海苔波形作ってみました
マスタリングと私
DAWを触るまでは、自分でマスタリングまでするのも難しくないと思っていたんです。実際やってみたら、舐めていたことがよくわかりました。
なんでDAWで聞いた時とMedia Playerで聴いた時で音量が違うの?1番の謎はここですよ。なんで途中から音量が上がるの?とか。
でも不可能ではないんですよね?使う道具は同じはずですから。
そこで今回は、いまだに根強いシェアを誇る海苔波形を作って、どれくらい音に厚みを出せるか検証してみました。
もともと海苔波形は必ず音量を下げられるイメージがあり、またダイナミクスは大きいほうがいいと聞いていたので、ダイナミクスが大きい-15LUFSあたりのものを目指してマスタリングをしていたのですが、この前碌に使ってもいなかったリファレンストラック(洋楽)を波形チェッカー(Orban)に入れたら、見事に海苔の形をしていたので心が折れました。
いろいろな製作者さんのブログやnoteを見てみると、海苔波形にしてペナルティとの合計で考えている方もいらっしゃるようです。
そんなやり方もあるのか。
これまでダイナミクスを上げてLUFSも低くなるように気を付けていたのは何だったのだと。それはそれで正しいやり方だったし、音楽はもっぱらウォークマンで聞いていて、ウォークマンの自動調節機能に任せておけばとりあえず何とかなったので、まあそういうものなのかなとは思いつつも、全体的に今一つ音量に欠ける感は否めなかった。
例えばKaunaのような視覚エフェクトもパッとしないし、音量が下げられて困るだけだったら、別に海苔波形でもいいじゃないかと思い、試しに1曲作ってみました。ちなみにジャンルはハードロックです。(曲名はまだ秘密)
それがヘッダの画像。海苔波形に近いものを作ったことはあったけど、ここまで濃厚なのはたぶん初めてです。とりあえず作って、ウォークマンにも入れて、念のため音量の厳しいiPhoneにも入れて。これから実際の音を確認してみます。
出来上がった曲について
波形と各種数値(測定にはOrbanを使用)
LUFS:-9.4
LRA:1.3
最大ピークレベル:-2.9
クリッピング(?):なし
使ったエフェクター
楽器用
DD Bitcrusher
DD Equaliser
DD Overdrive
DD Reverb
Room Reverb(Studio One)
マスター用
DD Reverb
DD Limiter
SPAN(Free)※分析用
いろいろな方法で聞いてみた
PC
Windows Media Player 音量は十分。ドラムソロとのバランスもいい。
Sony Music Center for PC 音量は十分。
iTunes ややこもり気味に聞こえる。
Sonic Visualiser 音量は十分。ちなみにクリッピングしてそうな波形はなかった。
Kauna 音量は十分。視覚エフェクトは初期感度だと楽器の数に反比例して大きくなる。
Mutant 音量は十分。イコライザ設定の仕方が分からない。
Spotifyローカルファイル やっぱり音量がでかい。他の曲だとたまにクリッピングのような聞こえ方をするんだけど、これはそうでもない。
Loudness Penalty(オンライン:https://www.loudnesspenalty.com/) ほとんどのサイトで-4.5LUFS。つまり、上の値と合わせるとだいたい-14くらいになるでしょう。YouTubeでマイナスになることなんてないんですけど、そこでも-4.5。音質はややこもり気味だが、音量は特に問題なし。
iPhone
いわゆるプレビュー 音質が悪い。
Spotifyローカルファイル 音量音質ともにかなり良い。
ウォークマン(NW-A50)
フラット設定でも十分いい音。厚みもある。
結論
まだ改善の余地はありそう。もうちょっといじって、上手くいったらvvaveにアップするつもりです。
本当は下みたいな波形と数値が理想なんだけど、この曲って、ミックスをほとんどやらずにこの形になったんです。こんなことってあるんですか?ジャンルはテクノ寄りですが、たぶんそこはあまり関係ないですよね。
LUFS:-15.0
LRA:6.1
最大ピークレベル:-0.7
クリッピング(?):なし
これも実は音圧で言えば今時の(日本の?)トレンドに比べれば弱めなんですが、単に好きだからと比較したUs3のアルバムが同じような波形だったので、まぁこれ自体リファレンストラックに出来そうと思い、そのままにしようと思いました。もちろんUs3もジャンルは全然違うんですが。
LUFS:-14.8
LRA:3.6
最大ピークレベル:-0.0
クリッピング(?):2
というわけで、私の曲がちょっと物足りなく感じるのなら、おそらくわざとです。なんとなく、-15LUFS+ギザギザ波形に間違いはないと思っているので。
もちろん、LUFSとオフライン再生とでは考え方が全然違いますし、実際別々のファイルを用意しているミュージシャンもいるんですよね。スマホでの再生とか、スマホ+Bluetoothイヤホンを想定して配信している方もいらっしゃるでしょう。となると、私の場合はどうしても配信限定で考えなければならず、LUFSは避けて通れないと思ったのです。
私もやっとコツがわかってきたくらいなので、まだまだ勉強が必要だと改めて感じました。やればやるほど、次はこの曲調でやりたいと思うようになるのです。
で、そういう時に、まぐれでいいMIXができた自作曲をリファレンスに使うのはアリなんでしょうか?
そこが今の段階での疑問です。