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語学学校で英語力はどれだけ伸びたのか
海外渡航が決まったのは良いけれど、語学学校に通う必要はあるのか、通うことでどれだけリスニング力やスピーキング力がつくのか不安に思う方も多いでしょう。
学校の規模や生徒の国籍の割合、周辺環境、そして個人の努力が大きく関わっていることは大前提として、語学学校を卒業した後に自分の英語力にどれだけ変化があるのか、気になるところですよね。
そこで、高校卒業後にニュージーランドの語学学校で8ヶ月学んだ後、無謀にも95%が現地人の美術学校に飛び込んだ私が、語学学校を終えるまでにどれくらいの英語力がついたのか、行ったからこそ得たものと、その後突然現地人ばかりの環境で生きていく上でそれがどのくらい活かされたのかを、経験談を交えてまとめていきたいと思います。
そもそも語学学校の勉強とは
語学学校での授業を簡単に説明すると、テキストをベースに様々な言い回しの使い方について学び、それを応用した文章を作成して発表したり、グループで会話やディスカッションをしながらアウトプットするスタイルが多かったです。その他音声を聞きながら単語を拾う練習や、映画を観たり長文を読みながら穴埋め問題を解き、一週間学んだことを元にした小テストが週末に行われるという、授業の形式としては日本の高校や大学と同じような感じでした。
学校や先生によって大きく変わる部分もあるでしょうし、私が通っていた当時の話ですので最近のことは詳しくわかりませんが、色々な方のSNSなどを拝見する限り、今もあまり大きな差はない印象です。
語学学校を卒業する頃の自分の実力
そんな語学学校生活を8ヶ月続けた私ですが、語学学校に通う期間としてはかなり長い方でした。ワーキングホリデーの初めに数か月学んで仕事を探す留学生や母国の大学を数か月休学して学びに来る学生が多く、語学学校留学をメインにしている留学生は少数派だったように思います。
このような長期の語学学校生活を終える頃の当時の体感としては、かなり話せるようになったと感じていました。
お恥ずかしながら根詰めて勉強を頑張るタイプの真面目な生徒ではなかったものの、ネイティブの先生の言うことはほとんど理解できるようになっていましたし、出会った国際色豊かな友人たちとのコミュニケーションにも壁を感じることはほぼなくなっていました。
伝えられる、伝わる、聞き取れる、相槌が打てる、発音も褒められる。
十分じゃないか!自分すごい!と、留学当初はほとんど話せなかった自分としては、かなり大きな変化であり、かなりの自信に繋がっていました。
私は卒業後の帰国は全く考えておらず、そのまま現地で暮らし続けるつもりで、現地の美術学校への進学が決まっていましたが、大きな不安は特になく、何ならアジア人ばかりだった語学学校の環境からニュージーランド人ばかりの環境になることで、ようやく本格的な海外生活が始まるんだ!しかも自分が本当に学びたいことを学びながら現地人の友達もたくさんできるんだ!というワクワクが大きかったのです。
その後早々に挫折することも知らずに。
初日で思い知った自分の本当の実力
ワクワクした気持ちで迎えた登校初日。美術学校ということもあって、個性的な服装や雰囲気をまとった生徒たちの集合体に圧倒されつつも、そんな学校の空気感そのものは気持ちを高めてくれました。
そして見渡す限りニュージーランド人ばかり。ちらほらアジア人がいたものの、日本人は私一人のよう。それはそれで良かったのですが、語学学校とは違い、周りから聞こえてくる言語が100%英語であることに少々違和感を感じていました。
なぜなら、思い返せば語学学校は多国籍な生徒たちの巣窟。休み時間には英語よりも様々な国の言語が飛び交っている環境でしたし、異国の生徒同士で話す英語も綺麗なネイティブの発音ではないわけです。日常生活やホームステイ先ではもちろんネイティブの発音に触れている毎日な訳ですが、100人近いネイティブの集団の中にぽつんとひとり放り込まれる経験は、意外にも初めてだったことに気づかされました。
