ふるさと未来会議のまとめ(前編)
KYOTOブランドを使わない戦略
先日、株式会社ROOTsさんが運営するふるさと納税ポータルサイト「さといこ」のオンラインセミナーに登壇させていただきました。
2020年6/1~6/30まで30夜連続のオンラインセミナー、コロナの影響で2月のさといこフォーラムの延期もあって、今回のこの連続企画になったのでしょうけど、有意義かつめちゃめちゃおもしろいトークセッションができました。
対談はかっぱさんさんさんと㈱ROOTs取締役代表の小口潤さんの1対1のオンライン対談。トークテーマは「みんなが勘違いしている KYOTOブランドの真実」といった具合の仰々しいタイトルでお話を進めてまいりました。
言い漏れたことや捕捉、トーク後に気づいたことなどを書きまとめていきます。きっと気づきやひらめき、かっぱさんさんさんの意外な素顔やまじめな部分がみえてきちゃうのではないでしょうか・・・
そもそも京都のイメージって何??
神社仏閣・舞妓芸者・忍者・修学旅行・紅葉・桜・・・と、みんなが持つイメージは似たり寄ったりだと思います。これは世界から見ても同じくであり、Ancient Capital of JapanとしてのKYOTOは世界有数の観光地である。
こんな感じの写真はよくよく目にする光景で、実に「日本を旅行してきました!」ってな感じを表現できます。
でも京都はKYOTOだけではない!
Google USAで【Northern Kyoto】と調べると【Kitayama Area】が出てきます。【Western Kyoto】と調べると【Arashiyama】が出てきます。Outdoorだとギリギリトロッコ列車、Natureだと伊根の舟屋群・・・検索結果がおもしろくない。実におもしろくない。【本当におもしろいところ】が伝わってない。KYOTO=京都市内であって、老ノ坂峠を越えたこっち側共和国のおもしろさが一切つたわっていない。知られていないってことで、そんなことを徒然と書いてまいります。
森の京都とは・・・
京都府の亀岡市、南丹市、京丹波町、福知山市、綾部市の4市1町が森の京都エリアに相当します。京都府域の約43%の面積があり、南丹市だけでも東京都の23区と同じぐらいの面積になります。非常に大きなエリアであり、自然や歴史が色濃く残るいわゆる「田舎」のエリアです。
JR京都駅から20分で森の京都エリアに入れますので、京都市にあふれかえる観光客の目と鼻の先に魅力的な森の京都エリアが広がっているのです。
駄菓子菓子!!
洛中洛外の外側である森の京都なんてKYOTOからしたら、OUT of 眼中ってとこで、全然こっちに目もくれない、知らない、無関心ってなところです。いくらKYOTOに恋しても、片思いで、どんなにおめかししても、暖簾に腕押し、糠に釘。馬の耳に念仏。豚に真珠。猫に小判。まったく相手にしてもらえません。とにかく無理なんです。
「京都市いらっしゃる方ぁー、こっちにも来て―。」って無理。
「寄り道してください!」って無理。
「第一印象から決めてました!」って無理。
KYOTOにいる人に呼び掛けても距離が近くても来ないです。距離は理由にはならないです。「目的地にならなければダメ!」だって、気づいたのです。魅力的であれば来るのか?っていうわけでもなさそうなのです。恋愛と同じ構図です。好き好き好き!と片思いで推し続けても、他に好きな人がいるの!と言われてしまえば撃沈です。恋愛街道真っただ中にいている旅行中の人に、すごく魅力的な中肉中背のおもろいおっちゃんが、あなたを待ってるよ!なんてささやきは届きません。
押してダメなら実家を狙え!
