。 でも4回告白されたことはあるから。これを励みに生きている。そのうち2人と付き合ったけど、上手くいかなかった。 何で上手くいかなかったかっていえば、恋愛してる自分と相手が気持ち悪くなるから。めっちゃ失礼だけど。 恋愛映画も小説も漫画も苦手。 世の中、恋愛で溢れかえってる。歌も映画も小説もそこら辺の飲み会でも。 人間の三大欲求。所詮動物。 恋愛は気持ち悪い。 母
私の中に母性を感じると消えたくなる。私の中に女を見ると消えたくなる。 私は私のもつ母性を捨てたい。 赤い屋根のドールハウスは母から譲られた。母は母から、つまり私の祖母からドールハウスを譲られた。 私はそのドールハウスをいずれは自分の子に譲るつもりでいた。 母からそう聞かされていたから、私も例にならって自分の子どもに譲ることが当たり前だと思っていた。 中学生の時。 赤い屋根のドールハウスはもういらないか、と母から尋ねられた。私は使わなかったが手元に置いておきた
私は高校を留年した。 どうして?と聞かれる。 どうしてか分からない。学校に行かなかったので気づいたら留年していた。 どうして学校に行かなかったの?と聞かれる。 分からない。 どうして?どうして?と聞かれる。 行きたくなかった。 行けなかったのではない。心の病で行きたくても行けなかったのではない。 自らの意思で行かなかった。 どうして?と聞かれる。 どうしてだろう。 風呂にも入らず1日をベッドの上で過ごした。死んだ目でスマートフォンを眺めていた。スマ