浄夜
汚辱に塗れた肉体を 彼は撫で浄める
特に念入りに 胸を 穢され続けた 胸を
たとえそのときだけでも
その夜だけでも
それ以上は望めなくても
欲望から逃げたくて逃げたくて
それでも逃げ切れなくて泣いて
あやふやな記憶から解放されたかった
自分で決める幕開けくらいは
心から願う人に赦されたかった
赦されても
緊張が続く強張った胸に
実に慣れた右手が伸びて
何も考えずに包み込んで
胸の重さと 手の軽さが重なった
汗ばんだ夏の夜を 花火の匂いの髪を
忘れないとわかってしまって
月明かりが朝日に変わっても
選ばれた 夜を 侵されない 夜を
ここから先は
0字
¥ 100
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?