【19日目】作られた他人の言葉に寄りかかる眠っていたいのと同じ理由
わたしは、何度も何度も繰り返し同じものを読む続け、見続けることが好きだ。
今は、寝る前には
『ギャグマンガ日和』を読みながら、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』を流す。
そして、だんだんと眠りに向かっていく。
前までは、ラジオは流さず、ゆるいギャグ漫画を色々読んでいた。
『ちちとこ』『田中くんはいつもけだるげ』と言ったところだ。
でも、いつの間にか読めなくなった。
どうしてかはわからなけど、手を伸ばしてもすぐに本棚に返してしまうようになった。
高校生の時は、テスト勉強の時にずっと
『四畳半神話大系』を流していた。
見てるわけではなく、繰り返し流す。
早く滑らかな言葉の連続がとても気持ちよくて、集中ができた。
電車で本を読む時も音楽を流しながら読む。
もっと昔、小学生の頃からわたしは同じことを続けていた。
家にいる間は『ハリーポッター』を再生し続けていた。
大好きだった。
シリーズが進んでいって、終わったらまた1に戻る。
物語を終わらせずに何度も何度も、ハリーの学園生活を眺め続ける。
輪を閉じるために見続けながら、
それでも輪を繋げていく。
ラーメンズだってそうだ、何度も何度も公演を見続けて、
空で言えるようになった。
セリフを全て言っていくことができた。
5歳児から小学生の間ではわからない言葉も多く、
それでも覚えて、ずっと言葉として真似ていた。
わたしは物事の変化を嫌うのだと思う。
基本的に食わず嫌いだし、美味しいと知っているものだけを食べていたい。
外にご飯を食べにいくとしても、いつも同じものを食べたい。
挑戦はしない。
失敗したら、悲しいから。
繰り返し何かを見るのも気持ちが楽なのだろう。
心を落ち着かせるための手段だ。
知っている物語に触れることで大きな感情の変化は起きない。
それでも、物語であるから
ワクワクはするし、他のなにかを考える脳の容量は減らすことができる。
わたしの脳は過回転してしまう。
ずっと頭の中で言葉が生み出されていき、
酷い言葉や辛くあたられた記憶、悪口や怒りを思い出してしまい悲しくなる。
それらに対しての反論や言い返しを考えて、止まらなくなる。
「あれはこうしていたら良かったのかな」などとたくさんの言葉が実態のないままで溢れて溢れて、洪水となる。
それを止めるために、わたしは意図的に情報を入れていたのではないか?
あえて、情報を入力することで、
過剰に動くいらない部分の脳を制限する。
これは、「コロコロムッタ」である。
『宇宙兄弟』の主人公ムッタが、ショックなことや何かが起こると
ラジオとテレビと新聞とを全て読み聞き、見る。
同時に情報を入力することで、考えたくないことを考えないようにする。
わたしも同じだったのだろう。
心を落ち着かせるために
物事を考えないために
情報を入れ続ける。
たくさんの悲しいことが溢れて溺れて死にそうになるから。
繰り返し、繰り返し。
何度もずっと死にそうで仕方がなかった。
最近は特に同じものを繰り返している。
もしかしたら、あの頃よりも深く傷ついてフラッシュバックする出来事を忘れ去りたいからわたしは何度も心を落ち着けるために繰り返しているのかもしれない。
パズルゲームも繰り返してしまう。
浄化をしようとしている。
忘れるために、少しでもダメージをなくすために。
まだ会社のことをどれぐらい語っていいか分からない。まだ自分が悪かったのかも、と思う。
悪意に当てられてしまったから、
自分の人生の美しさに戻るために繰り返す。