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ニュージーランドも春には桜

 高校を卒業した後に留学することが決まっていた私が、渡航直前で恋しくなったものの一つに、「日本の桜」があります。

 留学までの経緯は是非こちらから。

https://note.com/kaeuta_sono/n/nf3b8d575514b

https://note.com/kaeuta_sono/n/n6e08db1d3948

 桜の起源については、中国発祥だったりヒマラヤ山脈発祥だったりと諸説ありますが、今や日本を代表する花として広く知られ愛されていますよね。
 春になると当たり前に咲いて、季節を感じさせてくれる日本を象徴する花。新しいことが始まるわくわく感と緊張感、そしてそんな感情を柔らかく包み込んでくれるかのような淡い色と気品ある香り。そしてその華々しさは、思わずため息が出る程の可憐な花吹雪となって、儚くも見事なパフォーマンスをもって短い見頃を終えてしまう。
 この雅な光景は、日本で生まれ育って毎年当たり前のように見ていても、毎年新鮮な感情をもたらしてくれるのですから不思議です。

 その短い見頃を含めて魅力的な桜ですが、私が育った北海道はゴールデンウィーク頃にその満開を迎えます。4月に渡航が決まっていた私は、直前に日本の桜を見収めることができないとわかっていたので、前年の5月に友人と桜を楽しみながら、これが渡航前最後の桜か・・・などと、青春ゆえのセンチメンタルな気分に浸っていたものです。もう見られないかもしれないと思うと、必要以上に執着するのは人間の不思議なところで、以降お店などで桜モチーフのものがあるとつい買ってしまったり。今となっては笑い話ですが、当時の私は、自分で決めた留学とは言え多少の寂しさもあったので、渡航までの約1年は、桜を含め日本を感じられるすべてのことに目を光らせて、必死に感じようとしていたように思います。

 そしていざ渡航。南半球に位置するニュージーランドは日本とは季節が逆なので、渡航した時の季節は秋。日本と同じく四季がある国なので、冬が始まる前の鼻につんと来る冷たい空気や落ち葉の香りが同じでほっとしたことを覚えています。

 日本と同じように紅葉した葉が落ち、凍えるような冬を越えて春を迎える頃。私は初めて気が付いたのです。
ニュージーランドでも普通に桜が咲くのだということに。
ソメイヨシノはもちろん、日本で見かけるよりも様々な品種が咲いていたように思います。

 当時の私は無知で、桜は日本でしか咲かないものだと思い込んでいましたので、外国を絵に描いたような街並みの中に日本を象徴する花である桜が堂々と咲いている光景というのは、そのギャップに驚かされつつも意外な程自然に受け入れられて、むしろ日本とは一味違った溶け込み方をして景色を成立させている姿に、桜の奥深さを感じました。

そびえたつ山、パラグライダー、そして桜。

 ちなみにニュージーランドの桜についても諸説あり、関東大震災の際のニュージーランドからの義援金のお礼にと、昭和天皇が桜の苗を送ったという説をよく聞きましたが、真偽の程は定かではありません。
 そうであってもなくても、何かがきっかけとなって植えられた桜が、何十年、もしくは何百年経ってもこうして後世で楽しまれているなんて素敵ですよね。

 日本の様に大勢の人が集まって桜の木の下で宴会、という光景はほとんど見かけませんが、お店でテイクアウトした食べ物を持って、桜が見えるベンチでランチタイムという楽しみ方はお花見に似ていて、所変われど美しい花を見て愛でる気持ちは同じなのだと思うと嬉しくなったのでした。


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