散文 外眺る君の輪郭線は青と緑
とりとめもなく、私の心には不愉快という靄がかかる。空の青さがその曇をより汚いものとするから、もういいかなって思い始める。
ベッドの上、何もせず、ただ嫌悪する。
自分に嫌気がさし、気を逸らす為に、音で頭を埋める。
そんな時間を過ごしていた。ふかふかと当たる空気の質量が夏を思わせて、夏休みがとうの昔に終わっていることを思い出し、また怪訝になる。
私は闇に引っ張られているのだ。影の方が心地が良かった。直射日光に晒される運動場のど真ん中より、誰にも使われてないんじゃないの?と思うような暗い階段が好きだった。
焦げ茶色のカーテンが揺れている。チカチカと目を刺激する太陽光の一筋が、私をまた不快にする。
夏なら許せるのに。
得るものもない期間に入って、私は何を思えばいいのか。来る冬に向けて、私はただ眠る。
脳に届くがなり声を好きな自分と怒る自分の乖離をどうしてもいっしょくたにしてしまいたくて、笑うのが不自由になる。
ベッドの上、私は1人、航海に。
ふと、足にあたる柔らかさに思考が飛ぶ。
飼い猫が、ただ私の部屋に来ただけだった。私を救いに来てくれた。きっとそうだ、と触れる。
すり抜けて、窓を下から眺めている。目が黄金で、常に無表情な君の鼻は湿っていない。ずっと、カーテンで見えないはずの外を見つめている健気さを、私は触れることなく想う。
カーテンを開ける。その目には、強い日差しが注がれてキラキラと光る。美しい人よ、猫だったのね。
君を持ち上げて、より見やすくなった外の景色。芝生の青さにやったばかりの水が反射する。君の温もりは、私の高熱よりも熱く内側で何かがたぎっている。
空は青い。
雲もない。
風の爽やかさ。
君の毛の1本1本が照らされている。黒い毛と白い毛と、茶色。君の愛おしさを詰め込んだふわふわは、朝が一番もふもふしていることを知っている。
だけど、気づいたんだ。穏やかな昼下がりを、君の愛を、私の愛を。
秋の日差しの中で、君は包まれている。
外眺る君の輪郭線は青と緑。
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