世界一の料理人になる
お店を始めたばかりの頃。
声をかけていただき、名店の店主が集まる会に出席した。
イベントでお会いしたことがあるイタリア料理屋、パン屋、パティスリーの名店長さんたちが歓談してたので、勇気を出してご挨拶を。
テンパった私はあろうことか
私のような主婦上がりの素人が飲食店をしているのをどう思われますか
と、めちゃくちゃ返答に困る質問を投げかけてしまった。
実際、当時は常に卑屈な気持ちでいたのだ。
パティスリーの店長さんは
ずっとこの世界にいる僕たちと違って、柔軟な発想ができて良いと思いますよ
と穏やかに答えてくれた。
その時はもちろん、今も思い出すたび青ざめるほど恥ずかしいけど、同時に猛烈な感謝が溢れて泣きそうになる。
それからひたすら柔軟な発想で家庭料理を作り続け(笑、今は自分の料理を胸張ってお勧めできてる。
のきさきまーけっと
毎月第一日曜日に、北坂戸のシェアキッチンとお隣のキッチンモイさんの軒先で【のきさきまーけっと】を開催している。
イベント出店が初めての方でもチャレンジしやすい、ちいさな、のんびりしたマルシェだ。
今回は久しぶりに、人気のお弁当もご用意した。
イベント後半頃「さっきお弁当を買ったのだけど…」と戻ってきたお客様がいた。(心拍数が急上昇)
お弁当を買うとポタージュは100円引き！のサービスをしていたが、どう考えても金額が違うと。(更に心拍数が上昇)
調べてみると、今日だけ助っ人として来てくれた方がエアレジの入力を間違えたようで
ポタージュは定価
お弁当は100％引き
で会計してしまったと判明。
つまりお弁当をタダで販売したのだ。
お客様はお弁当を食べながら、挟まれていたお品書きを読んで「お金を払いに行かなきゃダメだ！」と思ってくれたらしい。
お客様と臨時スタッフと私の三人で、すみませんとありがとうを言い合った。
とても幸せだった。
名店シェフのお三方と肩を並べることは生涯なくとも、私は私の世界でトップレベルの料理人になりつつある。
全てに感謝。
そしてヘトヘト。