ボランティア訓練の話
想定読者:これから訓練を受ける人
元訓練生からすればよく知っている話であり、特に目新しい話題はない。我々ボランティアは現地に派遣される前、2ヶ月超の訓練期間というものがある。その間我々は訓練生と呼ばれる。山奥の訓練所で泊まり込み、何をするのかというとほぼ語学学習、それ以外はボランティアに関係するレクチャーを受ける。あとは予防接種を10本ほど受けたり、チームでフィールドワーク的なことを行ったり。ボランティアの中にはこの訓練が一番楽しかったという人もいたりして、意見が分かれるところだ。僕は、もう一度訓練を受けたいかというと、絶対に嫌だ。2度目のボランティアの人が何人もいて、その人たちは2度目の訓練を受けた。「こんなもの、よく2度も来てるな…」と思ったが本人たちは案外平気そうだった。
訓練生活
訓練所には一箇所に100人以上(我々の時期は180人)のボランティア候補生が集まり、共同生活を行う。朝起きるときも共同、飯を食うときも共同、勉強するときも共同、風呂も共同、唯一寝る場所だけ個室が与えられる。相部屋ではない。僕はだいたい部屋に引きこもっていた。訓練所は日本国内に二箇所あり、僕が送られた方の訓練所はドアが薄く、閉まるときにバンッ!!と馬鹿みたいにデカい音を立てるのが神経過敏の自分としては非常に嫌だった。自分の部屋は自分が気をつければいいだけだが、他のドアも同じ作りで、中には音とか全く気にせずバンッ!バンッ!ど平気でドアを開け締めする人もいるため、寝れないし目が覚めるし自律神経がおかしくなりそうだった。ドアに緩衝材つけることを早急に提案します。
そんなドアの話なんてさておき、訓練所では生活スケジュールが決まっている。毎朝6時集合でエントランス前に集まり、ラジオ体操→ジョギング、7時から朝食、9時から語学訓練といった具合。食事なんかは時間に遅れると食べられないだけでなく、食事をサボったペナルティを課され、回数が溜まると厳重注意を受ける。トレーを持って列に並び、プレートに順番に食事を乗せていく様はまるで囚人のよう!
個人的につらかったのは、休みがないこと。土曜日も通常通りのスケジュールで訓練があり、日曜日は一応休日になってはいるが、日々の課題をこなすために実質まるまる潰れる。教室にこもって半日以上授業プランを作成する日曜日を何度も過ごした。本当に大変だった。もう一つつらかったのは、お酒が飲めないこと。訓練所内は喫煙所はあるがお酒持ち込み禁止で、発覚するとペナルティ一発退場となる。毎日お酒を飲むのが習慣になっているから、外でしか酒が飲めないというのはつらかった。門限があり、10時には戻らないといけない。お酒が飲める場所までは徒歩30分かかる。平日外出できるのは夜7時以降で、10時までに帰ろうと思うと3時間でいっきに飲んで酔っ払わなければいけない。そんな毎晩外出する余裕もなく、日々飲めないつらさと、たまに飲むときのハイペースのつらさと両方あった。些細なつらさとしては、人とすれ違うたびに挨拶するのがめんどくさかった。挨拶否定論者の僕としては苦痛。
ペナルティについて
ペナルティ、ペナルティと言っているが、訓練期間はまだボランティア適正を測る期間でもあり、ペナルティが溜まって訓練所退場となった訓練生は、ボランティアそのものが不採用となる。怪我などで退場した人は延期になることもある。僕の訓練期間には、3人が訓練所を去っていった。ペナルティが溜まる仕組みも入所時に説明を受ける。警告とかイエローカードがあり、僕もイエローカードはもらった。ただイエローカード程度のペナルティでは原則退場にはならない。具体的な問題を起こした人や、著しい素行不良など、ボランティア活動を円滑に進めることが見込めないと判断された人が切られる対象となる。
総合的には…
まあそんな文句ばかり言ってるが「訓練マジうざい!大嫌い!」っていうわけではない。総合的にはそれほど大変ではなかったし、訓練生活も良かったと思う。「めっちゃ楽しかった!また受けたい!」という人とは意見が合わないが、毛嫌いするほどでもなく、死ぬほど大変だったというほどでもなかった。それは僕の言語が英語だったからでもある。ガーナへ派遣される人は英語の訓練を受ける。これが緩かった。本当に緩かった。正直なところ、2ヶ月の訓練では全く伸びなかった。
英語の訓練は、はっきり言って僕には意味がないレクリエーションの時間だった。その間にアラビア語の人やポルトガル語の訓練生は地獄を見ていた。英語でも、模擬授業をやるクラスは大変だった。主に準備が大変だった。毎週日曜日に12時間かけて準備していたのはこれ。けれどこれも楽といえば楽。こちらはボランティアが始まってからの予行演習になった。これからの訓練生にお伝えしたいこと。パソコン系の人は英語の模擬授業で、web検索をするとかダウンロードするとか、ネット環境がある前提の授業を作らないこと。多くの任地ではweb環境が整っていないため、派遣されたあと全く使えません。僕はこれを大いにやってしまい、ガーナに来てイチから授業プランを作り直さないといけなくなっている。内容に書かれている「インターネット環境:有」は嘘です。嘘というよりは意味が違って、スマートフォンのsimでネット使える程度の意味であり、職場にネット環境があるという意味ではない。知っていれば僕の訓練期間はもっと有意義なものになった。
あと僕には全く縁がなかったが、訓練所内で付き合う人もたくさんいた。100人以上の男女半々が2ヶ月以上共同生活をしていて、テラスハウス的な展開になることもあるようだ。一部問題があったとき、運営側としては「学生回帰させてしまった」と嘆いていたが。
今後、訓練のスケジュールやメニューは大幅に変わっていくと思う。ここに書いた内容は参考までに。
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