手紙 ~ブレークスルー
何を食べても美味しくない それどころか何食べてるのかもわからない
朝起きた時から澱んだ重石を抱えているような気持ちで目覚め
何となく過ぎる一日がずっと続きました
毎日夜になると泣けてしまう 人はこんなにも涙を出せるのかというぐらい
堪えきれなくてついあなたに電話をかけてしまってる
そんな僕にあなたは僕が気が済むまで付き合って話を聴いてくれる
ただ僕の望みには一切「YES」は言わない
返ってくる言葉は常に「ごめんなさい」
それでも諦めきれなくて
「これで終わりにするから夜の海をいっしょに見たい」だなんて
あなたを誘い あなたは嫌な素振りせず付き合ってくれたこと覚えてます
車の中では途切れ途切れの世間話・・・
僕は必死だった うまくやっていたころの二人の影を探したくて
海に着いて海岸を二人で歩いた時のあなたの横顔を見て僕はひどく後悔した
あなたが前にもまして綺麗に見えたから 優しい微笑が矢のようだったから
愛おしくて愛おしくて
でももう僕が触れることのできないあなた
あなたの毅然とした言葉の端々にそれを思わずにいられなかったから・・・
「場合によってはあなたを僕の部屋に連れ帰る」
そんな思いも帰り道では意気消沈 あなたの部屋の前まで素直に送りました
車から降りたあなたは振り向きもせずマンションに入って行きましたね
あの瞬間僕はすべてを受け入れなくてはならないことを知りました
とはいえ 感情というものは時に厄介なのですね
わかっているのです わかっているのだけれどどうしても求めてしまう
もがきたくないのにもがいてしまう とにかく苦しい心がぐるぐる回る
この心は誰のものなのだ 本当に僕の心なのか・・・
以前は苦しいながらも「もしかしたら」の一縷の希望もあった
もう触れられないと思うと「絶望」という言葉が頭の中を駆け巡るばかり
かえって益々しんどくなっていました
そんな中またあなたに電話をしてしまう僕でしたが
支離滅裂な僕の話にあなたは前と同じくいつまでも付き合ってくれる
そんなある日あなたは言ってくれましたね
「今日で終わりにするね これが最後 あなたの電話にはもう出ない
あなたの苦しい気持ちはすごく伝わってるよ
でももうあなたに手は差し伸べることはしない
自分の選択を信じる 私はもう前に行くよ」
なぜなのかはわかりません
わからないけど その言葉は僕の「苦しみ」にトドメを刺してくれた
そんな気分になり 不思議と別れを受け入れる潔さが湧き出てきたのです
「そっか・・・そうなんだよね 今まで付き合ってくれてありがとう」
最後に「ありがとう」を言えたことになんとなく誇らしさを感じた
結果はともかく僕にはいろんな意味で「生きた」素敵なラブストーリー
そしてあなたとの出会いはその後のそして今の僕にとっても
大きな転機を与えてくれた人生の中でのステージになった
誰かと出会うということはこんなにも「道」に影響を及ぼすものなのですね
さてその後の僕は・・・