そんな中、周囲の雑談が思いの他ほとんど聞き取れないことに気が付いて、どんどん不安が募っていったのです。
そしてその不安は消えるどころか、毎秒じわじわ増していくという恐怖。
先生の説明が聞き取れない。
クラスメイトの話が聞き取れない。
彼らの話すスピードについていけない。
自己紹介も思うようにできない。
語学学校の先生の英語はほとんど聞き取れていたはずなのに、美術学校の先生の英語はほとんど聞き取れないのです。ニュージーランド特有の、口をあまり大きく開けずに話す感じに加え、独特のアクセント、スピード、スラングらしき単語や表現が難易度を倍以上に膨れ上がらせ、みるみる体が硬直していきました。
そうです。なんでも聞き取れるようになった気でいた私でしたが、語学学校の先生はあくまでも外国人の私たちが聞き取りやすいように、ゆっくりと、模範的な文法で、はっきり話してくれていただけなのです。
しかし、一般の学校はあくまでも現地の生徒が通う場所。そこにおじゃましている数少ない外国人の生徒の為にゆっくり話してくれることなんてしなくて当然。
ですから入学日に、学校のシステムやら、授業にむけて準備することなどの説明を受けたものの、その場ではほとんど理解できず、帰宅後に必死になって持ち帰った書類とにらめっこするはめになったのです。
結論、語学学校へ通うメリットとは
現地の学校に入学して思いました。正直、8ヶ月も語学学校に通った意味があったのだろうか、と。あまりの自分の英語力の無さにすっかり羽をもがれたようになり、「そんな英語力でよく入学できたね」とみんなが心で笑っていやしないかと、初日から怯えることとなってしまいました。
美術学校入学後の詳細エピソードについてはまたの機会に書かせていただくとして、語学学校へ通うことについてのメリットに対してたどり着いた結論は、どんな自分を目指すか次第ということです。
あなたはどちらがより多く当てはまりますか?
■語学学校に行くのをおすすめする人
・英語で教えてもらいながらコミュニケーションをとることで、日本語ではなく英語で考える「英語脳」に少しずつ慣れていきたい人
・自分のレベルに合わせてじっくり学びたい人
・基礎英語力を上げたい人
・様々な国の人と交流して異文化を学んだり、多国籍な友達をたくさん作りたい人
・とりあえず自分の視野を広げたい人
・とりあえず日常会話を身につけたい人
・英語を話すことに対する抵抗をなくしたい人
■必ずしも語学学校に行く必要はない人
・現地に長くいる人との人脈を広げたい人
・日常会話はある程度できる人
・生きた英会話を体で身につけていきたい人
・様々な経験を積むためにフットワークを軽くしておきたい人
・何事も自分で調べて行動する力がある人
・コミュニケーション能力に自信がある人
まとめ
私自身は語学学校に通った経験はあってよかったと心から感じております。地元しか知らなかった私が、日本全国、そして世界中に友達ができ、10年以上経った今でも連絡を取り合う。語学学校に行かなければできなかったことだと思います。
英語力に関しても、英語科出身でありながら全く話すことができなかった私が、日常会話は問題なく話せるようになったのも、語学学校に行ったからこそ。
しかし、ネイティブと雑談をしたり議論したりできるまでの英語力は、自分が思っている程ついていなくて落胆したのも事実。もちろん、努力した分だけ結果が変わるのは言わずもがなですが、私は現地の学校に入ってからの方が英語力が上がったと実感しました。
それはおそらく、サバイバル精神です。努力して学び続けなければ生きていけない。現地の学校で学ぶ場合だけではなく、現地で働く場合も同じでしょう。
自らを追い込むことでさえ楽しめて、自由な環境で頭より体で英語を身につけていきたいのか。
自分のペースでゆっくりと楽しみながら、決められたスケジュールできっちりベース作りをしていきたいのか。
自分に合った方法でストレスなく海外生活を楽しんでほしいと思います。