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散文 ちきゅうのじが

制服が動き出す。改札を行ったり来たり、僕はずっと車の中。
猫がパンダにケンカを売ったのは地球の核のところでだった。

ぐるぐる回るね。

牛乳をひっくり返して、作った兎は雪に解けて消えちゃった。
ずっと昔からあの子はここにいた。
赤色が巡り巡って青になった時、きっと彼女は大きく口をあけて笑っただろう。その口の中を通って出ていった玄関は、アフリカの川に繋がっていた。

ぐるぐる回っていたのは私ではないよ。

地球は毎日忙しないふりして、実際は何も変わってない。それが愛おしくて、情けない。
神様はいつの間にか庶民になって、たくさんいたはずの民衆はひとりひとりが神になった。
誰も信仰しないけれど、敵陣に行かざるを得ない。

可哀想に。

可哀想なのに、ニコニコ笑う。馬鹿になっても、クマのように靨を作る。
黄色い筆箱は海を泳いで何処までも。
おいしいものが食べたくて、歩き出したあの青年を追いかけては見知らぬふりをした犬が転んだ。
ピッと高らかになった定期券をかざした音は、ハロウィンに泣いちゃったあの子のことを慰める。

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