見出し画像

塾・予備校でかかる費用、ちゃんと調べてますか?【大学受験】

「塾・予備校は高い」ということはよく知られているが、

きちんと調べれば、費用を年間で50万〜80万程安くできるかもしれないことを知っている保護者は少ない。

子どもだけに任せず、お金を出す保護者がきちんと知っておいておかないと損するかもしれない『塾・予備校の料金の仕組み』をまとめました。

***

現役で塾講師をしていると、他塾がどのような設定でどのようなサービスを提供しているのかを調べるのだが、そこで思うことがある。

「HPの料金の説明、わかりづらくない?」

特定のどこかではなく、多くの塾・予備校がわかりにくい記載をしている。
これ自体を悪いことと断定するつもりはない。
(講座数によって変動するもので、どうしても一概には言えないから)

ただ、問題なのは、保護者の多くがそこをきちんと調べずに「子どもが決めたんで」といった具合に入塾を決めていることだ。

本当に怖い話だ……

何も考えずにホイホイ講座を受講していると、あっという間に年間で100万円を超える。

仕事でよく面談をしていると「え?こんなに安いんですか?上の子の時はもっとかかったのに……」というような声をかなり多く聞く。

ここで言いたいのは、「高いから塾・予備校に行くな」ということではない。子どもが色々試したりした上で、「ここが合う」と判断したらそこにすればよい。ただ、特に調べもせず、好きに決めさせると後々後悔することになる可能性が高い、という話だ。

「あんなにお金かけたのに結果にならなかったな……」

「もっと安く抑えられたなな……」

となる人を少しでも減らしたいので、ぜひ最後まで読んで欲しい。


塾・予備校の料金の仕組み

大抵の塾は大きく分けて以下6項目を中心とした料金体系になっている

①授業料
②設備費(維持費)
③教材費
④模試費用
⑤入塾金
⑥受験指導料(担任費)

それ以外にも塾によってあるが「大きくこの6項目がある」と思って塾を選ぶのが良いだろう。

それぞれについて、どのくらい料金がかかるのかを見てみよう。

【注意事項】
・この記事はあくまで公開されている情報から読み取れることを書いている。
・学年が違うとややこしいので、今回は『高3の料金』と仮定して話をする。
・また、受講する講座数に応じて①がかなり変動する為、一概に目安料金は出せない。ここでは、相対的な指標として「安い」「高い」という言葉を用いる。詳しくは資料を取り寄せるか、近くの塾に直接問い合わせてみましょう。
・筆者はなるべく公平に書いたつもりですが、バイアスがあるかもしれません。あったらごめんなさい。

***

①授業料について

ここが一番大きな費用である。
料金については、個別・集団・映像などで微妙に差がある。

【集団授業】の料金の特徴
・単価は安い
・受講する講座数が増えるほど料金が増えていく
・『集中特訓』といった講座が別途で料金が発生する場合がある

塾によっては「このコースなら○講座受講していただきます」といったセットもあるかもしれないのでそこは注意。
理論上1講座にすれば年間で20〜30万程度で済む場合がある。

ただ、講師との相性もあるので、子どもが体験してみて「合わない」と判断すれば無理に入塾する必要はない。


【個別指導】の料金の特徴
・単価は高い
・通塾回数などが増えると料金が増える
・1対2などの形式などのため『時間対費用』を考える必要あり

個別指導は人件費の問題で高いことは有名なので、苦手科目に絞って通わせるといった家庭は多い。

気になる点は、講師の相性と受験までのペース。個別指導は良くも悪くも子どもに合わせて教えるので、ゆっくりやりすぎて受験に間に合わないなんてことにならないように注意。


【映像授業】の料金の特徴
・単価は高い
・講座買い切りのため、買うたびに料金が嵩んでいく
・レベル別に映像が設定されているため、結局一定量は購入する必要あり

映像授業は『講座買い切り』なので、一度買えばいつでもその講座が見れるし、わからないところは一時停止や巻き戻れるので、使うほど安くなるのが特徴である。

ただ、そもそも単価は結構高いので、『時間対費用』の観点からは安いとは言えない。
また、講座数が豊富に用意されていることも特徴的。年間で1講座だけ買うとそこまで料金はかからないが、「このレベルからこのレベルに行くためにはこれくらい受講しましょう」ということで結局たくさん講座を買うことが多い。
※これは適切な指導のために提案してくれているので、必要以上に受講させようとしているわけではないと思います。ただし、一部の塾や店舗契約(フランチャイズ)によっては注意が必要です。


②設備費(維持費)

