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キューバでレコードを漁るササキくん

6年前キューバへ行ったとき、おみやげを買う場所を求めてハバナ市内をさまよい歩いていた。おみやげらしいおみやげは、結局のところ観光客が寄り付くところで買ったほうがいいということになり、旧市街オビスポ通りの突き当りで開かれている、アンティーク市場へ行くことにした。

そこで僕は、レーニンのバッヂやキューバの英雄を描いたバッヂ、ネックレスになりそうなメダルを購入した。この当時は旅先を訪れた証として、ピンバッジを集めていた。

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キューバに同行していたササキくんは、レコードを物色していた。市場で野ざらしになっているレコードを、片っ端からチェックしている。僕は内心「こんなところでもレコードかよ」と思っていた。

ササキくんはトロント市街でもレコード屋に足を運び、そこにしかなさそうなものを物色していた。買ったレコードがたまりすぎて、日本に送ったりしていた。どこへ行っても現地のレコード漁りが習慣づいている。

村上春樹が自身のエッセイで、世界中のどこへ行ってもレコード屋に立ち寄るという話を書いていた。ササキくんと同じだ。むしろ行った場所を、レコード屋と買ったレコードで覚えているほどだとか。ササキくんも村上春樹も、レコードの売買で生計を立てるレコードディーラーではない。

村上春樹は小説家になる前ジャズ喫茶を経営していたから、仕事の延長である部分もあったかもしれない。それにしても、両者ともただの音楽好きが高じて、行く先々でレコードを漁っている節がある。

ササキくんは僕と同じアンティーク市場で、何枚かのレコードを購入していた。物価の安い国だから、格安で手に入ったそうだ。何が嬉しいのかわからないが、興奮している様子だった。当時はそんなもんかと思っていた。

しかし今となっては、その気持ちがわかる。今は旅行できないけれど、国内でも国外でもどこかへ行ったら、きっとレコード屋を訪ねるだろう。蚤の市のような場所でも、真っ先にレコードを物色するはずだ。それは決して特別なことではなかった。レコードを聴く人にとっては当たり前の衝動。自分にもやっとその事がわかった。多分みんなやっている。

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Meditationsでレコードを探す僕

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