【音楽×珈琲 鑑賞録】7月6日~エドワード・エルガー 行進曲集『威風堂々』
音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【179日】
7月6日のテーマは、【周辺】
とりあげる作品は、
エドワード・エルガー /
行進曲集『威風堂々』
です。
初代準男爵サー・エドワード・ウィリアム・エルガー
Sir Edward William Elgar, 1st Baronet, OM, GCVO
1857年6月2日 - 1934年2月23日
イングランドの作曲家、指揮者
今回とりあげる『威風堂々』(Pomp and Circumstance)作品39は、エルガーが1901年から1907年にかけて1番から4番まで手がけ、1930年に第5番、そして遺稿となった未完成の第6番をアンソニー・ペインが補筆し、2006年に初演されました。
100年以上の年月をかけてなお更新されたイギリスの大名曲です。
言わずと知れた『戴冠式頌歌』(Coronation Ode)の「希望と栄光の国」(Land of Hope and Glory)の旋律をもつ第1番は有名ですが、フルで聴くとその長大な歴史を慮ることができて味わい深いものでした。
原題である(Pomp and Circumstance)、pomp とは「壮麗、華麗」、circumstance とは「儀式張った、物々しい」という意味らしく、それを「威風堂々」と日本語訳したのはすごい意思決定です。
しかも、それを誰が命名したのか分からないというところも趣深い。
誰とも知らない人が名付けたものが、おそらく未来永劫続くであろう楽曲にしっくりきたというのはなんとも奇跡的なエピソードですね。
「威風堂々」は1895年から続くロンドンのクラシック音楽祭「BBCプロムス」の最終夜で毎回演奏されるそうで、その映像を観ると不思議と奮えるものがあります。イギリスとは縁もゆかりもないのに。
圧倒的な祝祭感で最高のナショナルアンセムによる大合唱が、なぜ人の感情を掻き立てるのか。実際に体験してみたいものです。
そしてこの規模の一体感の体験がある人は、禁断の果実を食べてしまったかのように再びこの体験をしたいと思うはずで、団結力と影響力も増進していくでしょう。
こうした伝統文化が国民性を育み、現在の国を築き上げた一端を担っている。
そう思うと、改めて音楽のチカラの凄みが垣間見えるとともに、エルガーの偉大さというのも窺い知れる気がしました。
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