カヨリcoyote

言葉というものは不完全だからどんなに尽くしても意味を完全には伝えられない。そう聞くと絶望する人と「じゃあ大体でいいか」と思う人に分かれるそうだ。でも、言葉は多分そんなふうに機能するものではなく、言と言の間、人と人の間に、共有される何かを目指して歩き続けるものなんだと思う。

カヨリcoyote

言葉というものは不完全だからどんなに尽くしても意味を完全には伝えられない。そう聞くと絶望する人と「じゃあ大体でいいか」と思う人に分かれるそうだ。でも、言葉は多分そんなふうに機能するものではなく、言と言の間、人と人の間に、共有される何かを目指して歩き続けるものなんだと思う。

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Days.1 日常 最後の後も続く

1年前、19年飼っていた猫が死んだ。 1年前の今日の明日だ。そのことが分かっていたなら、 1年前の今日の夜、眠らずにあのこのそばにいただろうか。 一晩中ずっとあのやさしい毛の背中を撫でていただろうか。 そんなことにはならない世界だ。 いつでも先のことは分からず、だから充分に何かを尽くすことはできず、 いつでも日常がすべてで、尽くすなら今この時しかない。 できるだけ、で良いのだと思う。 あのこはいつでもできるだけ愛してくれてた。 猫だからね、できることはたくさんはない

    • 失ったものをめぐる詩・4『心』

      まだ幼くて分からなかった 黙ったまま過ぎていく優しさ 酷いととも冷たいとも思わなかった。何も知らなくて、ただそういうものだと思った。 心が まだ なくて ごめんね 心がまだ幼くて小さくて分からなくて 黙ってそのままにしておいてくれることがどんなに難しい、苦しい、痛いことだか 知らなくて 優しさや 悲しみを 分からなくて 今だに、まだ小さくて

      • 失ったものをめぐる詩・3『永遠に五月』

        五月、バラが咲く頃に いなくなってしまったものだから 五月の庭を見るとのあなたことを思い出すし、 あなたのことを思い出すと 五月の庭に隠れてしまって 本当のことを言うと あなたを上手く思い出せないの 写真に写った笑顔だけが 緑の中に繰り返し再生される

        • 失ったものをめぐる詩・2『帰り道』

          あの頃 それぞれが外に出て夕方帰ってきてた みんな 君のいるところに帰ってきてた 君のいるところがみんなの帰るところだった 君はいつもいてくれた 今は好きなだけ好きなところを散歩したり寝転がったり 自由 自由はちょっとさびしいね 「あの頃だってそうだったよ いつも、ちょっとさびしいんだよ だから 大好きになったりする」 そうだね 大好き みんな みんな君のいるところが大好きだった

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        Days.1 日常 最後の後も続く

          失ったものをめぐる詩・1『ずっと先にある交差線』

          僕らはずっといっしょに 見ていた 互いに 違うものを見ていた でも僕らはずっといっしょにいたんだから 僕らがそれぞれに見ていたあの遠くの方から見てみればさ、 ずっと先の線と線が交差する所に 二人いっしょにいるのが見えると思うんだ

          失ったものをめぐる詩・1『ずっと先にある交差線』

          夏の子午線

          #夏の一コマ

          夏の頂点

          #写真 #夏の一コマ

          夏の稜線

          #夏の1コマ

          Days.30 君といつまでも

          ある日大学構内の道を歩いていたら草むらから猫が出てきた。 猫は僕には見向きもせず、でも離れても行かず、僕と同じ歩調で前を歩いていく。 君の後をつけてるんじゃないよ 君が僕の行く方へ行く方へと先に行くんだよ 僕らはしばらくの間、すごく親しい間柄のように心底信頼している親友のように、 またはただ合流した水の流れのように、 いっしょに無心に同じ道を歩いた。 ああ、でもついに行き先が分かれる時がきた。 さらば、しばしの友よ。 僕らの道がまた合流する日はきっとくるだろう。 何し

