大人もがんばるから、ハタチも一緒にがんばってほしい話。
青春の世代って、中学~大学生くらいだと思ってる。ここではその世代のことを、便宜上「ハタチ」って呼ぶことにする。
私は25歳。ハタチをこないだ通過してきたくせに、大人になんてなりたくないし、なれやしない「ハタチと大人のハザマ」の人。
そんな私が、ハタチたちに最近思うことを、今日はお話しようと思います。
ほんと、大変な1年だったよね。
ハタチの思い出が失われる怖さ
若さってとても貴重です。
時間があるから、何にでも挑戦できる。失敗すら「若いのによく挑戦したね」と評価される。結婚や、家庭のために何かを諦めたりしなくてもいい。
それに、歳を重ねると体にガタが来るってのは本当だった。まだ25歳だけど、それでも明らかに体の活動限界は早くなったし、お酒も食事も随分量が減った。
ハタチって、若さって、本当に貴重。
だからコロナに行動を制限されたこの1年、「ハタチ」はとても焦ったと思います。
「学生生活が終わっちゃう」
「就職が遅れちゃう」
「受験ってちゃんとできるの?」
「なんで私たちばっかり我慢しなきゃいけないの?」
「イマが貴重な時間だって、大人はわかんないんでしょ」
「だから私たちばかりに、我慢を強いるんだ」
って。
ハタチの大変さ
ハタチは「我慢したイベントの数が多い」と思う。
人生のイベントっていうのは、若い時にかたまってる。
受験、進学、修学旅行、学校祭、体育祭、部活の大会、ゼミ活動、サークル、成人式、卒業旅行、就職。
どれも普通に生活して、日を重ねて歳を重ねたら、勝手に当然にやってくるイベントたち。
大人が歳を重ねて勝手に訪れるイベントなんて、誕生日くらい。我慢するイベントの数でいえば、そんなに多くない。
ツイッターを見ていると「私たちばかり、大人の都合で我慢させられている」「大人は我慢していない」と漏らすハタチが多いのは、そういうところに理由があると思う。
そんなふうに思い出を失いすぎると、心も失くしてしまうんだろうと思う。本当に辛いと思う。
ただ2000年前後に生まれただけ。誰も何もわるくないのに。
このタイミングでコロナなんかが流行っちゃったのは、本当に辛いと思う。
大人は、思い出ではなく生活を失う
私はハタチと大人のハザマにいる(つもりだ)けど、ハタチの頑張りが足りないなんて思わない。もう見てるこっちまで「勘弁してくれ」って思うくらい。
当事者じゃないから、安易に「わかる」なんて言いたくないけど、もうめちゃくちゃに辛いんだろうなってことはわかる。
でも、私は大人が頑張ってないとも思わないし、無責任にハタチにばっかり「頑張れ」っていってるわけじゃないと思う。
大人は大人で大変らしい。
給与やボーナス(給料とは別に、20~50万くらい夏と冬にぽんと貰えるシステム)がなくなって、家や車のローンを払えなくて困ってる大人とか。
不況で仕事を失ったけど、再就職しようにもどこも人を募集してないとか。
リモートワークしてほしいのに「予算が」と言って対応してくれないから、どうしようもないまま満員電車に乗って、感染リスクをおかして通勤しなきゃいけなかったりとか。
おかげで、コロナにかかってしまったりとか。
病院や保健所、役所の人は、過労かコロナどちらで倒れるのが先か、みたいな大変な状況で働いていたりとか。
家や仕事を失って、残るのは保険だけだったりして、家族を守らなきゃいけなかったりして。
「大人我慢してないじゃん」って思っちゃうよね
……たしかに、この状況でも毎晩飲み歩いてる大人もいる。
それは本当に面目ない。めちゃくちゃ申し訳ない。あれは反面教師にしてほしい。即刻やめてほしい。大人。
「私たちがオンラインになったって、大人が満員電車に乗るんじゃ意味ないじゃん」ってのもわかる。私もそう思う。
ただ満員電車に乗ってる大半の大人は、好きでそうしてるんじゃない。感染したくないから在宅勤務にしてほしいのに、リモート対応してくれない会社もたくさんある。首を切られたり仕事を失いたくないから、強く頼んだりはできない。あれはあれでホンットに大変なんだ。
もしこれを「会社の上層部」という人が見てくれているなら、今すぐ自分の会社のリモート体制を見つめ直してほしい。
……いっぱいおかしなところはあるけど、ホントは我慢してる大人もたくさんいるんだ。
「ハタチに我慢させときゃいい」…わけがない。
若者の方が大変とか、大人の擁護とか、そんな話がしたいんじゃない。
