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ふるさと未来会議まとめ(後編)

異日常に出会う旅。イミ消費と地域。

毎晩、ふるさと未来会議を見ているとたくさんの発想を得られるのと同時に「自分の考えは間違えじゃなかった」と思えることがあります。おごらず謙虚にでも少しの自信をつけながら実践していこうと思う今日この頃です。

後編ということでまとめに入ります。

この写真は京都府を流れる由良川の最上流部に位置する京都大学原生林研究所が管理する芦生の森を流れる川をキャニオニングしている様子です。ここの上流部には誰も生活していません。入山禁止エリアの原生林、手を付けないということで研究をしているエリアです。特別な許可を得て入っていますので一般人は入ることはできません。屋久杉レベルの巨木のある森です。そこを流れる川での遊び、最高です。

芦生の森で川遊びしませんか???

となると、「行きたーい!」となるわけです。だって「非日常の体験ができそうだからー」とか近所に温泉もあるよ!「癒されたーい!」ってなるわけです。

非日常の体験、例えば温泉やスキー海水浴、登山にサイクリングといったことを思い浮かべられると思います。僕の趣味はスキー、MTB、カヤック、素潜り、キャンプなどなどアウトドアあそびが好きで非日常を常に欲しています。で、これは今までの観光のスタイルを踏襲して業界として成り立っている産業構造があります。スキー業界、自転車業界などなど継続的、定期的に非日常に触れるものを趣味の分野と呼べるのではないでしょうか。もしもこれが毎日、毎日となってくると日常となり仕事となるわけです。そうなるとワクワク感が薄れてしまうことも可能性としては有ります。でもこの当事者ではない人、旅人やゲストからすると刺激的なアクティビティーとして有意義な時間に変わるわけです。だから業界として経済活動ができるわけなのです。

田舎に移住してみると、毎日が刺激的なんですよ。シンプルに朝焼けや夕焼けがきれいだとか、鳥の声が素敵だとか、風が気持ちいいとか、草刈りが楽しいとか、毎日が新鮮で身の回りにすごいことがあふれています。でも、毎日毎日、毎年毎年と繰り返すと最初の感動は薄れます。「まだ朝の5時やで!草刈り機うるさいねんけどw」最初は笑えてたけど、イラっとする。んで、草刈り機が鳴り響いていようと寝てられる図太さを手に入れる。。。そして日常になっていく。

遠くに行かなくても、この刺激的な生活そのものが体験になる。この考え方が「異日常」です。(草刈り機の目覚まし時計は最初だけ楽しかった)

この部屋、誰の部屋でしょうか???

絶対にみんな知っていますよね。のび太とドラえもんの部屋です。

ドラえもんの押し入れのにおいってどんなにおいだと思いますか???

のび太とドラえもんにとっては、この部屋は日常そのものです。でも私たちにとっては「異日常」です。誰かの日常にお邪魔しにいくことができれば、それはとても興味深い体験になります。ドラえもんのタケコプターが使えるとかは非日常の体験かもしれませんが、ドラえもんの押し入れのにおいをかぎに行くとかは異日常に触れることだと思うのです。

地域の魅力を掘り起こそうぜ!的なワークショップがあります。流行ってます。

地元民:「うちの近所の神社は1600年の歴史が・・・」

地元民:「天守が残る城が・・・」

地元民:「うちの寺の仏像は・・・」

ワークショップ業者:「いいですねー!ストーリーを考えて売り出しましょう!」

実はこれってみんなやってるんです。んで失敗してる。

地域は売り出したい!でもワークショップ業者に勇気づけられてほめられていい気分になってうやむやになって「あとは継続的な努力でがんばって!」

終ぅぅぅ了ぉぉぉ!  数百万円のコンサル料がチャリンチャリン♪♪♪

これは中山間地域の行政が言いくるめられて予算をもぎ取られてる現状だと思います。大学のゼミや研究者によっても同じように荒らされているという感覚があります。特別なことを全国に見せるのってかなりの労力やマンパワー、時間や予算、地域の団結力というものが必要です。もちろん成功するところもあるけど、中途半端になっているところもたくさんあります。

