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【音楽×珈琲 鑑賞録】10月26日~カール・オルフ オペラ『犠牲』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【67日】
10月26日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
カール・オルフ /
オペラ『犠牲』

です。

カール・オルフ
Carl Orff
1895年7月10日 - 1982年3月29日
ドイツの作曲家

オペラ『犠牲』(Gisei - Das Opfer op. 20)は、カール・オルフが18歳のとき、1913年に作曲した 歌舞伎『寺子屋』を素材とした最初のオペラです。

カール・オルフは以前「カルミナ・ブラーナ」で記事にしましたが、今回はオルフが十代のときの作品。
日本文化研究者のカール・フローレンツがドイツ語翻訳した「寺子屋」を読んで感銘を受けオペラを作曲しています。
当時日露戦争で日本がロシアに勝利したという驚くべき事態を経て、ヨーロッパでは日本文化に興味を持った人が多く、若きカール・オルフも遠い島国の文化にインスパイアされたわけです。

とはいえ、初期作品に至らぬこともあったのか、「若気の至り」として上演を拒んでいたそうです。
そうして幻の作品になってから時を経て2010年にダルムシュタット州立歌劇場でドイツの指揮者コンスタンティン・トリンクスの指揮で世界初演が行われました。
コンスタンティン・トリンクスはワーグナーの「ニーベルングの指環」や「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を指揮するなど、手強い作品を手がける気鋭の指揮者のようで、こうした発掘的仕事ができるのも辣腕力を窺えます。

いまや歌舞伎の演目に馴染みがなくなってしまった日本人としても、改めて襟を正されるところです。
400年ほどの歴史ある日本固有の文化にも学びを深め、海外の人や未来の子どもたちにも自国の文化を伝えられるようにしないと、自らが行う文化的発信も説得力を帯びません。
いつからでも遅くはなく、楽しみながら学べる時代でもあります。
いまさらと思わず、無知を知へ転換させていく歩みを止めないようにしていきましょう。

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