ただハタチは「たくさんのイベント」を我慢せざるをえなくなって大変かもしれないけど、ニュースにならないだけで、わかりづらいだけで、大人だって同じく我慢してるって知ってほしいの。
誰も「コロナ対策ダルいし、ハタチに我慢させときゃいいじゃん」なんて思ってないの。
偉い人は毎日のように「自粛してください。特に若い人は」って言ってる。「そんな頭ごなしに言われても」って私も超思うけど、多分あれしか言えること思いつかないんだよ。難しく考えれば考えるほど、結局シンプルなところにい行きつく。
多分悪気はないんだよ。
ハタチの貴重さを知っているからこそ、こんなの見てられない
本来当然に謳歌できるはずだった青春が消えてしまったから、今ハタチはきっと怒ったり、落胆したりしているよね。
「なんのために生きてるんだ」
「みんなとの最後の思い出は?」
「この1年なんだったの?」
って。
結構たくさんの大人が、そんなみんなの気持ちに気づいている。
だからなんとかしようとする大人もたくさんいた。
甲子園とかバレーとかの部活の大会だって、なんとか開催したりもしたよね。
でも、あんなに頑張って対策を講じて開催した大会でも、結局選手の中で感染者が発生してしまったりした。
だから、大人は余計に慎重になってる。
ハタチの時間を軽率に失わせたくなんかないけど、大人だって太刀打ちできないでいる。
大人は子どもを守らなきゃいけないけど、どんなふうに守ってあげたらいいかもわかんない。
日々研究や話し合いは進められているけど、それでも、やっぱり、どうしても、どうしようもないことばかりなんだと思う。
どうしようもないまんま、子どもやハタチを守れないまんま、自らも守れないまんま、大人たちも同じ世界を生きてる。
コロナが蔓延して身動きの取れないイマを、一緒に生きてる。
コロナにかかったハザマの人
私は年末にコロナにかかって、はじめてコロナのいろんなことを知った。
「軽症っていうくらいなんだから、そんなにつらくないでしょ」と思っていた症状が、思った以上に辛い。
四六時中、きちんと呼吸できない状態ってすごく辛い。
症状がやわらいでも、ちょっと胸が痛んだだけで「コロナ?急変?死ぬの?」って不安になる。
罪人でもないのに、療養中に外に出たら、多分血眼になってつかまえられる。
療養生活が終わっても後遺症が残ってしまって、学校や職場に復帰できなくなってしまった人もいる。後遺症の治療法は確立されていないし、むしろ「後遺症なんて甘え」なんてひどいことを言う人もいる。
私は嗅覚障害が2か月以上治らなくてつらいのだけど、味覚障害は多分もっと辛いと思うし、外見に影響のある脱毛もすごく辛いと思うし、「疲労症」ってので日常生活すらままならなくなってしまった人もいる。
20代でも、喉を開いて呼吸の補助の機械を入れて、一生を過ごすことになった人もいる。
大人は、ハタチたちの時間を失わせたくなんかない。でもその貴重な若い時間をコロナにむしばませて、一生を棒にふらせてしまうのは、もっと避けなければならない。
そうなってしまうと、誰も責任が取れなくなる。元に戻せなくなる。
難しいと思うけど「コロナにかかったら」を想像してほしい。
あなたがかかったら。
友達がかかったら。
それを家族や誰かにうつしてしまったら。
その人生を棒にふるようなことになってしまったら。
収束まであとどのくらいかかるかはわからないけど、「イマ」だけ我慢する方が、まだいいんじゃないかって、私は思う。
さいごに
ハタチの気持ちは、わかっているつもりでいる。
自分の記憶を掘り起こして、情報を集めて、できる限り正しく想像しようとしてる。
その上で、今この数年とハタチの今後60年の人生を天秤にかけたら、60年の方を絶対に守らなきゃいけないんだ。
「早くなんとかしてよ、大人でしょ。専門家でしょ」って気持ちもわかる。
ちゃんとしてない大人もいる。それは本当にごめん。
でも早くなんとかしようとしてる大人もたくさんいる。
愚痴は言ってもいい。辛い気持ちは吐き出した方がいい。
ただその視野を、もう少しだけ広くして、もう少しだけ冷静になってくれたら、もっとたくさんの大人に響く声があるんじゃないかって、大人になれない私は思いました。
これを読んでいる大人が、そんな気持ちを汲んで、頭ごなしと取られないフォローの方法に行きついてくれたらいいなと思いました。
私も、引き続き発信を続けながら、考えてみようと思います。
私に、コーヒーを一杯ごちそうしてくれませんか。