          Days.30 君といつまでも

          Days.29 桜のうた

          桜ソングは、 桜が入学式の頃じゃなくて卒業式の頃に咲くようになってから、内容がちょっと変わった。と同時に、すごく支持されるようになったと思う。 前は桜に「別れ」の意味合いはなかった。 「死」や「気が狂う」というのは前からあった。桜の樹の下には死体が埋まってるとか、桜のように散ってとか あの花の生きる様を、命の発露を、別の側面から切り取って語っているのだろう。本当は同じものだ。 それが「別れ」と相まって、 刹那の このいっ時だけの 燃えあがるような気持ちと 焦りと 諦めと

          Days.29 桜のうた

          Days.28 限りなく青に近いブルー

          自分が青と呼んで見ているあの色は、他の人にも同じようにあの色に見えているのか、疑ったことがある。 犬や猫が見ているのは、自分で思ってる通りの姿の自分なのか、疑問に思ったこともある。 見ている主体の『眼』によって見え方は違う。 僕の青が 君の青の近くにあればいい 一人一人に分かれていて確かめることができないのが、僕らの青の孤独であり限りなさだ。

          Days.28 限りなく青に近いブルー

          Days.27 小鳥遊の空

          小鳥遊と書いて「たかなし」。 ある時何かの拍子に注目されて、以来、素敵な苗字として、ノベルやアニメの登場人物でよく見かけるようになったお名前。 本題に入る。 毎年3月のはじめに、フライトフェスタなる鷹匠祭りがある。 千葉の関宿城跡あたりの河原の広い広い野っ原で開催される。 放鷹術、ハヤブサのルアーパス、ハリスホークのアジリティなどなど、会場にはフクロウなどの猛禽類もやってきていて、とっても見応えありだ。 アジリティでは、 高い止まり木に止まるよう鷹を投げ放ったり、小さ

          Days.27 小鳥遊の空

          Days.26 千年、愛する

          千年経っても君を愛するとか、 生まれ変わっても君を見つけるとか、 今熱い渦の中にいる恋人たちに水をさす気はないけどね 千年後より再び巡り会う来世より、 10年後とか30年後とかに愛し合い慈しみ合うのが難しいんだと思う。 難しくても それでも日々は続いていく。 明日も君を愛する。 いつか本当に終わるまで、と、午後の光が静かに祝福する。

          Days.26 千年、愛する

          Days.25 飲み物の魂

          コーヒーの魂 以前、美味しいコーヒーの淹れ方を教わった。 飲む時の半分の量の水(お湯)で抽出を止め、 半分はそのままの水として足す。 後半の抽出は、色も香りもあまりなく、分析するとエグみや渋みなどの「良くない成分」ばかりらしい。 「良い成分」だけのコーヒー。 ほの甘く、優しく、すっきりと爽やかな後味で美味しかった。 が、 何かコーヒーの「魂」のようなものが欠けているようにも思えた。 コーヒーの魂、それは良くない成分に、 エグみや渋みに宿っているのかも知れない。 ビール

          Days.25 飲み物の魂

          Days.24 その花の花言葉はなんですか

          花言葉にはときどき笑わされる。 「赤いバラの花言葉は『愛』だよ」とか言われると 普通なのでスルーしてしまうけど キンギョソウ「推測ではやはりNOです」とか タネツケバナ「父の失策」とか聞くと、 花言葉って何よ?と思う。 誰が決めているんだろう。 先日、ピーマンの花言葉が『海の幸』だと知り、盛り上がった。 ピーマンの花って見たことあるか ピーマンの花で、花言葉を使うシチュエーションってあるか 『海の幸』って、ピーマンに海 どうしてもって来たのか 『海の幸』が花言葉ってわ

          Days.24 その花の花言葉はなんですか

          Days.23 如月の望月の頃

          願わくば 花もとにて春死なん その如月の望月のころ 西行 若い頃はこの願いを猛烈に美しいと思った。 如月は2月だけどこの歌は桜が咲く頃の満月を詠んだものだろう。花の頃の月を、月光の中に咲く花散る花を見ると、この歌を、「願い」として思った。 年を取った今は 願いとはなんだろうかと思ったりする。 美しさだけに全振りすることは既にできない。それはまあ「美しくない」姿だろうけど、そのことこそが誇りであることも今は確信している。(若い頃は分からなかった。) 季節はめぐってい

          Days.23 如月の望月の頃