【音楽×珈琲 鑑賞録】2月27日~アラム・ハチャトゥリアン 組曲『仮面舞踏会』 × 重澤珈琲 インドネシア マンデリン
音楽観を鍛える鑑賞録。
それにあう珈琲をそえて。
2月27日のテーマは【主題】
とりあげる作品は、
アラム・ハチャトゥリアン /
組曲『仮面舞踏会』
×
重澤珈琲 /
インドネシア マンデリン
です。
アラム・イリイチ・ハチャトゥリアン
アルメニア語: Արամ Խաչատրյան
グルジア語: არამ ხაჩატურიანი
ロシア語: Ара́м Ильи́ч Хачатуря́н
英語: Aram Il'ich Khachaturian
1903年5月24日 - 1978年5月1日
旧ソビエト連邦の作曲家、指揮者。
「ソビエト3巨匠のひとり」とも称されている、ハチャトゥリアン。
「仮面舞踏会」という裏世界的名称はさまざまに聞いているものの、真正面からとらえた、教養としての「仮面舞踏会」を考えるのは初めてかもしれません。
ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」は、1941年にモスクワで公演されたミハイル・レールモントフの戯曲のために作曲したもの。
内容は、帝政ロシア貴族社会における虚偽や腐敗のなかで悲劇に見舞われる男女の悲劇を描いたものだそうです。
この戯曲のために、全14曲を作曲。
のちの1944年に、5曲を選び抜いて再編成しました。
なかでも第一曲の"ワルツ"は、相当気合いが入ったそうで、なんでも自分の肖像画を描いてもらっているときに、第2主題が「降りてきた」というエピソードがあります。
たしかに冒頭から重厚で厳格な旋律がかっこよく、舞台映えするオーケストレーション。なんとなくロシアの雰囲気を醸しだしていて、ロンドとはまさにこのような楽曲を言うのでしょう。
ワルツに次ぐ、ノクターン、マズルカ、ロマンス、ギャロップと、戯曲の雰囲気を彷彿させるメロディアスで美しく快活な展開は、作品の魅力を言葉なしに伝播しているかのよう。音楽で戯曲のイメージを装飾しながら、総合的な国家像を表すスケールの大きい作品にも聴こえます。
古びているとも、古典とも言い切れない、かの国のアイデンティティを音で表し、時代を超越した音楽です。
ナショナリズムに真摯に向き合ったとき、「音」ではどのような反響があるのか。
自分の国家観というものを改めて深堀りしたい気持ちに駆られる楽曲でした。
音楽にあう珈琲を考えてみる
このハチャトゥリアンの音楽を受けて、淹れる珈琲も思考してみましょう。
仮面舞踏会の舞台を想像すると、赤いふかふかの絨毯が敷かれた劇場をイメージしてしまいます。
今回ご紹介する、長野県上田市にある"重澤珈琲"は、そんな風情のある"上田映劇"の館内で営業しています。
"上田映劇"の歴史は深く、演劇場として大正6年から開館しているそう。
それ以降、紆余曲折ありながらも、現在も古典映画の上映をするミニシアターとして営業しています。
雰囲気は昔懐かしいを越えた、歴史的建造物の風情があり、仮面舞踏会でもハチャトゥリアンの自伝映画でもマッチしそうな場所です。
そんな場所にひっそりと営業している珈琲店。
今回はこちらで購入したコーヒー豆のマンデリンを愉しみながら、ハチャトゥリアンの音楽をあわせてみました。
ハチャトゥリアンの重厚な音楽を聴きながら、濃厚な深煎り珈琲を愉しむ。
ややぬるめの温度、じっくりと点滴で、耽溺するように淹れた珈琲。
いまが2021年だということを忘れてしまいそうなくらい、時間の超越体験ができます。
現在進行形の最先端を生きながら、昔を懐かしみ愉しむことができるのは人間だけ。
多くのひとが古典芸術を愉しみながら、いまを生きることに想いを馳せてみてほしいなと思いました。
伺ったお店の情報です。
重澤珈琲
長野県上田市中央2丁目12−30
営業: 8:00~18:00
定休: 不定休