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【音楽×珈琲 鑑賞録】8月10日~クシシュトフ・ペンデレツキ 広島の犠牲者に捧げる哀歌

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【144日】
8月10日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
クシシュトフ・ペンデレツキ /
広島の犠牲者に捧げる哀歌

です。

クシシュトフ・エウゲニウシュ・ペンデレツキ
Krzysztof Eugeniusz Penderecki
1933年11月23日 - 2020年3月29日
ポーランドの作曲家、指揮者

今回とりあげる作品は、ペンデレツキの「広島の犠牲者に捧げる哀歌」(Tren ofiarom Hiroszimy)
1960年に作曲した52の弦楽器群による弦楽合奏曲です。

元々は「8分37秒」というタイトルが付けられていて、音響からの連想で広島の原爆犠牲者に捧げることを思い立ったそうです。
ペンデレツキ自身はポーランドの生まれで、戦争の悲惨さというものを身にしみて感じ入っていたところから、この音楽性が生じてきたのかもしれません。

ペンデレツキはポーランド学派の主要人物だったそうで、第二次世界大戦後の前衛的現代音楽家です。
オーケストラの「トーンクラスター」を得意としていました。
トーンクラスターとは、ある一定の音程間隔で役割の音を配置し、配置された音を同時に演奏する密集音群で、「房状和音」といいます。
記譜の仕方も独特で、響きは当然、調性もない音の塊です。

ペンデレツキは、あえてトーンクラスターを用いることで、この世の理解不可能なことや理不尽なことなどを表現したかったのではないでしょうか。

恥ずかしながら、ペンデレツキの音楽は今回初めて聴く機会になりました。
不可解な現代音楽より、プロモーションに優れた、理解できる音楽ばかり聴いてきたのだと思います。
もちろん聴く音楽の音響に幸福を感じたり、歌詞に感情を揺さぶられ感動体験できる音楽も尊いものですが、ペンデレツキが表現したような、聴者が能動的な姿勢を生み、自らの感受性で感動を覚える音楽というのも素晴らしいものだと感じ入りました。

恐ろしさを音楽で表現されれば、その怖さから逃げたくなり、聴いていられなくなるのは当然です。
しかしながら、人格にはさまざまな側面があります。
ある側面だけを享受していては、どこか目を背けている真理があるものです。
恐ろしいことにも真摯に向き合い、自分自身と社会とにとって、アサーティブな関係性をもてる知性と行動を育んでいけるようにしていきたいと考えています。

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