・名前は違えど、設備利用料としてどの塾にも基本的に存在する。
※映像等で直接来塾する必要のない場合はかからないこともある。
・基本は月額制(5000円以内が多い)

③教材費

基本的には講座毎に独自のテキストを使用する。
1年間で何冊も買う必要があることがほとんど。

④模試費用

・1回5000〜6000円
・年間通して5〜8回ほど受験する
=年間25000〜48000円程度かかる。

模試によっては学校で受験する方が安く申し込めるなどもあるので、一概には言えないが、きちんと受けると4万くらいかかるということは知っておいた方が良い。

余談だが、模試を受けることを勧めない塾は進路指導をきちんとしてくれない可能性が高い。

***


ここからの費用は、【ある塾】【ない塾】がある項目です。

⑤入塾金

ある場合は1万〜3万程度。塾によって本当に違うが、ない場合は0円。

⑥受験指導料(担任費)

ある場合は3万〜4万程度かかる。
(年額か、1回のみかは塾に確認したほうが良いだろう。)

料金の話とは本筋が逸れるが、
ここについては、『誰が指導をするのか』をきちんと確認しておいたほうがいい。
きちんと受験について詳しい人がやっているのか?ということだ。
塾・予備校によっては模試の判定だけ見て「D判定だから厳しいね」としか言わないところもある。(見りゃわかるわ!って言いたくなる)

費用がかからないところも、「受験指導をしない」なのか「無料でする」なのかを確認した方が良い。

***

これ以外にも料金が発生する場合は考えられる。

これらを踏まえて、保護者が取るべき行動とは何か。


「面倒な保護者」になろう

ここまで料金体系を話してきたが、お住まいの地域や近隣の塾によって大きく異なる。一番確実なのは、「検討している塾に直接聞く」ことだ。

多少迷惑に思われてもいい。ガンガン聞いた方がいい。だって高い買い物だから!

また、聞くときは年間での見積もりを聞いた方が良い。

月額にして安くても、なんだかんだ料金が嵩んでいくことは上記の通り。
月額制でしか料金を出していない塾の場合は、以下のように聞いてみよう。

「○講座受講する場合は年間で総額どれくらいかかりますか?」

受講する講座数が決まってない場合は、

『同じ高校から、志望する大学へ合格した先輩の平均的な受講講座数』を聞いた上で算出してもらおう。なんなら上記6項目とその他費用について全て聞いてもいい。

そこまでするか?と思うかもしれないが、決して塾・予備校は安い買い物ではない。とことん聞かないと、お金以上に大切な「子どもの時間」を無駄にしてしまう。

大学4年間で学ぶことは本当に多い。人との出会いで人生は変わる。

そのためにはたとえ塾側に「面倒な保護者だな」と思われても聞くべきだ。


そして「そこまで聞く」ことで、塾側の対応も見ることができる。

きちんと料金を把握している塾か?
細かく聞いた時にきちんと調べてくれる塾か?
わからないことは誠実に教えてくれる塾か?

そこを誠実に対応してくれる塾に、投資するくらいがちょうどいい。


納得いく買い物をしよう

保護者の方々がたくさんの時間と経験を投じて稼いできたお金の投資先を、高校生の独断だけで決めてしまっていいわけがないと思う。

塾の教室責任者をしていて、「子どもに任せてるんで」という保護者がなんとも多いことに驚いた。

「そんなにお金持ってるのかな」と思うと同時に「子どもの時間に興味ないのかな」と思ってしまう。

また、「そもそも塾って必要なの?」

という意見を持つ人もいるが、結論「90%の受験生には必要」と考える。

この部分はまた詳しく話したいが、塾などで受験校指導をきちんとしてもらえないと、地域のトップ校に通っていても受験全滅になることがある。

そして、塾に通わせる場合は『料金』も重要な要素になるということを改めて理解していただきたい。

ただ、勘違いしないでいただきたいのが、「安いが正義」というわけではない。
子どもが「合う!ここならがんばれそう!」となるのであれば、高くてもそこにした方がいい。

問題なのは、子どもが「まぁここでいっかな」程度の気持ちで費用だけ払い続けることである。

有名な塾にただ通わせるより、小さい個人塾で指導してもらう方が成功することもある。

あなたが会社員なら、大企業の窓際社員と、地方の中小企業で圧倒的売り上げを出すエース社員はどっちの方が市場価値があるか?と考えてみて欲しい。


まとめ

今回は、塾を選ぶ際に大事なのにあまり知られていないお金の話をしました。

・費用は大体6項目で決まる
・年間での見積もりを塾に詳しく聞こう
・その際に塾側の対応を見よう

という話をしました。
少しでも塾選びの参考になれば幸いです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?