演者の工夫が「工夫」として届いてはいけない。これが、非常に困難を極める。【第31.5回 ミーム演劇教室 稽古日誌 2022.1.4開催】
私の凡ミスで、今回は受講・見学生同士で見合い、意見する日となりました(故に31.5回となっています…)。
自然、より長く受講している私が、もう1人の受講生に指導することになりました。そのときに感じたことを書きます。
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人に何かを伝える際、自分の「感覚」は人に伝わりません。
だから、具体的に「言葉」にする必要があります。しかし自分では「腰」と思って言っても、自分の指す箇所が人にとっては「腰」でなかったりする。自分にとっては明確に点として認識しているそれが、人にとっては「骨盤のある周辺部位」という漠然としたものとしてしか伝わらない。
どう具体性を持たせて説明すれば伝わるのか、より細かな名称を使うのか、抽象的でもイメージを伝えるのか、など、考えながら説明をします。
ですが具体的に、例えば「ショット*を撃つ部位は、胸骨の一番下、鳩尾の上。バレエの時に引き上げる部分。」と説明し理解してもらったとしても、演出・観客として見たいのは、いましがた説明したその部位が瞬間的に動くことではなく、ショット演技を必要とした当の動機、「心情」が見たいのです。
だから、ショットを「撃てばいい」という話ではなく、ショットから連鎖的に身体が変化しなければいけない。加えて、連鎖的に身体を動かすその質感が自身でイメージできて、観客にも伝わるように工夫する必要があります。
さらに言えば、観客には舞台上のキャラクターが「普通の、いまそこで生きている人間」に見せたいのだから、演者の工夫が「工夫」として届いてはいけない。これが、非常に困難を極める。「普通にやる」ことが、一番難しいのです。
日常の自身の動作と、舞台上での自身の動作への絶えざる自己チェック・擦り合わせを重ねていく。それは終わらない闘いです。その過程の一旦の決着として、本番があり、その本番で、今創作中の『The Holy Man』が見せなければならない「奇跡」を、具現しなければならない。
先生曰く、「その道は果てしなく遠く、高い」。いやんなっちゃいますが、やめることは出来ないのです。
*ショット= 心情など何らかの要因で身体に瞬間的な緊張がかかる際に、それを表す演技技術。
2022.1.8
寺原航苹
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新宿ダン⭐︎スタ3
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