「お義父さん、娘さんを僕にください戦略」**
京都市内に来ている人にアプローチすることはいわゆる「旅ナカ」への情報提供です。全力で誘惑するものの、あくまでも「暇だったら、京都市内で予定がなかったら、時間があればきてくださいね!」すでにある選択肢にもう一つの新たな選択肢を提供するということです。正直、難しい。京都市内には魅力があふれています。嵐山-天龍寺-仁和寺-龍安寺-金閣寺-東寺-二条城-三十三間堂-清水寺-新京極-寺町-祇園-木屋町-マンガミュージアム-水族館-、数々の体験(着物、人力車、歌舞伎、西陣織-竹の体験-染物などなど)それぞれの神社仏閣、事業者さんがみんな努力して誘客をすすめてらっしゃいます。世界文化遺産の数々がひしめき合う京都市内、その周りの商店は京後他社が多数ある中で選ばれるべく、本命の恋人になるために、必死で戦略を立てています。そして地域や商工会、観光協会で囲い込んで外に逃がさないように努力をし続けていらっしゃいます。いわゆる観光地を歩いていると目にとまるおもしろそうな誘惑の数々!! そんな京都市内に到着する観光客は、どのようなスケジュール建てをされているのでしょうか? 自分自身が旅行をするとき、やっぱり事前にある程度のスケジュールや予定は立てます。それでいくと、現地「旅ナカ」での情報収集よりも「旅マエ」の情報収集が重要です。有名観光地は検索キーワードとしてひっかかってくることもあると思いますが、地方の観光地からは勝手にひっかかるというのは難しいです。もちろんSNSやHPで発信し続け、ネット上にアーカイブとして情報を蓄積していくということも重要です。ひっかかったときの情報量、新鮮度は次につながる大きな選択肢になります。せめてひと夏のアバンチュール的な足取りで田舎に足を向けてくれればと願うだけではダメで、戦略的に出発前の情報に引っかかるように現地の旅行会社への営業を強化しています。これが実家を狙えということです。Facebook広告や宣伝媒体のシェア、旅行博への参加、セールスマンとして地域の代表として海外に売り込むことを行っています。
私は森の京都DMOでのサラリーマンの傍ら、ダブルワークでKyoto Inaka Companyという会社を運営しています。ここではKyoto Inaka Cyclingというインバウンド向けのサイクリングツアーを行っています。サイクリングと冠していますが、サイクリング、自転車はあくまでも移動手段であり、ハイライトは地元の工房、職人さんを訪れるというものです。JR京都駅から快速で29分、JR八木駅というKYOTOの外側にある小さな駅を拠点に点在する職人さんに会いに行く旅を提供しています。例えば、組糸の工房、手染め友禅和紙染めの工房、木工職人さん、陶芸家、表具屋、漆器の職人、藍染の工房、竹垣の職人、京すだれの工房、醤油蔵、酒蔵などを訪れます。おかげさまでフランス人観光客に好評をいただいており2020年2月に法人化いたしました。
地域にはたくさんのおもしろい出来事があります。注目すれば一つ一つは輝きをおびるようになります。よく「点」→「線」→「面」みたいなつないでいって価値を生み出すみたいな考え方がありますが、これでは甘いと考えています。
点は玉に。玉(タマ)は玉(ギョク)。ここで初めて線が棒になり、武器になります。武器になれば面となり、多面体となって盾という防御のできる武具になるのです。
主体性がないと、玉(タマ)は玉(ギョク)となって発光体として成立しません。なんぼ外野が「すごいね!」と言っても本人が本気で玉(タマ)がやる気を出さないとどこかクスミのある輝きしか生み出されないのです。自立をしなければ宝石は原石のままということで埋もれたままになります。
小林個人としては、線をひもにしていく作業をしている感じです。
現状は「糸」であり、まだ放射状の関係構築の段階です。糸でもクモの巣のようにネットにしていくことでサスティナビリーティーかつレジリエンスな「網」ができると考えています。
ここに行政との連携が組み合わされば、板として強固になる。でも行政が形式ばって入り込むとレジリエンスなところは失われるのかなと・・・良し悪しですね。
宝石になれば、単体で流通にのっけられます。旅行商品となれば、稼ぐことができます。よっぽど魅力的に磨き上げてしまう。そうなれば旅マエに選択肢としてあがることができます。しかし、単体での勝負は怖いので地域でチームとして展開する。これを地道にやっていきます。そして出発前の現地に売り込み、選んでもらえれば「目的地」となることができるのです。目的地にさえしてもらえれば、こっちのものですよね。どこの地方都市でも同じことだと思います。都市部から1時間離れていようが、6時間離れていようが来てしまえば、おもいっきり気に入ってもらえれば、成功です。そして次につながります。恋の相対性理論。遠距離恋愛は成立します。好きがつよければ距離なんてなんのその!興味があればえんやこらさっさ!京都市なんて目もくれず、現地に来てくれます。