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アーティスト思考と言っても、実はミュージシャン的な思考性とデザイナー的な思考性に分類できるのではないかと考えていたけど、トップランナー的にはそうでもなかった話

 絵描きやデザイナーのようなアーティストで語るセンスや思考と、演奏家やDJのようなミュージシャンで語るセンスや思考とでは、合致しているようでも全然違うイメージをしているように感じる事がままある。

 私は比較的ミュージシャン的な思考のタイプっぽいから、チーム形成にしてもコミュニティの概念からしても、デザイン思考に対しての解釈に対して、デザイナー的観点からのイメージとは違う方向になりやすいのだろうなと分析している。ワークスペースにしてもそこの活かし方にしても、そうなると思う。

 デザイナー系やアーティスト系の思考だと、言葉の意味は理解できていても、意外にここが行動に移している位にこなせている人がいない。逆にミュージシャン的な思考の方だと、個人や団体のコラボビジネス系のコーディネートとか、コミュニティマネージャー業務としてうまくできている人や事例が多い。そんな印象はある。

 コワーキングスペースの運営的な部分でも、実は深く関わっているところがある。譜面通りにやるのではなくて、コード進行がわかればある程度アレンジを加えてより良くしていくという思考性というか。これをコワーキングの運営に応用すると、「様々なジャンルの人が一つのスペースに来て、それぞれの仕事をしながら交流や紹介をし合うことによって、次の仕事やヒントなどに繋げていく働き方」というコワーキングの本来の意味が理解できていれば、単純なデスクワークやだらだらとしたリモート会議にこだわらずに、パーティーとか買い出しとか絵描きとか洗濯機を持ち込んで分解したりする使われ方もOKだという風に解釈している。正直な話をすると、コワーキングスペースでのコワーキングは、実はこの"スペース利用の柔軟性に対しての保証"が重要だと考えている(人によってはユーザー間の信頼関係が必須条件という人もいるし、個人的にもそうだとも考えているが)。その結果で、起業だったり新規事業だったり同業者作りだったりビジネスコラボだったりが起こるのがコワーキングを使った起業なので、先に専門分野を狙ってターゲティングするようなやり方で括ったりするようなやり方はちょっと違和感を感じる事があった。話が逸れたが、私はこういった話でもミュージシャン思考系の人だと上手く理解してもらえている印象がある人が多い一方で、デザイナー思考系の人や会社員的な思考の人だと理解に苦しんでしまっている人が多い印象がある。

 この差は、人付き合いや協力関係構築の人数差に関わっていると思う。そもそもデザイナーは1人だけでも面白がれるけども、音楽は複数の人が携わってある程度のコミュニケーションがないと、作品が成立しない上により面白くはならないからである。コミュニケーションを受けて、どのように解釈し表現するかの世界になるので、コワーキングとも親和性が自ずと高くなる。それぞれに長所短所はあるのでなんとも言えないが、そういう感覚はある。

 このあたりが、コミュニティマネージャーから形成・管理するコミュニティマネジメントやそういった講座に対して、どうにも違和感を覚えてしまうところだったりする。前にコミュニティマネージャーに関するyoutubeをあさっていたけども、コミュニティの持続やメンバーの満足度の向上について論じているものばかりで、自分の経験から得られた発想とはピントがズレている主張ばかりで途中でやめた。コミュニティマネージャーを中心に、コミュニティにお金を支払った者達の結束の高さを求めるのなら、変な宗教にでも入っているのかという気持ち悪さを感じはするし、コミュニティマネージャーに対する取り巻きのようなコミュニティになってしまうケースが多くなりがちというのもある。それがコワーキングカルチャーとして求められていないというのを教わっている身とすれば、今後も付きまとう誤解だとしても、スタッフなりユーザーなり関わっていく以上は最低限押さえててほしいという思いは強くある。


先日、岩手大学にコワーキングスペース「TOVLAB」ができた。その開所記念フォーラムがあり、日本におけるアーティスト思考の第一人者である松永エリック・匡史氏が基調講演をされた。

講演を聞きながら感じたのは、このアーティスト思考は岩手ではキョトンとされがちなのではというイメージは持ちつつも、ようやっと自分の発想に近い人がいて嬉しかったという気持ちがあったというのがある。ただ一方で、アーティスト思考と言いつつも、ミュージシャン思考とデザイナー思考という言葉に分類し切れていないのではないかという点が気になった。松永さんは講演やキャリアを聞く限りミュージシャン思考の方だと思った。

そこで、公演の終了後に質問を受け付ける時間があったので、このような質問をした。
「アーティスト思考と言っても、ミュージシャンと画家とで発想や思考のアプローチが違うと思うが、創造のセンスで言えばどちらが良いと考えられているか?」
「ミュージシャンか絵描きかというので、センスどうこうというのは関係はない。発想のアプローチは別だったとしても、革新性がある事象なら周囲から評価される。」

 振り返ってみれば、ちょっとテンションが上がってしまったところもあったが、アーティスト思考を考える上で、そもそもアーティストとして表現手法が音楽的か絵画的かなどと分けて発想する事が間違いというのが、第1人者の見解であることを確認した。センスという部分を引き出しに出したのもまずかったのもあるけれども、私もまだまだ勉強不足。もっと精進していきます。


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