『犬鳴村』感動したとこと惜しいとこ
2月7日公開の『犬鳴村』を見た。
清水崇監督・三吉彩花主演で、2chのオカルト板を中心に話題になっていた犬鳴峠や旧犬鳴トンネル、日本国憲法が通じない伝説の村・犬鳴村の都市伝説を映画化した。
●『犬鳴村』の感動したところ
この映画は前半と後半でガラリと話が変わる。感動したのは大体前半部分に絞られる。
小説や漫画と異なり、あらかじめストーリーが確立していない都市伝説ベースなので、大幅な脚色が必要となってくるのだが、その肉付け部分がトゥーマッチだと感じた。
なので徐々に全容が見えてくる後半よりも、犬鳴村は何なのかを描いた、呪いの伝染部分の方が輝く。(大体ホラーはそうだけど…)
そんな呪いの伝染部分の中で、最も輝いていたのは、冒頭、YouTuber風にカメラを回し、犬鳴村にたどり着いたカップルの女子・明菜(大谷凛香)だ。
明菜は犬鳴村の"アレ"を帰宅後も持ち帰ってしまい、奇妙な歌を歌い、奇妙な絵を描き続ける。冒頭での初々しさやキラキラ感、後先考えぬ若さは、もうそこにはない。シンプルに気持ち悪かった。
また、冒頭と問題シーンの"尿意"を伏線とした演出も唸った。冒頭のちょっとエッチな期待と失望、そして憑かれたあとの不快感。この落差は生と死ほど深い差がある。
清水監督の"壊れた人間"と"いちゃいけない人"の映し方は、やはり上手い。しかもモブ霊以外、ほとんど女が恐ろしい姿になる。女は命を宿す生き物で、生の象徴。その希望が壊れて消えていく様子を、要所要所で写し出し、じっくりことことと不安と絶望を煮出していく。
●『犬鳴村』の惜しかったとこ
犬鳴村のモブ霊は、もやがかかったかのように、顔がはっきり見えない。唯一見えるのが、まやという女しかいない。
この女はある理由で、三吉彩花たちに襲いかかる。
顔芸でビックリさせるホラーもあるが、犬鳴村のモブはあんまり怖くない。
だからこそ、まやに期待したのだが、そのトランスフォームがあまりにも薄く感じた。
と思ったら清水崇監督はクランクイン!のインタビューで下記のように削除したシーンを語っている。
本当はもっと長かったし、もっと奇怪な動きをしていたんですよ。シーン自体の完成度も高く、僕個人としてもお気に入りで、現場で一番ホラー映画を熟知している助監督も、『このままがいいですよ』と意見してくれていたんですけどね(笑)。ホラーのラストってクリーチャーバトルっぽくなると、せっかく積み重ねた心霊ホラーとしての怖さが途端に薄れてしまう。なのでカットすることにしました
そうなのか。。でもやっぱり、かやこ級の恐ろしさを期待しちゃうじゃないですか、客は。なんか全体的に人間のぶりっ子が、役者に残っちゃってて、振り切り度合いが足りなかったな。
要素の詰め込みとクライマックスの振り切れなさは惜しかったけど、序盤は本当に感動しました。
テクノロジーが発達して、きっとこんな日本中に広まる都市伝説ってもう難しいから、額縁に入れてくれてありがとうという想いです。
●ジョアン銀座のチョコブレッド
1日4回焼き上がり、各回30本程度しかない、三越銀座のジョアンのチョコブレッドを食べた。
もちもちで優しいチョコの甘みが染みるのだけど、並んだ分の期待値がまさっちゃったな。こんなこともあるよね
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?