 事業を継続させるために、補助金とって始めたけど3年で切れて、動きが弱まりまた別の補助金に頼る。モチベーションが下がって、他の人が別の団体で補助金を申請し違うプロジェクトととして似たようなことをする。補助金漬けになって地域として不協和音が生まれていく・・・ここまで絶望的にはなってはいないとは思いますが、外部からの影響が変な方向に行ってたりすると地方創生とはならないのかなと思うわけです。

話がそれましたが・・・異日常。

特別なことをしなくても、わかりやすい観光地化することよりも、近所のおっちゃんに出会わせる、おばちゃんの日常に出会わせるということ自体が体験になりうるのだと思います。団体客を呼び込むというのではなく、スモールグループで会いに行くということが実におもしろい!

この写真は一番、右にいてる漆器職人であり表具屋である職人の工房にサイクリングで訪れてお話を聴くというツアーの様子です。

職人さんからしたら「日常」であり毎日の当たり前なのですが、我々にとっては新鮮で目新しくて面白くて衝撃なツアーとなりました。訪問するたびにおもしろいことを教えてもらえるのです。和紙に漆を塗て固めてを25回繰り返し箱を作るというような作品を作っておられる職人さんです。「装飾として玉虫の羽を使っているんだよ」とか「こないだ新宿の三越で100万超で売れたわー」とか驚きのトークです。

異日常に出会うという旅。これの提供は地元のガイドでないと到達させられることはできません。お客さんも誰でもいいわけではありません。今までの消費するだけの観光。お客さんがたくさんくれば、儲けられればなんでもOKといったような観光とは一線を画すのでお客さんにもご理解をいただきたいです。

この部分に関しては「イミ消費」という言葉が重要になってくると思います。

イミ消費と地域。

モノ消費、コト消費、イミ消費という言葉があります。

モノ消費はシンプルな購買行動です。コト消費は体験活動に支払う参加費みたいなものです。イミ消費はお金を払うことの意味を考えた上での購買行動です。ただ通販でお酒を買うのではなく、被災地のお酒を買って応援すること。コロナで困っている飲食店のテイクアウトを用意すること、フェアトレード商品を買うことなど、自分の支払ったお金の行き先に責任を持つということが重要になります。

私はただお金を落とすためにお客さんを職人さんのところに連れていく、集落に連れていくということはしません。ファンになってもらう、お客さん自身にお土産や商品を買ってもらい、思いをつなげてもらうなど、単純な消費行動で終わらせるようなことにはしたくないと思っています。

綾部市の古屋という集落があります。人口は4名。集落の伝統や文化を守るためにおばあちゃんたちは奮闘しています。このとき訪れたのは集落の特産品である栃餅づくりを手伝うというツアーでした。日常的に人手が足りていない集落でおばあちゃんと一緒に作業する。わざわざお金を払って、作業をしに行くのです。作業をするのにお金を払っているのに、自分たちの手伝った商品を買って帰る。労働力も出してるのに、お金まで払う。イミ消費です。ただのお金とは違う。「血の通ったお金」を渡す。きちんと受け取ってくれます。         「おおきにぃ」     ボランティアツーリズム、クリーンアップツーリズム、ワークツリーズムなどたくさんの言葉があります。

この「異日常」と「イミ消費」の掛け合わせが、地域を魅力的に見せる手段のひとつです。愛ある行動がみんなをハッピーにするのだと思うわけです。

人は誰かのために何かしたい生き物です。「誰か」を増やす旅が田舎にあります。

2020年はコロナでなかなかストレスフルな夏が予想されます。田舎に来ませんか?そして「誰か」を見つけませんか?誰かが「友だち」になると、そこはただの過疎地域や田舎ではなく、あなたの「ふるさと」になります。

ふるさとの未来を一緒に感じませんか?

僕は今回のウェビナーの登壇を通じて、たくさんのふるさとを感じられました。大きな学びがありました。ROOTsの皆さんには感謝しかありません。今後も面白いことできそうです。

ありがとうございました。

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